先日(9月13日)の「今日の一言」で、「秘密保護法案の問題点」について触れましたが、本日(17日)がパブコメの締切日となりましたので、以下の通り、私が本日提出したパブコメをご紹介します。解説部分がありませんので分かり難いかもしれませんが、ご参考にしてください。

「特定秘密の保護に関する法律案の概要」に対する意見

1、「法律案の概要」に記述する事項についての個別意見

(1) 特定秘密の指定

「特定秘密」は行政機関の長が指定及び指定更新をすることになっているが、法案では、指定及び指定更新の正当性・妥当性を担保する仕組み(手続き、関与者等の体制、判断基準等)が欠如している。

「特定秘密」指定又は指定更新後に、その指定又は指定更新の正当性・妥当性を検証する仕組みが欠如している。

「特定秘密」の指定有効期間切れ又は指定解除後の取扱い、位置づけ等が不明確である(例えば、国家公務員法上の「秘密」等に該当するのか、開示が許されるのか等)。

「特定秘密」の指定有効期間切れ又は指定解除後には、当該「特定秘密」は原則として開示されるべきである。

「特定秘密」は、いかなる場合でも、指定30年後には開示されるべきである。

(2) 特定秘密の提供

法案には「特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める事項・措置」とあるが、政令への委任が白紙委任になっている。

「特定秘密」が国会に提供される場合、その提供を受けた議院、委員会又は調査会が当該「特定秘密」を「特定秘密」に値しないと判断した時は、「特定秘密」の指定が解除される仕組みを設けるべきである。

(3) 適正評価

法案では、「適正評価制度」において、法文上は、特定秘密の取扱いの業務を行うことが見込まれる「行政機関職員等」の本人の「同意」を得て調査を行うこととしている。しかし、「同意」しなかった人は、その後、人事や処遇で不利益を被る虞が大きく、実質的には強制的調査になる。

行政機関の長又は警察本部長による「適正評価」における調査は、実質的には強制となるもので、プライバシーの公権力による侵害である。

適正評価における評価事項が、評価の対象となった者が秘密を漏らす虞があるか否かの判断をするための事項であるならば、「第2、1(1)エ」に規定する「行政機関の長・・・政令で定める者」に対しても、当該事項について評価が行われるべきである(該当するならば、その職を解くべきである。)。

(4) 「特定秘密」の漏えい等に対する罰則

「その他の特定秘密の保有者の管理を害する行為」の範囲が不明確(犯罪行為以外に、社会通念上是認できない行為なども含まれると言われている。)であり、捜査当局による乱用の虞がある。

一般市民(報道機関関係者を含む。以下、同じ。)は、何が「特定秘密」になっているか知らされていない。にもかかわらず、一般市民が「特定秘密」と知らずにその情報の入手のための行為(上記①参照)をすれば処罰されるというのは、罪刑法定主義に反する。また、報道機関による取材行為を委縮させることにもなる。

処罰の対象となる行為が広範過ぎて曖昧である。特に、「特定秘密の取得のための実行行為」(の着手)がなく、単に、共謀、教唆又は扇動の行為のみであっても処罰の対象とするのは、日本の近代刑法の原則に反するものである(かつての「共謀罪」創設を巡っての議論を想起されたい。)。

2、総合意見

(1) 上記1、の個別意見で述べた各問題が解決されない限り、本法案は、国民の「知る権利」、「プライバシー権」等を不当に侵害するもの等として、その成立は認められるべきではない。

(2) 国民生活にとって極めて重要な本法案に関するパブリックコメントの期間が15日間しかないことは、極めて問題である。再度のパブリックコメントの機会を設けるべきである。

(了)