安倍首相が国際オリンピック委員会(IOC)総会で行った福島第1原発の汚染水問題に関する発言が、その後、物議を醸している。

安倍首相が、「東京電力福島第1原発について私は皆さんに約束する。状況はコントロールされている。」「汚染水による影響は、周辺港湾内の0.3平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされている。」等と大見得の発言をしたことが、事情を知る関係者からは、「事実に反する」等として、批判されているのだ。

 安倍首相はこれまでも何度となく大見得の発言をしているが、今回の大見得の発言で「2020年、東京オリンピック」が決まったのであれば、政治家の発言として見習わなければならないのかもしれない。もしかしたら、安倍首相の大見得発言を無邪気な国民が信用して、安倍政権を誕生させたかもしれないし…。

振り返ってみると、過去に色々な場面で、安倍首相の大見得発言があった。

今年の8月には、わずか3か月のGDPがプラスであっただけなのに、アベノミクスについて「私が今進めている経済政策は間違っていない、この道しかない、と確信した。」と述べている。アベノミクスについて、その副作用や反動が懸念されているのは百も承知なのだから、その懸念を少しでも意識したらどうだろうかと思う。

また、安倍首相は、今年の4月には、閣僚らの靖国神社参拝に中国や韓国が反発していることに関し「わが閣僚はどんな脅かしにも屈しない。」とも述べた。何とも勇ましい発言であるが、この発言は、中国や韓国に向けての発言と言うより、日本国民向けの大見得の発言としか言いようがない。国民をどこに連れて行こうとしているのだろうか。

いずれにしても、これらの大見得の発言の行き末は、どうなるのだろうか。とても心配だ。

思い起こせば、6年前の第1次安倍内閣の時代、「5000万件の消えた年金記録」に関し、安倍首相は、「最後の一人にいたるまで記録をチェックして、まじめにこつこつと保険料を払っていただいた皆さんの年金を正しくきっちりとお支払いする」と大見得を切ったことがあった。

しかし、昨年末に第2次安倍内閣が発足して以来、安倍首相は、「消えた年金記録」がまだ約2000万件残っているにもかかわらず、年金問題については一言も触れていない。安倍首相は、取り敢えずの目標を達成するためには大見得の発言や虚言を行うことに何のためらいもないのであろうが、その発言の重みをどこまで感じているのであろうか。

事情を知っている人達には、安倍首相の発言が大見得の発言であることが分かっているが、そうでない人達は、逆に、安倍首相の自信たっぷりに見える発言に「頼もしさ」を感じるのかもしれない。後になって悔やまないためには、今、十分に注意をしなければなりません。

(了)