本日、高速データ通信向けの周波数(2,5ギガヘルツ帯)の割当てに関し、政府の電波監理審議会が、ソフトバンク系の通信会社ではなく、KDDI系の通信会社に割り当てることを決定したことに対して、ソフトバンクの孫正義社長が、「公開の場で議論すべし」「今回の決定は、天下りの弊害だ」と声を荒げて怒ったそうです。



ところで、私も、電波行政を所管する総務省の副大臣をしていた時に、孫社長から怒鳴り声をあげられた経験があります。ただし、私も、負けず嫌いな方ですから、孫社長の怒鳴り声に対しては、反射的に怒鳴り返してしまいました。その後は、少し本音で話ができるようになった気がします。



しかし、今回の孫社長の怒りについては、私にも疑問があります。それは、今回の政府による恣意的な周波数の割当てに対しては声を荒げて怒っているのに、今年1月の安倍政権の下での「電波オークション実施提案の取り下げ」に対しては、何らの批判もしていないことです。



電波オークションは、多くの国で実施され、周波数割当ての透明性・公平性の確保、電波のより効率的な利用、オークションによる財政収入の確保等が期待できる制度として、私が総務副大臣時代に検討を進め、具体案の作成まで漕ぎ着けました。にもかかわらず、既得権を持つ業界が反対をしたためか、安倍政権は、いとも簡単に葬り去ったのです。



このことに対して怒りを持たず、自社系の通信会社が割当てを受けられなかったことには怒りを持つというのは、透明性や公平性を求めての「正義の怒り」ではなく、「単に損得勘定で物事を考えて怒っている」と言われてもしょうがないのではないでしょうか?孫さん、如何ですか?