ジャーナリストの岩上安見氏が参院選(全国比例)に出馬している山田正彦・元農水大臣(みどりの風公認)に対して行ったインタビューの中で、山田氏が「日本は原発を海外に売り込みに行っているが、契約した放射性廃棄物は日本が引き受けることになっている。」と発言しているそうです。

山田氏は、同じインタビューの中で、「この話は平岡秀夫さんから聞いた。」と述べていることから、最近、私にその確認を求める問い合わせが幾つか来ています。



確かに、この話は、山田氏のほかに川内博史・前衆議院議員など数名の人と会食していた際に私が紹介したことがあります。その話は、2011,3,11に福島第1原発の事故が発生する前の2010、8,31に開催された第46回原子力委員会での質疑応答の中で出ています。



当時、私は、原子力委員会を所管する内閣府の副大臣を務めており、度々、原子力委員会の会議に出席していました。そして、その時の質疑応答の模様は、公表された議事録の中で、私(平岡内閣府副大臣)が質問をし、服部・日本原子力産業協会理事長と尾本・原子力委員会委員が応答したものとして記録されています。



福島第1原発の事故が発生する半年以上前の議論ですから、今から見れば少し突っ込み不足となっている感もありますが、その要点をご紹介すると、概要次の通りです。

すなわち、バックエンド(放射性廃棄物の処理・管理)についての技術を有していない国に原発を輸出する場合には、輸出する側がバックエンドの方法についての提案を行い、責任を持って取り組んでいくことになる、というものです。このことは、尾本委員の説明によれば、IAEAの「基盤整備のガイドライン」に示されているようです。



なお、具体的ケース(例えば、ベトナムの場合)においては、放射性廃棄物の処理・管理について日本がどのような責任を負っているのかは具体的に調べなければ分かりませんが、服部理事長の当時の説明では、放射性廃棄物を長期間どのように安全に貯蔵するのかが示されているのではないかと思います。



参考までに、以下に、第46回原子力委員会(2010,8,31)の該当部分の議事録を要約したものをお示ししておきます。原子力委員会の公開されたホームページの中に当該議事録が載っていますが、該当箇所は、その議事録のp33とp34に記載されています。

【第46回原子力委員会(2010、8、31)議事録(該当部分の要約)】

(平岡内閣府副大臣)

新興国や途上国への原発輸出の関係で教えてもらいたい。新興国に輸出する場合、バックエンドの問題はどういう状況になっているのか。例えば原子力発電を日本がプラントとして輸出する場合、バックエンドの問題について新興国ではどのように取扱っているのか。

(日本原子力産業協会・服部理事長)

具体的に例えばベトナムの場合は、通称6項目(ファイナンス、バックエンド等の6項目)の課題をベトナム側から提示をされている。その中に、放射性廃棄物の処理処分の問題、あるいは使用済燃料の管理の問題についての項目が含まれている。

その場合に、放射性廃棄物の処理処分の問題については、日本国はやってきたことをベースにした提案を相手国に示して、その上で相手国に判断をしてもらうということになると思う。

ベトナムでは放射性廃棄物の再処理は困難なので、使用済燃料の管理という問題になり、日本は、使用済燃料の管理の問題として長期間安全に貯蔵するやり方を相手国に示すことになろう。

(尾本・原子力委員会委員)

今の平岡副大臣のご質問に関係して、一般論として、廃棄物の問題については、IAEAの基盤整備のガイドラインが、「原子力導入の検討をする初期から、廃棄物について具体的にはどういう課題があって、具体的にはどういうことを将来考えなければいけないか、きちんとロードマップを作ることが良い」と示している。

(了)