自民党の石破幹事長は、本日のNHK番組で、政府が「保有するが行使できない」と憲法解釈する集団的自衛権について、「現行憲法で行使が否定されていると考えておらず、行使は論理的に可能だ。『憲法上、認められない』という答弁を政府側がしたことは一度もない。」と発言した。



石破氏は、「理屈っぽい」と言われる私から見ても論理性を重んじる政治家だと思いますが、石破氏の「行使は可能だ」とする論理の具体的内容を一度聞いてみたい。「はじめに結論ありき」のかなり飛躍した論理構成になっているのではないかと思います。



ところで、私がここで問題としたいのは、実は、石破氏が「『憲法上、認められない』という答弁を政府側がしたことは一度もない。」と発言した部分です。この発言は、以下に説明する通り、有権者を欺こうとしているとしか思えません。



すなわち、内閣は、これまで「憲法第9 条の下において許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されないと考えている」(国会議員の質問主意書に対する昭和56 5 月の内閣の答弁書)と答弁しています。



また、国会での政府(「内閣の法律顧問」と言われる内閣法制局長官)の答弁でも、「個別的自衛権は持っているが実際に行使するに当たっては、非常に幅が狭い。ところが、集団的自衛権については、全然行使できないのでゼロである。」(昭和56 6 月衆議院法務委員会)との答弁があります。



石破氏は、「質問主意書に対する答弁書は、国会での答弁ではない」とか、「政府の答弁は、内閣法制局の答弁であって、閣僚の答弁ではない」とか言いたいのかもしれません。しかし、質問主意書に対する答弁書は、1閣僚がその責任においてする国会での答弁とは違って、内閣が閣議決定を行って最終確定させる権威のあるものです。



石破さん!このような事実関係を捻じ曲げて、自分たちの主張に都合の良いように説明するのは、石破さんらしくないのではないですか?