5月21日付け「日刊いわくに」で、山本繁太郎・山口県知事が17日の資金パーティーで、多くの土木建築業者を前にして「やらなくてはいけない仕事(道路建設)を、やらんでくれと陳情した岩国出身の国会議員もいたと聞く。とんでもない話だ。(山口県の)西の方の緊急な宿題を片付けたら、次は岩国市のアクセスを整備する。」と挨拶したとの報道があった。

「岩国出身の国会議員」は多分私のことだが、私は「やらんでくれ」と陳情したことは一度もない。他人の発言を伝聞形式で軽々しく批判するのは卑怯だと思う。自分(山本)が、自らの知事選で、県内のあちこちで道路を造ると公約したが、守ることができなくなって、安倍首相の地元の道路を優先させるため、他人(平岡)のせいにして岩国地域の道路を後回ししようとしているとしか思えない。

そもそも、山本知事が発言した対象となっている岩国地域の道路は、岩国大竹道路(山手トンネル)のことだと思うが、このトンネルは、トンネル掘削予定地の上に暮らす団地住民が不安視し、建設計画の白紙撤回を求めているものだ。私は、野党時代から、これらの住民の皆さんの疑問や問題意識に対して国がシッカリと対処すべきであるとして、仲介役を務めてきた経緯がある。それらの疑問や問題意識に対し、国や県がしっかりと説明責任を果たすのが本来の筋である。その責任を果たすことなく、道路建設を進めることだけしか頭にない知事は、残念ながら、やっぱり国土交通省出身の官僚知事でしかないと言わざるを得ない。

以下、参考までに、一昨年8月に私が仲介した、団地住民の皆さんが国土交通省に対し提出した説明要請の内容を紹介します。この説明要請に対し、皆さんはどのように感じますか。当然の説明要請ではないでしょうか。

1、 「山手トンネル」工事の危険性について

(1) 広島県の福木トンネル、西風トンネルなど、高台団地下でのトンネル工事によって地下水位が低下することにより地盤が沈下し、家屋や道の損壊などトンネル上部地域住居に悪影響を与えている事例が全国で発生しています。トンネル上部にある団地の宅地開発は、旧法で実施され、3つの山と沢のある水脈豊かな大地であった所で、木々を引き倒しそのまま埋め立てたに過ぎないものです。地下水位の変化が致命的な影響を持つと考えられるこの地域に2000軒余りが住む「山手トンネル」については、その危険性をどのように認識しておられるのでしょうか。

(2) 「山手トンネル」建設予定の周辺地域は、岩国市土砂災害危険指定地域でも有り、かつ、いくつもの活断層に囲まれた地域でも有ります。当局は、その認識は持っておられるのでしょうか。また、建設計画の中では、これらの事情はどう評価されているのでしょうか。

(3) 311日の東日本大地震の影響で大きなプレートが動き出したことにより周辺の活断層が動きやすくなり南海、東南海地震等々が想定されている折、地盤を弱くするような工事は避けるべきです。責任ある当局として、このことを踏まえた建設計画に見直す必要があると考えますが、いかがでしょうか。

2、 建設計画の策定・実施手続きの問題について

(1) 「山手トンネル」建設については、周辺関連地域である山手サンランド自冶会、桜ヶ丘自冶会の住民に対して事前の説明が行われていません。これらの関係住民に説明を行わなかった理由は何でしょうか。また、説明が行われなかったことで、計画策定手続きに瑕疵があったと言えるのではないでしょうか。

(2) 「山手トンネル」建設計画は、平成3年検討が開始され平成4年頃より事前調査をされたと聞いていますが、その調査方法の内容と結果が地元住民に示されていません。これらを示して戴くと共に、「トンネル工事をしても安全」と判断された根拠を示して戴きたい。

(3) 「山手トンネル」建設について、トンネル上部の住民に説明せず、用地買収が南側、北側の地域始められています。トンネル上部の住民の孤立を図った行動ではないかと思料しますが、そのような行動をとった理由を示して戴きたい。

3、 「第3者安全検討委員会」の設置について

(1) 当局側から、「平成20年12月の地元住民による当局への陳情の際に平岡衆議院議員から提案があった」ものとして「第3者安全検討委員会」を設置する打診がされていると聞きましたが、その打診を受けた者が関係住民の中に見当たりません。いつ、誰から、誰に対して、どのような方法で打診がされているのでしょうか。

(2) 当局が打診しているとされる「第3者安全検討委員会」は、トンネル建設計画の撤回をも視野に入れた委員会であるべきと考えます。「第3者安全検討委員会」は、何を目的に、どのような検討を、どのようなメンバーで、どのような手続きで、運営されるのでしょうか。また、これらの事項について、関係住民と協議をする意思はあるのでしょうか。

4、 その他

(1) 岩国・大竹道路は、そもそも国道2号線の渋滞緩和を目的として計画されましたが、その後、国道2号線の交通量は、関・関トンネルの建設、JR和木駅の開設等により大幅に改善されており、更に岩国港臨港道路の建設により一層の緩和が期待できます。今や、「山手トンネル」建設の必要性はなくなったのではないですか。

(2) 平成10年5月、岩国市都市計画審議会は、錦見・長山線の計画を廃止し、岩国・大竹道路「山手トンネル」建設計画に変更しています。その変更理由を示して戴きたい。

(了)