昨日、参議院議員山口県選挙区補欠選挙の投開票が行われ、無所属(民主党・みどりの風が推薦、社民党が支持)で出馬していた私は、自民党公認(公明党推薦)の候補者に大差(28,8万票対13,0万票)で敗れました。

(低かった投票率)

 自民党の安倍政権が誕生して初めての国政選挙であり、かつ、安倍総理のお膝元の山口県での選挙であったことから、私も、「全国でたった一つの補欠選挙で、全国から注目される選挙である」と強調していました。ところが、選挙期間中の21日の日曜日に、安倍総理自ら「長州ファイブ」を名乗って、山口県選出の国会議員を引き連れて山口県主要都市を「興行」して回った以外は、ほとんど全国的な報道もなかったため、山口県民の関心度合いも低い選挙になったように思います。その証拠に、投票率は、山口県内の国政選挙で史上2番目に低い38,68%に止まっています。

(投票率は何故低かったのか)

 安倍政権自ら、「今夏の参議院選挙が終わるまでは安全運転」と言い、「参議院選挙後は危険運転」に入ることを予告しています。その「危険運転」の具体的事項として、①なし崩し的な原発の再開・復活、②拙速なTPPへの参加、③憲法改正による「軍事大国」(石原慎太郎・日本維新の会共同代表の言)への歩みが挙げられますが、これらがいずれも日本全国の将来にとって大事な問題であるにもかかわらず、全国的な報道で取り上げられることはほとんどありませんでした。このことが、投票率が低くなった原因の一つだと思いますが、大変残念なことです。

(今回補欠選挙の意義1:庶民的政治勢力の結集)

 私は、今回の補欠選挙では、「穏健保守から中道・リベラルまでの政治勢力」としての「庶民的政治勢力」の結集を訴え、無所属で出馬しました。結果として、上記に記載の政党から推薦・支持を戴き、政党要件を満たしてはいませんが「日本未来の党」からも推薦を戴きました。また、「生活の党」の有志議員も私の応援に駆け付けてくれました。これらのことからは、庶民的政治勢力の結集はある程度できたと思っています。

しかしながら、報道機関の中には、「日本維新の会」や「みんなの党」から支援を受けていないことをもって、「野党共闘がうまく行っていない」と評するところもありました。しかし、「日本維新の会」は元々「穏健保守から中道・リベラルまでの政治勢力」には位置づけられないのではないでしょうか。「日本維新の会」には、脱原発についての政策限定の共闘を期待しましたが、それすらも行おうとしないのは、自民党の補完勢力か、結果的に自民党の支援勢力になっていると見るべきでしょう。

 ある報道機関の投票者出口調査によれば、「政党支持なし」の方々の半数近くが私に投票したそうです(自民党公認候補者には3割程度が投票)。今回の投票率が低かったことと、山口県内の自民党支持率が高くて無党派が少ないことを考えると、投票率がもっと上がる今夏の参議院通常選挙(本選挙)では、庶民的政治勢力により多くの投票が行われることが期待できるのではないでしょうか。その意味では、今夏の参議院選挙で「庶民的政治勢力の結集」の成果がより大きく期待できると思います。

(今回補欠選挙の意義2:脱原発)

 今回の補欠選挙では、私は、これまで多くの国民や政治勢力が目指してきた「脱原発」に向けての活動を再開させることを訴えました。しかしながら、最有力候補者である自民党公認候補者は、「エネルギー政策は冷静で客観的な判断に任せるべき」として「補欠選挙の争点ではない」と言い張り、争点隠しを図ろうとしていました。

 争点隠し戦略が、昨年末の総選挙に引き続いて功を奏し、出口調査で「自民党支持者でも6割程度が上関原発の建設に反対」となっているにもかかわらず、有権者の具体的な投票行動に繋がらず、自民党支持者のほとんどが自民党公認候補者に投票しました。安倍政権としては、今回の選挙結果をもって「上関原発の建設に有権者が同意をした」と言いたいのでしょうが、もしそのようなことを言えば、「補欠選挙の争点ではない」と自ら言ってきたことと矛盾します。

 安倍政権は、一体いつになったら、原発政策の取り扱いを選挙の争点にするのでしょうか。このままでは、前政権(野田政権)が行った国民的議論や多様な専門家の入った審議会での徹底的な審議を経ることなく、なし崩し的に原発の再開・復活が進められる虞があります。今夏の参議院通常選挙では、明確な方針を与野党ともに示して、「選挙の争点」となることを期待したいと思います。もし安倍政権がそうしないのなら、自民党政権が原発政策に関して明確な方針を示した段階で、改めて国民の信を問うべきでしょう。

(今後の日本政治への懸念)

 上述した3つの事項に関する「安倍政権の危険運転」について、安倍政権の動向が懸念されますが、安倍政権に対するもっと本質的な懸念は、昨日(28日)、沖縄県で抗議大会が開かれる中で、それに臆することもなく開かれた「主権回復の日」式典での安倍総理の挨拶の中に含まれています。

 それは、「私たちの世代は、日本をもっと良い、美しい国にしていく責任を負っている」との文章に示された「美しい国」という安倍首相の言葉です。実は、「美しい国」は、6年前の第1次安倍政権時代に使われた言葉で、決して物理的な美しさを表しているものではありません。為政者から見て「好ましい」と評価する「統一的な価値観」に基づいた「統一的な行動様式」を国民に求めようとするものであり、上から目線の独りよがりの考え方だと思います。そのような考え方に基づいて、強権的な国政が行われることが懸念されます。

(私の今後の活動)

 私の今後については、基本的には、「捲土重来」を期していきたいと思います。しかしながら、私が従来から選挙区としていた山口県第2区(山口県の東部)の選挙結果は、昨年の総選挙に引き続いて、大変厳しい結果となりました。私の政策的主張や政治活動が、山口県第2区の有権者の皆さんの思いと、どこが同じでどこが違うのか、これからしっかりと見つめ直していきたいと考えています。その上に立って、今後の具体的な方針を決定していきたいと思います。

(了)