いよいよ明日から第46回総選挙が始まります。10を超える政党が乱立し、主要な政策分野で意見がそれぞれ異なるといった複雑な構造の中で、有権者の方々は、選択に困っているのではないかと想像されます。そこで、解散以後から本日までの総選挙前哨戦において私が地元の有権者の方々と交流する中で又は別の候補予定者が主張する政策を聞いて感じた、私にとっての今回総選挙の争点についてお伝えしたいと思います。なお、私の選挙区事情から、特に、私と自民党候補予定者との争点に重点を置いています。
1、原発を含むエネルギー政策
(基本方針)
民主党は「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」との方針を、自民党は「10年以内に電源構成のベストミックスを決める」との方針をそれぞれ示しています。
要は、民主党の場合は、原発ゼロとする方向性を示しているのに対し、自民党の場合は、「どちらの方向に行くか分からない」ように一見見えて、本音は「原発をできる限り維持していこう」としているように思います。安倍総裁は「軽々しくゼロと言わないのが責任政党だ」と言っていますが、結局は、エネルギー政策決定の先送りをしようとしているに過ぎないと考えられます。
脱原発と再生可能エネルギーの先行国であるドイツの例を見れば、明確な目標を示すことが、再生可能エネルギー分野への投資の促進や技術の革新に繋がることが分かります。原発の事故リスクの巨大さ、放射性廃棄物の処理方法が未確立の状況を考えると、原発ゼロに向かうべきであり、省エネや再生可能エネルギーの推進、化石燃料利用の効率化等を含めたロードマップ(工程表)を早期に示すべきと考えます。
(電気料金上昇問題等)
ところで、原発が無くなると、電力が不足したり、電気料金が上昇したりするので、特に電力多消費型の企業においては、価格競争力を失ったり、海外逃避を余儀なくさせたりするのではないか、と指摘されることがあります。電力不足については、ピーク時電力の確保の問題は多少あるものの、要は、電力量確保のために高価格の化石燃料を使用することによる電気料金上昇の問題に帰着します。
電気料金上昇問題は、政府が調査委託をした民間の調査結果でも示されているように、2030年時点での電気料金は、2012年に比較して、原発依存15%程度でも1,7倍、脱原発では2,0倍で、その差はあまり大きくありません。また、その差が大きくて問題であると言うならば、「原発稼働ゼロ」を国策として進める以上、電気料金上昇によって大きな打撃を受ける産業・企業に対しては、国がその対処策を講じるべきであると考えます(独でも、再生可能エネルギー買取による電気料金上乗せ分の大幅減免制度があります。)。
なお、この問題については、そもそも原発による発電コストが本当に安いのか、という本質的な問題があります。すなわち、現在、原発が抱える事故リスクが低く見積もられている(kwh当たり高くても1,8円)との指摘があります。その上、一定規模以上の事故については政府が賠償責任を負うように制度設計されているという問題もあります。もし、政府が関与せず、全て市場経済に任せたら、その事故リスクの保険費用は、kwh当たり数千円になるとの外国民間保険会社の試算もあるのです。
(上関原発の建設)
民主党の方針の基となっている3原則の一つは「原発の新設・増設は行わない」です。この原則に沿って、新設が計画されていた上関原発については、民主党は「建設を中止する」ことになります。その際、国策として建設中止をすることになるのですから、上関地域の地域振興策を国の責任において講じていくことは当然です。他方で、自民党の方針では、これから長ければ10年間、建設するのか中止するのか決められないことになります。上関地域を最長10年間も自分たちの将来像を描くことができずに放っておくのでは、「責任政党」(安倍総裁の言)とは言えないのではないでしょうか。
2、憲法改正による再軍備
(なぜ、今、軍隊(国防軍)なのか)
自民党は、憲法を改正して「国防軍」を保持することを目指しています。なぜそうしたいのかと言えば、「自衛隊は、国際的にみれば、その実態として軍隊と同じである」とか、「外向けの話と内向けの話を使い分けるのはもうやめよう」とか説明されています。しかし、自衛隊は専守防衛の実力部隊(自国が武力攻撃を受けた時反撃するための武力行使をするために必要最小限の武力を有する部隊)であるのに対し、軍隊(国防軍)は、国際的な基準では、専守防衛に限定されません。要するに、自民党は、軍隊(国防軍)とすることによって、海外でも武力行使できるようにしようと目論んでいると言ってよいでしょう。
(軍隊(国防軍)保持の次に来るもの)
もし、海外でも武力行使できる組織である軍隊ができれば、「集団的自衛権の行使」容認と併せて、「同盟国」である米国が海外で戦争をするとき(例えば、ベトナム戦争、アフガン戦争)にはそれに付き合わされる虞が十分にあります。日本の現代の若者が海外留学や海外勤務を避ける傾向がある中で、海外で戦争をするかもしれない軍隊(国防軍)にどれだけの若者が集まるのでしょうか。いつの日か、十分な人数が軍隊に集まらないことを理由として「徴兵制度」を導入することも起こってしまうのではないでしょうか。
(我が国の目指すべき方向)
私は、我が国の目指すべき方向は、我が国の平和憲法を国際的にも活かしていくことだと考えます。例えば、国連の活動の一環として、DDR(武装解除、動員解除、社会復帰)活動がありますが、その活動に日本人が大きな役割を果たしています。アフガニスタンでの国連によるDDRを指揮した伊勢崎賢治氏(現・東京外大教授)は、「アフガニスタンのDDRの責任者に欧米人がなったのでは、アフガニスタンの武装勢力はDDRに応じなかったであろう。平和憲法のもとで外国で武力行使をしない日本人だからこそ、アフガニスタンの人は武装解除に応じ、DDRが成功したのである」と言われていました。
「日本は、平和的手段によって国際貢献をする国で、紛争復興、災害救助、貧困救済等に積極的に活動をしてくれる国である」との国際的な評価が高まって、我が国に対する信頼と尊敬の念が高まることこそ、我が国が目指すべき方向ではないでしょうか。決して、米国等と一緒になって武力で国際紛争を解決することに我が国が乗り出すことが、我が国が目指す方向ではないと考えます。
3、世襲政治の功罪
(今回選挙の状況)
民主党は、政治家のいわゆる「世襲」問題について、「現職国会議員が引退する場合、その親族(三親等以内)が引き続くかたちで同一選挙区から立候補する『世襲』について、今後の内規で禁止する」ことを示しました。この基準に従って、元総理大臣の引退に伴う衆議院議員候補者の擁立において、その子息は、現職の参議院議員でありながら党公認が認められず、出馬も見送りました。自民党は、前回(09年)の総選挙の際は世襲を禁止する方針を示していたのに対し、今回の総選挙では、形式的には「公募」の形をとってはいるものの、実質的には「世襲」と評価される候補者が多数(10人程度)出ています。
(世襲政治の問題点)
「世襲」の定義は固まったものはありませんが、一応、上記の『世襲』のように定義されています。しかし、その定義の範囲に限定されるものではないと考えます。「世襲」が問題であるとされるのは、「世襲」によって、全くの新人が政治の舞台に登場し難くなって、政治に新陳代謝がなくなり、多様な人材が参加できなくなるということがあげられると思います。その意味では、既存政治家と何らかの親族関係のある者が、その既存政治家の知名度を生かして政治家となる場合も「世襲」に含まれるのかもしれません。
しかし、別の観点から見ると、「家業」化した国会議員の下に利益集団が形成され、その利益集団が、世襲議員のカンバン(知名度)、ジバン(選挙区の後援会等)、カバン(政治資金)の有利さによって、利益集団を守る政治家を誕生させることも問題であると思います。更に、これが「政党」という利益集団で同じことが起こっていることがあります。例えば、〇〇党の地方議員が自分たちの利権を守るために、既存政治家と何らかの親族関係にある世襲候補者を〇〇政党の候補者として担ぎ出す場合があって、これも問題だと思います。
今回の総選挙で「新人候補者」と位置付けられている山口第2区の自民党公認候補者が、このような問題を抱えた候補者であるのか否か、有権者の皆さんに冷静な目で判断してもらいたいと思います。
3、選挙戦に向けて
私は、選挙戦においては、民主党政権の下で行ってきたことについて反省すべきは率直に反省しつつ、その反省も踏まえた将来展望を示していこうと思います。また、民主党政権で閣僚まで務めた政治家として、悪かったことも、良かったことも全部含めてその責任を背負って戦って行こうと思います。
団体の推薦状の数は相手陣営の方が何倍も多いかもしれません、しかし、私が東京から地元に戻って以降14年余り地元をくまなく歩いて履き潰してきた靴の数は、相手の何倍何十倍もあると思います。そのようにしてこの14年間培ってきた地域のお一人お一人の方々との信頼を糧として、加えて、「地元に生まれ育った者として、地元住民の本当の気持ちを政策に反映するのに最適な政治家は自分である」という強い気持ちを持って、志を同じくする皆さんと共に全力で戦っていきたいと思います。
(了)