本日(16日)連合山口が主催して、「7、16岩国基地オスプレイ搬入反対市民集会」が岩国市民館で開催され、県内外から千数百人の人が集まりました。私も、その集会の来賓として出席したのですが、他に、福田良彦・岩国市長、民主党山口代表の加藤寿彦・山口県議ほか民主党県会議員3名、社民党山口代表の佐々木明美・山口県議、7名の岩国市議会議員等も出席をしました。



 集会開催前には、松本久次・岩国市議会議長や自民党新生会会長の山手卓夫・山口県議ら自民党県議10人程度も出席すると聞いていましたが、彼らは欠席していました。6日に、山口県議会は「MV22オスプレイの岩国基地への先行搬入に関する意見書」を全会一致で議決したのですから、自民党を含む超党派の県議会議員がこの集会に集合できれば良かったのですが、残念ながら、それは実現できませんでした。



 以下は、この集会において私が行った挨拶の大体の内容です。どうか、ご覧ください。


1、経緯と問題点

(1) これまでの不誠実な政府の対応

今回のオスプレイ配備問題は、最近になって起こった問題ではない。1992年に米軍が作成した「普天間飛行場マスタープラン」で配備計画が明記されていたにも拘らず、当時の自公政権は、その事実を認めようとせず、不誠実な態度であった。オスプレイの日本配備についてのこれまでの日本政府の対応は、「寝た子を起こすな」方式であったと思う。

ようやく政権交代後の昨年5月に、日本政府は、初めて、配備を受け入れることを公式に認めた。

(2) 建前に終始する日本政府

今回の配備の実行に当たっても、今年4月のモロッコでの死亡事故や先月のフロリダ州での墜落事故の原因についての正式な調査報告が出ていないにも拘らず、米軍の通知を鵜呑みにしての対応に終始している。

鵜呑みにしてはいけないという一つの論拠としては、今朝の報道でも「オスプレイの2010年のアフガニスタンでの死亡事故について、エンジン不調が事故につながったという報告書をまとめたところ、上官から、内容を変更するよう圧力をかけられたことが分かった」と報じられたことがある。

また、安保条約6条に基づく事前協議の対象に「装備における重要な変更」があるが、日本政府は、「オスプレイへの機種変更は、装備における重要な変更に該当しないので、法的に拒絶できない」と説明している。

しかしながら、そもそも、1960年の事前協議に関する日米高官(藤山・マッカーサー)間の口頭了解では、「装備における重大な変更」とは、「核弾頭及び中・長距離ミサイルの持ち込みとそれらの基地の建設」に限られており、日本の安全保障政策や国民・住民の安全や生活環境への影響を考えないもので、時代遅れのものになっている。見直しが必要とされていると思う。そして、もし、見直しが間に合わないと言うのなら、在日米軍再編の協議がそうであったように、安保条約4条に基づく協議として取り上げていくことを検討すべきであったと考える。

2、基本的立場

(1) 県議会の意見書等

今回のオスプレイの配備に関しては、山口県議会や岩国市議会の意見書に示されている要望事項、更には山口県知事・岩国市長の政府への要請事項に、私も共感を持っている。その要望・要請の内容は、「①事故原因の究明、②安全性の再確認、③宜野湾市、沖縄県等の配備先関係自治体の理解を得るなどの条件整備をしたうえで、岩国基地への先行搬入が提示されるべき」というものである。

(2) 沖縄への配慮

特に、沖縄の人々がオスプレイの配備に反対している状況の下では、岩国への先行搬入を容認することは、米軍や政府の思惑のお先棒を担ぐことになる恐れがあり、沖縄の人たちのことを考えれば十分に注意する必要があると思う。

3、現状と課題

(1) 一抹の光:前原政調会長とルース大使の会談

ところで、ここに来て、この問題について一抹の光が射してきているように思う。それは、前原誠司・民主党政調会長が、13日に、次のことを明らかにし、「党として、現行のオスプレイ配備工程表に基づく配備には反対だ。」と述べたことである。

Ø 11日にルース駐日米国大使に対し、「オスプレイ配備を強行すれば、日米安保そのものが崩れる恐れがある。配備の工程表を見直すべきで、一旦は米国に戻すべきだ。沖縄は、恐怖と不安に包まれている。全体の基地にも影響する。」と伝えた。

Ø これに対し、ルース大使は「日米同盟が大事だとの観点からの提言は理解できる。本国に伝える。」と述べた。

前原政調会長は、民主党の中でもアメリカ寄りの安全保障政策を主張している政治家であり、時々、党として決まってもいないことを勝手に「党の見解」として発言する悪い癖を持っていて、私個人としては時に対立してきた経緯がある。しかし、今回は、彼の発言の内容は支持したいと思うし、彼と協力していきたいと思う。

(2) 低空飛行訓練問題

前述の条件整備の問題の他に注意しなければならないこととして、オスプレイの日本配備には、低空飛行訓練が全国各地(ブルー、グリーン、オレンジ、ピンク、イエロー、パープルの6ルート。中国地方のブラウンルートは除かれる。)で行われるという問題がある。これは、これまでの海兵隊CHヘリコプターではなかったことである。



米海兵隊は、今回のオスプレイの日本配備においては、毎月23日間(国家安全上の考慮により、より長期の運用もあり得る。)2~6機のオスプレイをキャンプ富士と岩国飛行場に派遣することを見込んでいる。その結果として、各経路の年間運用回数は約55回で、全経路で合計330回。全経路で平均21%の運用増加で、夕刻で28%、夜間で4%を実施する見込みとしている。

ところが、オスプレイの事故率は、海兵隊用(MV22)は平均以下の1,93と言われているものの、空軍用(CV22)は高率の13,47となっている。高度が地上500フィート(約150m)以上という低空飛行となると、その高度(約150m)は、ヘリモードから航空機モードへの切り替えに必要な時間12秒間で失う高度約500mに到底足りない。全国各地で事故発生の危険性があることを懸念する。

4、今回の会合の意義

(1) 会合の参加者

ところで、今回の集会で頼もしく思うのは、岩国市長がこの集会に参加されていることである(岩国市会議長、山口県議会の自民党新生会所属の議員も、事前は出席予定であったが、欠席となっていた。)。また、岩国市長は私の国会事務所に挨拶に来られることは時々あるが、私を頼りにして訪ねてこられたのは今回が初めてである。

(2) 約束して欲しいこと

このような岩国市長や地元の皆さんの期待に応えられるように、地元選出国会議員の一人として私も全力で頑張っていくつもりであるが、一つ、地元の皆さんの前で約束して欲しいことがある。

それは、「市長、市議会、県議会が、私に相談もなく米軍や政府に譲歩することは止めて欲しい。」ということである。簡単に言えば、「梯子を外さないでほしい」ということである。なぜなら、私が生まれ育ち現在も住んでいるのは米軍基地のある川下地区であり、私にはその地区で生活している人々の気持ちが良く分かっているつもりであり、そして、そのような私に対し、現在米軍基地周辺に生活している人々の声が私に届けられていると思っているからだ。』