1、はじめに

 先日、5月20日付中国新聞に掲載された「中国地方選出国会議員の一体改革に関するアンケート」に対する私の回答について、「分かりにくい」、「党の役員なのだから、法案に賛成すべきではないのか」といった意見を承りました。そこで、今日は、そのことについて私の考えを説明しようと思いますが、分かり難くなった原因には、設問の仕方や回答の選択肢が不十分だったこともあると思います。実は、記事に掲載するに当たっては、担当の記者とも議論をし、担当記者は、「設問・回答欄が適切でなかったかもしれない」と言っていました。

2、アンケートの内容

 私の考えを説明する前に、中国新聞の設問と回答欄をご紹介します。このうち、問4は報道記事の中の表には何も記載されていませんでした。

(問1) 政府の社会保障と税の一体改革関連法案に賛成ですか、反対ですか。

 (答)①賛成 ②反対 ③どちらでもない ④その他

(問2) (問1で反対、もしくはどちらとも言えないと答えた方に)特にどの点が問題ですか。下から選んでください(複数回答可)

(答)①消費税増税そのもの ②消費税増税の時期 ③低所得者対策 ④デフレ・景気対策が不十分 ⑤財政再建の道筋が見えない ⑥年金制度 ⑦子ども・子育て支援 ⑧医療・介護 ⑨共通番号制 ⑩身を切る改革(議員定数削減や公務員制度改革)が不十分 ⑪その他

(問3) 今国会で消費税増税を決定すべきだと思いますか。

 (答)①決定すべき ②決定すべきでない ③どちらとも言えない    ④その他

(問4) 消費税増税あるいは社会保障の抜本的改革に、国会としてどう取り組むべきだと考えますか(なるべく簡潔にお願いします)。

 私が新聞社に提出したアンケートの回答の記載内容は、次の通りでした。

(問1)③(条件付き賛成)

(問2)③ ④ ⑥ ⑧

(問3)③(修正協議の内容にもよる)

(問5) できる限り、将来的な全体像を示す。経済政策との一体的推進を議論すべき。

3、一体改革関連法案に賛成か反対か

 先ず、問1については、新聞に掲載されたのは表形式でしたので、「条件付き賛成」の部分は、表には掲載されませんでした。ただし、記事の本文中には、私が「条件付き賛成」であることは明記されています。

なぜ、党の役員であるにもかかわらず、「どちらでもない」という回答にしたかについてですが、それは、問1で「①賛成」に回答すると、問2の頭書きにあるように、問2で回答する権利が得られないからです。法案作成のずっと以前から、私は、「社会保障と税の一体改革は、経済政策と一体的に進める必要がある」と主張し続けていますし、党内で法案を議論する時も、今現在でも、その考えは変わりません。従って、そのことを明確に示す権利を得るためにも、問1では③に回答せざるを得なかったのです。この点については、担当記者とも議論しましたが、「既に関係国会議員の皆から回答をもらっている以上、説問や回答欄を変更することはできない」ということでしたので、このような取り扱いに落ち着きました。

今回の一体改革関連法案に関しては、デフレ・景気対策が不十分であることに加えて、低所得者対策、年金制度、医療・介護について今後どのようにしていくのか問題が残っています。

低所得者対策については、「給付付き税額控除」の導入等を含めた再配分に関する総合的な施策が今後検討されることになっていますし、その施策の実現までの間の暫定的及び臨時的な措置として簡素な給付措置を実施することとしていますが、まだその具体的内容が決まっていないのです。

また、年金制度については、民主党がこれまで主張してきた「年金の一元化」改革の姿が示されていません。ちょっと前までは、岡田副総理は、来年の通常国会で具体的改革の内容を示すと言っていましたが、その点についての雲行きも怪しくなっています。

更に、医療・介護については、4年前の私の補欠選挙で大きな争点となった「後期高齢者医療保険制度」が私にとって最大の関心事ですが、これについても何の改正案も示されていない状況です。

これらの課題(デフレ・景気対策、低所得者対策、年金制度、医療・介護)について今後どのように取り組まれていくのかが見えてこないうちに、「無条件に」賛成するというというわけにはいかないので、「条件付きで賛成」という回答をしたのです。どうか、ご理解をお願いします。

4、今国会で消費税増税を決定すべきか否か

 次に、問3については、新聞記事では、「③どちらとも言えない」と回答したことしか記載されていませんが、実は、その回答には、上記でお示ししたように、「修正協議の内容による」ということを付記して新聞社には送っています。

 なぜ、このような取り扱いにしたのかと言えば、マスコミ報道によれば、「野田総理は、野党案を丸呑みするかもしれない」という懸念が示されているからです。私自身も、消費税増税自体は避けて通れない途だと思いますが、「社会保障と税の一体改革に関する特別委員会」に付託されている法案は、その他に6本(年金関係、子ども・子育て関係、地方税等関係)あります。これらの法案に関して野党の主張を丸呑みしてでも消費税増税を決定するというのは、いささか無責任な感じがします。やはり、一体的に付託・審議されている法案の取扱いを含めて総合的に判断すべき問題だと思います。

 また、消費税増税を決定するときの政治状況も考慮しなければなりません。野党が反対している場合には、参議院では野党が過半数を占めていますので、そもそも消費税増税は決定できません。野党がどういう状況なら賛成するのかを考えた場合、単に「内容に賛同できるから賛成する」という事態は考えにくく、「成立後直ちに解散総選挙することと引き換えに」とか、「民主党内の小沢一郎派を切って捨てるなら」とか、色々な政治的取引がある場合にしか、消費税増税は決定できないのではないでしょうか。そのような政治的取引に応じるべきか否かも慎重に判断すべき問題だと思います。

 このような複雑な問題を、今回のような単純な設問・回答欄で説明できるはずはありませんが、読者の皆さんに「平岡の回答は分かり難い」という印象を与えたことは申し訳なく思っています。今後は、あまり深く考え過ぎることなく、できる限り、分かり易い回答となるよう心がけたいと思います。(了)