本日午前、私が総務省で記者会見して、東日本大震災の被災地域における完全地デ
ジ化(地上放送のアナログ放送を停波して、完全にデジタル放送に移行すること)の
方針についての一部変更を発表しました。


 完全地デジ化は、10年前に法律改正をして進められてきており、今年の7月24
日には実現の運びとなっていました。完全地デジ化を実現させるためには、色々な努
力が必要です。デジサポ(総務省テレビ受信者支援センター)や総務省地デジチュー
ナー支援実施センターが中心となって、各地方自治体の協力も得ながら、新たな難視
対策、共聴施設のデジタル化支援、低所得世帯への地デジチューナー支援などを行っ
てきましたし、家電エコポイント制度を活用して地デジ対応テレビの普及にも努めて
てきました。もちろん、当事者であるNHKや民間放送事業者の方々も一生懸命努力を
重ねられ、比較的順調に準備が進んできたと思っていた矢先に、東日本大震災が起
こったのです。


 東日本大震災によって地デジ対策がどのような影響を受けたのか、三月下旬から緊
急調査を行って来ましたが、その結果は、津波により街全体が流失した数多くの地域
(アナログかデジタルかにかかわらず、テレビそのものが見れなくなっています。)
を除き、送信設備、受信設備ともに大きくは被害を受けていませんでした。しかしな
がら、大きく被災した地域では、自治体も住民の皆さんも、生活再建に優先的に取り
組まなければならない状況にあり、地デジ化に向けた対応を考える余裕がないという
のが正直なところのようです。このような地域からは、アナログ放送停波を延期して
ほしいという声がありましたし、私自身も、被災地に行って現地の事情を把握すると
ともに、被災地を抱える県の知事さんたちに直接自治体の状況や意向を聞いてみまし
た。


 放送事業者の皆さんの中には、予定通り今年の7月24日にアナログ放送を終了して
ほしいとの意見も強くありましたが、総合的に検討して民主党総務部門会議にも諮っ
た結果として、今日、「岩手県、宮城県、福島県の3県については、放送事業者の皆
さんの協力も得て、アナログ放送の停波延期について必要な作業に入る」こととし、
その旨記者発表しました。延期の期間は、法律上は最大1年間(来年7月24日)を
限度とし、具体的な延期期間はこれから状況を踏まえながら決定していく予定です。

他方で、上記3県以外の地域では、予定通り今年7月24日にアナログ放送を終了す
ることとしますが、上記3県以外の被災した地域については、デジサポなどによる支
援を集中的に実施するなどして円滑なデジタル移行が行えるように頑張っていきたい
と思っています。なお、被災した地域においては、どの県についても、損壊した共聴
施設等の補修・再整備に対して補助するほか、被災者の皆さんに対して地デジチュー
ナー支給の支援を行うことを検討していますし、日本赤十字社は、仮設住宅等に入居
する被災者の皆さんに対し、地デジ対応テレビを含む「生活家電セット」7万台程度
を寄贈することを決めています。


 こうした取り組みで、地デジへの移行を進めていけば、皆さんが、デジタルテレビ
で、高画質・高音質な番組、天気予報やニュースが常に見れるデータ放送、字幕放
送、ワンセグサービス等暮らしをより便利で豊かにするサービスを受けることがで
き、デジタル化による効率化によって利用できるようになる周波数を利用して、携帯
電話サービスの向上、高度道路交通システム、災害時の移動通信システムなどへの活
用ができるようになります。皆さんのご理解とご協力をお願いします。