平岡秀夫のブログ「至誠通天」-米国大使2 平岡秀夫のブログ「至誠通天」-米国大使1

 
本日、私たち国会議員有志は、在日米国大使館を訪問し、ルース大使に会いました。面会の目的は、衆参両院議長(無所属)を含む超党派(民主党、社民党、国民新党、自民党、公明党及びみんなの党)の国会議員有志204名の署名がされたオバマ大統領宛の書簡を届けるためです。この書簡は、核軍縮に取り組んでいるオバマ大統領を後押ししようとするもので、私を含め民主党、社民党、自民党及び公明党の議員7名が、オバマ大統領に渡すようルース大使に託したのです。

 書簡の内容は、最後に掲載しますが、書簡をこの時期に送ろうとした背景は、次の通りです。即ち、今年4月には核安全保障サミットが、5月には核拡散防止条約(NPT)再検討会議が開催され、国際社会による核兵器廃絶への取り組みにおいて、今年は大変重要な1年になります。また、それらに先立ち31日には、米国政府による「核態勢の見直し(NPR)」に関する議会への報告が予定されております。

 
このような状況の中、NPR策定の前に、核軍縮に対するオバマ大統領の取組みを唯一の被爆国日本の国会議員が後押しする動きを作ってはとの話が持ち上がり、核不拡散・核軍縮に取組む米国のNGO(非政府組織)とも相談しながら、PNND(核不拡散・軍縮のための国際的議員連盟)日本や民主党核軍縮促進議員連盟に所属する国会議員が呼びかけ人となって、オバマ大統領宛の書簡を送ろうということになったのです。

 特に、米国では、「米国が日本に対して『核の傘』を提供しなくなれば、日本は核武装することになる。」と主張する人達がおり、そのことが、米国が核軍縮に消極的になっている理由の一つになっているとも言われています。私たちは、米国の核政策がより核軍縮の方向に向かったとしても、我が国の「非核三原則」を堅持していく決意であることをオバマ大統領に伝える必要があると考えたのです。

 以下に、オバマ大統領宛の書簡をご紹介します。

アメリカ合衆国大統領
 バラク・H・オバマ 殿

 私たちは、世界で唯一の被爆国日本の国会議員として、この書簡をお送りさせていただきます。

 昨年4月のプラハにおける演説において、貴大統領は、大統領選の公約であった「核兵器のない世界」への誓いを新たにされました。また、貴大統領は、その演説の中で、「米国は、核兵器を使用した唯一の国として、(核兵器廃絶へ向けて)行動する道義的責任がある」と述べられました。貴大統領のこのような言明は、私たち核の破壊を経験した国の国民にとっても、もっと広くは人類全体にとっても、非常に意味深く歴史的意義を持つものであると考えております。

 
今年は、貴大統領が述べられた目標に向けた具体的措置をとる上で大変重要な年になります。4月には核安全保障サミットが、5月には核拡散防止条約(NPT)再検討会議があります。そしてそれらに先立ち貴国の核政策の指針となる「核態勢の見直し(NPR)」の議会への報告が予定されております。

 私たちは、唯一の被爆国の国会議員として、貴大統領の核兵器廃絶への取り組みを全力で後押しすべき「道義的責任」を持っていると考え、下記を宣言します。

 ・私たちは、貴大統領が
20094月のプラハ演説で概説した核兵器のない世界に向けて動くとの政策目標を完全に支持する。
 ・私たちは、米国が、
ICNND(核不拡散・核軍縮に関する国際委員会)報告書の勧告に従って、「米国の核兵器の『唯一の役割』は、米国又はその同盟国に対して他国が核兵器を使用することを抑止することにある」と宣言する政策を直ちに採用することを強く求める。
 ・私たちは、貴国が上記の「唯一の役割」政策を採ったとしても、日本は核武装の道を追求することはないと確信している。
 ・私たちは、貴国の核政策が、日本の非核三原則に違反するいかなるオプションも除外することを強く求める。
 ・私たちは、米ロ両国の配備戦略核を大幅に削減することを規定した新しいSTART条約(戦略兵器削減条約)の締結を目指す貴大統領の努力を支持する。
 ・私たちは、CTBT(包括的核実験禁止条約)の批准とFMCT(兵器用核分裂性物質生産禁止条約)の交渉を迅速に行おうとする貴大統領の努力を支持する。

 以上の私たちの宣言が、貴大統領の政策判断に貢献することを期待致します。日米両国の友好が今後ますます発展することを祈念し、結びとさせていただきます。

  2010年2月19
                   日本国国会議員204名の署名』