昨日の衆議院予算委員会で、私は、鳩山総理大臣、岡田外務大臣、北沢防衛大臣に対して質疑を行いました。これまでの予算委員会における我が党(民主党)の委員の質問では、外交・安全保障に関する質疑が少なかったように思いましたので、安全保障に関する質疑として、非核3原則・核軍縮と全体的な米軍再編問題についての質問を行いました。以下、その要点をご紹介します。

 先ず、岡田外相が昨年9月17日に外務事務次官に対して命令した「核密約」の調査の状況についてです。外務大臣命令による外務省の調査結果は、既に昨年11月20日には外相に報告されているのですが、外部の有識者委員会の検証結果は、当初は、先月末までにも公表される予定であったにも拘らず、かなり作業が遅れています。そこで、「外務省・有識者委員会の調査・検証結果は、何時までに公表される見込みであるのか」を問いました。

 この質問に対し、岡田外相は、「確定的なことは言えないが、3月のしかるべき時に結果が出ると期待している。」と答弁しました。これに対し、私から、「最近の閣僚(07年の麻生外相、昨年の中曽根外相)の答弁でも「密約は存在しない」としているので、その答弁をこのまま生きさせないためにも、外務省の調査結果だけでも直ぐに公表してはどうか」と要請しましたが、岡田外相は、「事実の解釈、時代背景も併せて出したい」との姿勢を示しています。

 核密約問題に関して私が聞きたかった最大のポイントは、「核密約の存在によって、我が国の非核3原則が変更されることはない」ことを確認することでした。核密約は、「核兵器を作らない、持たない、持ち込まない」という非核3原則のうち、「持ち込まない」を否定することになる可能性があるからです。具体的には、「非核3原則」を「非核2原則」又は「非核2,5原則」に変えようという動きが出てくることが心配されます。

 この点に関し、私は、「総理は、昨年9月の国連安保理首脳会合で、
『我々は、核軍拡の連鎖を断ち切る道を選んだ。世界で唯一の被爆国として我が国が果たすべき道義的責任だと信じたからだ。私は今日、日本が非核3原則を堅持することを改めて誓う。』と世界に向かって演説された。核密約調査の結果如何に拘わらず、我が国が国是としてきた「非核3原則」を堅持することを確認したい。」と問い質しました。

 この私の質問に対し、総理は、「昨年の安保理首脳会合で『日本の道義的な責任として、決して核は持たない、そして非核化に向けて世界の先頭を切って走っていかなければならない』、その意思を示したのであって、その思いのもとで非核3原則は当然のことながら堅持していく決意である。」と答えました。鳩山政権の下では、非核3原則見直しの動きは封じ込まれたことになると思います。

 次に、私は、岡田外相が昨年12月に米国クリントン国務長官とゲーツ国防長官に送った「オバマ大統領の『核なき世界』を目指す思いを共有したい」等とする書簡、私たち有志の国会議員200余名がオバマ大統領に送ろうとしている「核兵器の役割を核兵器の抑止のためだけに限定する政策(『核兵器の唯一の役割』論)」を促す等の書簡に言及して、鳩山総理に、核不拡散・核軍縮に関してノーベル平和賞の受賞に値するリーダーシップを取る決意を促しました。

 鳩山総理は、「核兵器の唯一の役割論」に大きな関心を示していることを表明しつつ、「オバマ大統領あるいは全世界に対して、核の廃絶に向けたメッセージをいかにして強力なリーダーシップで発出できるかということを真剣に考えている。是非、平岡委員などからも色々とご教示いただければと思っている。」との決意が示されました。

 最後に、米軍再編問題について質問しました。先ず、鳩山総理が、民主党幹事長時代であった昨年4月に、超党派の議員連盟である「沖縄等米軍基地問題議員懇談会」の会長として、厚木基地の空母艦載機の移駐先である岩国市の住民の皆さんが組織している「愛宕山を守る市民連絡協議会」からの陳情を、11万人余の署名と共に外務省及び防衛省に取り次いだことを、鳩山総理が覚えていることを確認しました。


 私は、「前政権が行った米軍再編は、『アメとムチ』の手段によって結論を強引に押し付けるやり方をした。民主党がマニフェストの中で『米軍再編や在日米軍基地のあり方について見直しの方向で臨む。』としたのは、そのような前政権のやり方についての批判も込められていると思う。」と指摘し、防衛大臣に対し、「米軍再編に関してマニフェストで約束したことを実行するための努力を誠実に行っていくようお願いしたい。」と要請しました。

 これに対し、防衛相は、「米軍再編問題については、誠心誠意対応していきたい。特に、防衛省においては、抑止力を維持しながら、米軍基地のある地域の皆さん方には、今までも丁寧に説明して参ったが、防衛省としては、今後もシッカリご説明を申し上げながら、皆さん方のお気持ちを体して対応していくつもりである。」と答えました。政府には、誠意を持って、米軍再編問題に関する課題に対応してくれることを期待したいと思います。