本日、鳩山新内閣が誕生してから初の衆議院予算委員会が開催され、私も、与党議員になってから初めての委員会質疑を行いました。野党時代の国会質問は、政府をどれだけ追い込めるかの真剣勝負を行ってきたつもりですが、与党になってからは、自分達の仲間である内閣の各メンバーにどのような質問をしたら良いのか、ちょっと悩むところです。

 これまでの委員会質問を見ていますと、与党質問は、特に本日のようなテレビ入りの質問では、「提灯(ちょうちん)持ち」の質問になっているケースが多かったように思います。本日の私の質問では、そのようなことにならず、できるだけ国民の疑問に答えてもらうよう、また、是々非々の立場で質問をするよう気をつけました。加えて、これまでの政権が行ってきた政治を新政権がどう評価するのかも併せて尋ねてみました。

 質問の冒頭、私は、次のように述べました。

 「今年は、初代内閣総理大臣・伊藤博文公の没後100年に当たる年です。伊藤公が生まれた山口県光市にある伊藤公史料館では明日から29日まで「歴代総理大臣の書」展が開かれますが、鳩山総理には、お祖父さんの第52代内閣総理大臣・鳩山一郎氏の書とともに、自らの書を寄贈していただきました。官僚内閣としての内閣制度が発足して123年、その内閣で初代総理大臣となった伊藤公が亡くなって100年という節目に、『官僚依存からの脱却』を目指す鳩山内閣が誕生したことに、歴史の巡り会わせを感じます。

 鳩山総理の所信表明演説で特に共感した言葉は、『戦後行政の大掃除をする』という言葉です。私も、鳩山内閣の『戦後行政の大掃除』のお手伝いをできる限りしたいと思っています。今日も、これまでの行政で検証してみたいことが山ほどあり、質問の時間が足りなくなるかもしれません。事前通告した質問ができなくなった場合は、申し訳なく思いますが、いずれかの機会に改めて質問をさせてもらいたいと思います。」

 以下は、私の本日の質問の概要と、その質問に対する各閣僚の答弁の概要です。ただし、答弁の概要は、私の記憶に基づくものですので、正確な答弁の内容を知りたい方は、近いうちに公表される議事録で確認をしていただきたいと存じます。

 (問1-1)「戦後行政の大掃除」を行う当たっては、そのための体制を整える必要があると思う。その中で、
総理直属の「国家戦略局」は、政治家主導の政治を目指す「政権構想」の中でも重要なものと思うが、総理は、具体的にどのような役割を持たせようと考えているのか。総理が唱える「東アジア共同体構想」も検討させるつもりか。
(答:鳩山総理)国家戦略室は、先ずは、税財政の骨格、予算の骨格、経済政策、緊急雇用対策、地球温暖化対策(COP15)などの仕事をやってもらっている。いずれは、「東アジア共同体構想」についての仕事もやってもらいたいと思っている。

(問1-2)
「国家戦略局」は、現在、明示的な法的根拠のない「国家戦略室」に止まっている。「国家戦略局」としての今後の体制作りをどう進めるのか。
(答:菅国家戦略)現在は、「総理大臣決定」で組織を創っているが、いずれ法改正で「国家戦略局」を設置したい。現在は、民間出身者5名、官庁出身者5名
で仕事をしているが、いずれは、20名から30名程度で対応していきたい。

(問2-1)「大掃除」の対象として、先ず、「税金の無駄遣い」があると思う。
総理は、所信表明演説で、「『税金の無駄遣い』を徹底的に排除する」、「徹底的に『税金の無駄遣い』を洗い出す」等言っているが、自公政権時代の予算で「税金の無駄遣い」と思われるものには、どのようなものがあると考えているのか。
(答:総理)公共工事の中にはかなりの程度無駄遣いがあったと思う。「アニメの殿堂」などの箱物や、随意契約での契約発注、天下り先の団体に対する補助金などの中にも無駄遣いがあったと思う。

(問2-2)
本年度補正予算の見直しとして、「約3
兆円にも相当する不要不急の事業を停止させることができた。」と言っているが、その「不要不急の事業」の中には「税金の無駄遣い」はあると考えているのか。
(答:仙谷行政刷新会議担当)「今年度に執行する緊要性があるか」という観点から見直し、基金や官庁の施設整備費などで未執行のものを「不要不急の事業」として執行停止にした。

(問3-1)マニフェストで「後期高齢者医療制度を廃止する」としているが、どのような手順で廃止していくのか。後期高齢者医療制度の中で、診療抑制や低廉医療費を目指して導入されている診療報酬(後期高齢者診療料等)は、後期高齢者医療制度廃止前でも見直す必要があるのではないか。
(答:長妻厚労)後期高齢者医療制度は2年間かけて廃止するが、現行制度の問題点を改善しながら新しい制度に転換していきたい。例えば、保険料未納者に対する「資格証明」の発給、人間ドックの負担増、健診の義務免除、長期入院に対する診療報酬減点、後期高齢者診療料などは、できる限り早く改善したい。

(問3-2)後期高齢者医療制度の廃止までにある程度の時間がかかるとしても、後期高齢者医療制度と並行して進められてきた療養病床削減計画は、これからどのように見直されるのか。
(答:厚労)療養病床としての受け皿が十分でない状況は、地方からも悲鳴が出ている。療養病床削減計画は、マニフェストでも「凍結」と言っており、その方針で進めて行きたい。


(問4-1)
自公政権下において、日本政府は、世界の核不拡散軍縮に向けて十分な活動をしていたと考えているか。
(答:岡田外務)ブッシュ米大統領が、CTBT(包括的核実験禁止条約)からの離脱、核の先制攻撃の容認をしたときも、日本政府はそれを止めようとしなかった。オバマ大統領がプラハで「核のない世界」演説をした時も、麻生総理は十分な反応を示さなかった。本来は、唯一の被爆国である日本の総理大臣がリードすべきだと思った。

(問4-2)
今年9
月の国連総会や国連安保理事会首脳会合での総理の演説は、地球環境問題に関するものだけでなく、核軍縮問題でも、国際的に高い評価を受けたと思う。しかし、核軍縮問題に関し、マニフェストに「北東アジア地域の非核化をめざす」としていたのに、その点が触れられていないのは残念だ。なぜ、触れなかったのか。
(答:総理)北東アジア非核地帯化は、アジアの一国として強い思いがあるが、皆で築いていこうと思う。演説には「北朝鮮の核の放棄が必要」とも触れており、それが進めば、北東アジアの非核化に繋がっていくと思う。

(問4-3)
来年5月に、5年に一度のNPT
(核不拡散条約)再検討会議が開催されるが、日本政府としてどのような役割を果たすつもりか。
(答:総理)積極的な役割を果たして行きたい。

(問5-1)
環境大臣は、CO
2削減に関して原子力発電の活用を求める意見書を9月28日に提出したが、原子力発電については、放射性廃棄物処理、廃炉、生態系への影響など別の面で環境等に与える影響を心配する人達がいる。環境大臣として、このような影響についてどう考えているか。
(答:小沢環境)環境省としては、原子力発電に関して、ご指摘の環境面での影響にも十分に配慮していきたいと考えている。

(問5-2)
自公政権下における原子力発電の安全検査に係る体制や運用について、どのように評価しているか。また、「民主党政策インデックス2009」では、「安全チェック機能強化のため、国家行政組織法第3
条による独立性の高い原子力安全規制委員会を創設する」としているが、鳩山内閣としては、どのように取り組む方針か。
(答:直嶋経済産業)現行の「原子力保安院」は、資源エネルギー庁に所属する組織であっても、近年、人事や予算面では独立性を持たしている。「原子力安全規制委員会」については、今の仕組みでどれくらいうまく行くのか見ながら検討して行きたい。