明日から、国連本部で開催されているNPT(核不拡散条約)再検討会議準備委員会に参加するため約1週間ニューヨークに行きます。準備委員会そのものは、政府間協議ですが、準備委員会開催に伴って行われる関連行事には、私も、幾つかの行事に意見発表者として参加します。新型インフルエンザでちょっと混乱しているニューヨークですが、準備会合(準備委員会及びその関連行事)の重要性を考えるとどうしても出席したいと思っています。

(準備会合の重要性)

 NPTは、1970年に発効しました。当時の核保有国(米、ソ、英、仏、中)には核軍縮を、核非保有国には核不拡散(核保有)の義務を課した条約で、いつかは世界中の核廃絶を実現しようとしています。そのため、5年に一度、「再検討会議」を開催し、核不拡散・核軍縮のための具体的な行動計画等を協議してきました。1995年再検討会議では、NPT条約の無期限延長が決まり、2000年には、意欲的な内容を含む「最終文書」が合意採択されました。

 ところが、2005年の再検討会議では、「00年の『最終文書』よりも後退した内容になるくらいなら、文書による合意は無いほうがましだ」として、「最終文書」の合意に至りませんでした。その背景には、01年9月の米国での同時多発テロ発生、02年8月のイランの未申告ウラン濃縮実験の実施、03年1月の北朝鮮のNPTからの脱退宣言などの歓迎せざる事実が発生したことがあります。そこで、来年の再検討会議が大いに期待されているのです。

 「準備委員会」は、「再検討会議」を実のあるものにするために「再検討会議」の前に1年に1回開かれる委員会ですが、今年の「準備委員会」は、来年の「2010年再検討会議」を成功させるために大変重要な会議なのです。特に、前回の再検討会議が失敗したという状況を克服し、米国のオバマ新大統領が核軍縮に向けて積極的な発言をしていることを活かすためには、来年の再検討会議は、何としても画期的なものにしなければならないと思います。

 私は、このように重要な意味を持つ「準備委員会」やその関連行事に参加することとしているわけですが、以下、私が、直接参加したり、関心を持っている行事について、皆さんにご紹介したいと思います。

(北東アジア非核地帯条約の訴え)

 関連行事の一つに、日韓のNGO(非政府組織)グループが主催する「北東アジア非核兵器地帯の意義」と題する研究会があります。私は、この研究会で、民主党核軍縮促進議員連盟(岡田克也・民主党元代表が会長を務め、私が事務局長を努めています。)が昨年8月8日に長崎市で発表した「北東アジア非核地帯条約」案を紹介することとしています。昨年、条約案を発表した時は小さなベタ記事でしか報道されず、寂しい思いをした経験があります。

 この条約案は、日本、韓国、北朝鮮を地域内国家として、日本列島と朝鮮半島を核兵器のない地域とし、周辺の核兵器保有国である米、露、中の三国がこの地域で核兵器を使用しないことを保証することを内容とするものです。このような条約は、既に、アフリカ、ラテンアメリカ、南太平洋、東南アジア、中央アジア、南極を対象に存在しているものです。オバマ新大統領の核軍縮への意欲を持ってすれば、実現の可能性も大いにあると思っています。

(PNNDを代表して発表)

 関連行事の他の一つに、「中堅国家構想」(核廃絶を支持する中堅国政府の橋渡しを担うNGO)とオーストリア政府が共催する「進展する構想」と題するパネル・ディスカッションがあります。私は、このディスカッションで、国際的な組織であるPNND(核軍縮・不拡散議員連盟)全体を代表して、PNNDの活動実績と活動方針を発表する予定です。我が国にも、PNNDの支部としてのPNND日本(会長は、鈴木恒夫・自民党代議士)があり、私も会員の一人です。

 私の印象としては、PNND日本は、余り活発な活動をしているようには思えませんが、国際的には色々な活動をしています。核実験に対して抗議活動をしたり、アフリカ非核地帯条約の批准を促進したり、北東アジア・中東・中欧の非核地帯化を推進したり、NATO(北大西洋条約機構)の核非保有国を非核地帯化する計画を進めたり、核兵器禁止条約を支持する議員宣言を発表したりしており、私は、それらの活動を皆さんに紹介することとしています。

(ICNND議長の提言を応援)

 関連行事の他の一つに、ICNND(核不拡散・核軍縮に関する国際委員会)が参加する行事があります。私は、この行事に直接参加することにはなっていませんが、大きな関心を持っているので傍聴参加するつもりです。というのは、ICNNDは、来年のNPT再検討会議を成功させることを目的に、日本の福田総理と豪州のラッド首相が合意して昨年9月に作られた組織で、共同議長として、川口順子・元外相と豪州のエバンス・元外相が任命されています。

 ICNNDは、これまでに2回の国際的会合を実施し、これから2回の国際的会合を予定していますが、二人の共同議長は、特に、「核兵器の先制不使用(no first use)」を訴えています。核軍縮に最も熱心であるべき我が国政府は、「核抑止力」への盲信から、「先制不使用」の考え方には懐疑的ですが、川口議長は、「ICNNDは、政府間交渉の半歩先を歩まなければいけない」と言って頑張っています。私達は、その心意気を応援したいと思っています。


参考までに北東アジアに非核化地帯 民主議連(平岡秀夫議員)が構想発表へ