昨日、小沢一郎・民主党代表は、自身の公設第一秘書が政治資金規正法違反(虚偽記載など)の罪で起訴されましたが、「起訴の理由が政治資金規正法の趣旨から言って合点が行かない」として、「続投」の決意を表明しました。他方、私は、本日の衆院・内閣委員会で、与謝野馨・経済財政担当大臣に対して、無利子非課税国債の発行の可能性を質しましたが、与謝野大臣は、「無利子非課税国債は、発行しない」との決意を示しました。

 小沢代表の公設第一秘書逮捕に関しては、今月11日付の「今日の一言『小沢対検察の闘い』」でもご紹介しましたが、その後の事件の推移と昨日の起訴事実は、そこで述べた範囲を超えていません。すなわち、「政治資金収支報告書の虚偽記載」容疑の起訴は、過去の同様の事件に対する処分に比べて厳し過ぎる印象がありますし、「国策捜査ではないのか」との疑念に関しても、その疑念は未だに残っていると思われます。

 この点について、記者会見に臨んだ東京地検の次席検事と特捜部長は、「我々が政治的意図を持って捜査をすることはあり得ない。」と断言し、検察当局による説明責任を問われたことに対しても、「全ては公判で明らかにする。国民の批判を受けることは覚悟している。詳しいことは、刑事訴訟法47条に違反するから話せない。」と答えるのみでした。

 しかしながら、特捜部長が同時に「(献金の受取り形態が)国民の政治的判断を欺いてきたことを重視した」と述べたことは、検察が今回の捜査の政治的影響を意識していた証拠です。また、刑事訴訟法47条は、訴訟に関する書類を公判前に公表してはいけないとしつつも、「公益上の必要その他の事由があって、相当と認められる場合は、その限りでない。」としています。本件が国政選挙に与える影響を考えると、検察はできる限りの説明をすべきです。

 ところで、昨日の検察当局の対応とそれを踏まえた小沢代表の「続投表明」に関して、今夕、私の勉強会仲間で意見交換をしました。小沢代表の進退に関しては、「事件に関する事実関係が不透明なので、『辞任すべき』とも、『辞任しないべき』とも、言いようが無い。」との意見が大勢でした。更に、多額の献金受取りに関しての小沢代表の説明が十分でなく、国民が納得できる状況に至っていないことも、多くの仲間が指摘するところでした。

 その意味では、小沢代表に、より一層の説明責任を果たす努力を求めると共に、民主党自身も、自浄能力を発揮するための組織的対応をすることが必要だと思います。事実関係の把握と説明を小沢代表サイドだけに任せ切りにするのではなく、党としてもシッカリと取り組むと共に、再発防止や国民の信頼回復のための「企業・団体献金の禁止」等の政治資金規正法の規制強化にもシッカリと結果を出す必要があるとの意見もありました。

 他方、検察当局の「国策捜査」に対しては、検察を厳しく批判する意見も出されました。「野党第一党の党首に対する捜査であるから問題だ。」と言うことではなく、「捜査の対象が、与党の政治家であっても、我が党の一年生議員であっても、検察が政治的介入の意図を持って捜査を行うことは許されないことである。」との大原則に立って、検察当局の動きをシッカリと監視すべきである、との強い意見も出されました。

 いずれにしても、昨日の検察による起訴と小沢代表の「続投」表明で、今回の事件が終わったわけではなく、むしろ、「昨日から、私たちの闘いが始まった」と言っても過言ではないと思います。遅くとも今秋までには行われる総選挙の終了までの間の長くて厳しい闘いです。常に国民の皆さんの目線に立つことを忘れることなく、私たちが目標としてきた「政権交代」を実現するために、党が一丸となって頑張ってまいりたいと思います。

 話は変わりますが、本日の衆院・内閣委員会で、与謝野大臣を相手に初めての質問をしました。政策通で良識があると言われている与謝野大臣が、一方で、「政府紙幣の発行」に対しては、「藩札ではあるまいし、政府紙幣は現代社会ではあり得ない。」と強い口調で否定しているのに対し、他方で、「無利子非課税国債の発行」に対しては、「検討に値する話。キチンとした議論でやっていこうと思っている。」と言っていることに疑問を持ったからです。

 「無利子非課税国債」というのは、「利子の付かない国債で、無利子である代わりに相続税減免の特典が付いたもの」です。相続財産の中に無利子非課税国債が入っていれば、その無利子非課税国債相当額は相続財産の中から除外されることになるわけです。かつて、フランスで1950年代に、相続税非課税の国債(いわゆる「ピネー国債」)がありましたが、悪用されたことから廃止された例があるそうです。

 私は、そもそも、「必要な支出があって、その支出を賄う財源調達のために国債がある。その国債の消化が困難な状況にあるのであれば、魅力ある国債として無利子非課税国債が検討されることもあるかもしれないが、現在、国債の消化は順調であり、無利子非課税国債を検討する必要はない。」と考えています。その点について与謝野大臣の意見を求めましたが、全く同意見でした。

 更に、無利子非課税国債について、私は、「国が相続税のかからない国債を発行することは、課税の公平性を損なうことを国が推し進めることになる。納税について脱税を奨励するようなものである。国として品格の無い行為である。」等の問題点を挙げて与謝野大臣に迫りました。結局、与謝野大臣は、「現在検討されている追加の緊急経済対策の財源対策として、無利子非課税国債を発行するつもりはない」との決意をしていることを明らかにしました。

 これまで、自民党の議員連盟が緊急提言を提出したり、麻生総理大臣が前向きに検討する考えを示したりしていたために、与謝野大臣は、リップ・サービスとして、無利子非課税国債に関して前向きな発言をしてきたのではないかと思います。

 また、与謝野大臣は、「景気対策は、財政の透明性を失わせたり、節度に疑念を抱かせたりするようなものであると、国に対する信頼が揺らぎ、国民の将来不安を惹起することになり、国民の消費や投資を喚起することに繋がる真の景気対策にならない。」との私の主張にも同意してくれました。初めて質問をした与謝野大臣でしたが、何か与謝野大臣に親近感を感じた次第です。