本日、久し振りの党首討論が、国会で行われました。本日の党首討論の冒頭で、小沢一郎・民主党代表が、麻生太郎・総理大臣に対して、儀礼的ではありましたが、総理大臣就任のお祝いを述べたことでもお分かりのように、麻生総理が9月25日に誕生してから初めての党首討論となりました。本日の党首討論の印象を一言で言えば、「党首討論は、国民が直接政治家トップ同士の議論を聞ける場として、やった方が良い」ということです。

 本日の小沢代表の党首討論での戦術は、麻生総理のこれまでの発言の矛盾を突くことであったと思います。麻生総理は、これまで、「厳しい景気状況の下では、政治の空白を作ることはできない。政局より政策だ。」と言って、福田総理が辞任の際念頭に置き、かつ、与野党の多くの政治家が疑っていなかった「11月末までの解散・総選挙」を先送りにしてきました。初めの頃はそれで良かったのですが、ここに来て、麻生総理の主張が矛盾してきています。

 つまり、麻生総理が「政局より政策」と言うのならば、小沢代表が「直ちに、第二次補正予算を速やかに国会に提出すべし」と主張したのに対して、麻生総理が「来年の通常国会の冒頭で第二次補正予算を国会に提出する」との方針を示していることは矛盾です。「第二次補正予算を国会に出すのが来年の1月なら、12月中に解散・総選挙ができるはずだ。」と主張することによって、麻生総理の発言の矛盾を突くことができます。

 小沢代表は、その点について、先ず、「麻生総理は、国民に対し、『経済対策として第二次補正予算を提出する』と言っておきながら、17日の党首会談では、『第二次補正予算は、今臨時国会には提出しない』と言った。これは、国民に対する背信行為である。可及的速やかに第二次補正予算を提出するのが、総理のこれまで発言の論理的筋道である。なぜ、提出できないのか。」と問いかけました。

 麻生総理は、追加の景気対策の重要性は認めつつも、「①年末までの中小零細企業の資金繰りは、第一次補正予算の9兆円の貸付保証枠追加で足りる。第二次補正予算では、②法人税の減収規模を見極める必要があるし、③貸付側である金融機関に対して公的資金を注入するための『金融機能強化法改正法案」の成立を待ってどの程度の利用額が見込まれるのかの見通しを立てる必要があるため、予算案を今すぐには出せない。」と応じました。

 しかし、麻生総理の以上の説明は、認識不足やゴマカシがあると思います。

 第一に、年末までの中小零細企業の資金繰りが9兆円の貸付保証枠で足りていると言ったことは、認識不足だと思います。私が地元で企業の方々とお話をしていても、年末の資金繰りに苦しんでおられる方は多くおられます。麻生総理は、「昨日や今日の保証利用額が各々1千億円程度だから、その計算で行けば残り30数日間でも9兆円の保証枠に収まる」と判断したようですが、余りに机上の計算になり過ぎて、実態が認識できていないと思います。

 第二に、法人税の減収規模を見極めることは、補正予算を作成するに当たって、有用であることは認めますが、必要条件であるわけではありません。「補正予算で必要となる歳入をどのような手段で確保するのか、ハッキリさせたい。」ということなのかもしれませんが、各年度の歳入の最終的不足は、「決算調整資金」を使って帳尻を合わせることができる仕組みになっています。歳入見積もりが正確でないことは、補正予算を提案することに何らの支障もありません。

 第三に、「『金融機能強化法改正法案』が成立しなければどの程度の利用額が見込まれるのかの見通しが立てられない」としている点も、予算と法律の関係を良く知らない人を誤魔化そうとしていると思います。毎年度の当初予算では、政府が提案する法律案が成立することを見込んで、その所要額を予算に盛り込んでいるのが常です。3分の2以上の多数で再議決できる力を持ちながら、補正予算が提出できない原因を野党のせいにするのは筋違いと言えます。

 小沢代表は、以上の麻生総理の答えを受ける形で、、「第二次補正予算が今臨時国会で提出できないのなら、総理の初心に戻って『国民の審判を受ける』べきだ。麻生総理が言うように、『第二次補正予算を来年に出しても大丈夫』ならば、12月中に十分に選挙をする時間的余裕はある。しかも、選挙の洗礼を受ければ、総理の思う通りの政策を実行できるではないか。」と、総理のこれまでの発言の矛盾を突く問いかけをしました。

 この問いかけに対する麻生総理の答えは、擦れ違いでしかありませんでした。麻生総理は、「同じ議院内閣制を採る英国で、ブレア首相からブラウン首相に替わったときも、解散・総選挙は行われていない」と答えていましたが、「政局より政策」と麻生総理が言っていたことに対して、「政策を国会で審議をする必要のない時に選挙をすれば、『政治の空白』にはならない。」と小沢代表が指摘したことについて、麻生総理は実は何も答えていないのです。

 結局、麻生総理は、所信表明演説で「私は逃げない」と言っているにも拘らず、「解散・総選挙を逃げている」としか言いようがない状況にあると思います。官僚から智慧を付けてもらった麻生総理の言葉を、まともに信用してはいけません。