昨日、麻生太郎・自民党総裁が、国会において「第92代内閣総理大臣」に指名されました。衆議院での指名が「麻生太郎」、参議院での指名が「小沢一郎」と、異なった指名となりましたが、憲法67条の規定により、国会の指名は「麻生太郎」となり、その後、麻生・新総理により組閣が行われました。今日は、その組閣の過程、結果について私の若干の感想を述べてみたいと思います。

 先ず、麻生内閣の目玉人事は、麻生総理と小渕優子・少子化担当大臣だけと言えそうです。元々、「選挙管理内閣」とも言われている内閣ですが、来る解散・総選挙を意識した内閣になっているようです。そして、その意識の方向は、「内閣全体の力で闘う」というより、「麻生総理か小沢総理かの選択を迫る」という方向にあると思われます。そのため、自分一人を目立たさせることを意識した閣僚人事(自民党役員人事も同様です。)となっているようです。

 次に、麻生内閣の閣僚で目立つのは、世襲政治家が多いことです。閣僚18人のうち、二世議員(親や祖父が国会議員)率は61%、世襲(親か祖父が政治家)率は72%です。麻生総理も、父親が衆議院議員で、母方の祖父が総理大臣という名門の世襲政治家ですから、「世襲」ということを全く意に介していないと言うよりか、麻生総理の性格からすれば、むしろ、世襲批判があれば逆にそれに反発したくなったのではないかとも思われます。

 ところで、山口県内を選挙区とする国会議員も、自民党の衆(3人)参(2人)国会議員は、全て世襲です。今回官房長官になった河村健夫氏は、父親が県議(山口県議会副議長)ですが、後は、全て父親又は祖父が国会議員(衆議院議員)です。「世襲政治家は全て良くない」と言うつもりはありませんが、ここまで徹底すると、世襲以外の人にとっては、政治家(特に、有権者が一定規模以上となる国会議員)になり難いという弊害がありそうです。

 この点、民主党について言えば、山口県内を選挙区とする国政選挙で公認(内定)された人は、全て「非世襲」です。次回の衆議院議員選挙で公認(内定)されている3人(1区、2区、3区)、昨年と4年前の参議院議員選挙の公認候補2人もそうですし、残る衆議院山口4区で公認が検討されている人達の中にも世襲の人はいません。民主党の存在が、世襲政治を打破する役割を担うことができるかも知れません。

 次に、麻生内閣で気になるのが、仲良し・お友達を多く任用していることです。私自身は、麻生総理のお友達関係を良く知っているわけではありませんが、報道によれば、自民党の国会議員からも、「安倍内閣以上の『超お友達内閣』だ」という声が上がっているそうです。お友達が多いことは悪いことではありませんが、「世襲政治家」はいつも周りからチヤホヤされているので、「仕事でも自分の周りにお友達を置いておきたい」ということでは公私混同でしょう。

 ところで、今年6月に、「日本からのブラジル移民100周年記念の式典」に参加するために、超党派の衆議院議員団がブラジル訪問をしました。、私も民主党枠2人のうちの1人に選ばれたのですが、自民党の正式メンバー4人枠の中には、団長として麻生太郎・衆議院議員、副団長として河村健夫・衆議院議員、団員として塩谷立・衆議院議員(今回、文科相)が入っており、この3人が麻生内閣の閣僚になりました。やはり、お友達関係だったのでしょうか。

 最後に、これは報道で知ったことですが、閣僚ポストの「たらい回し」が行われたようです。中山成彬氏は行革担当相を断り国交相に、甘利明氏は国交相を断り総務相になりかけましたが、鳩山邦夫氏が法相を断って総務相になったため、行革担当相に回ったとのことのようです。本来あるべき「適材適所での任用を目指した」とはとても言えない「私情を優先した」組閣であったことが窺い知れます。

 以上のような特徴や経緯を持つ麻生内閣は、現在の国政を巡る厳しい諸課題を克服するとともに、麻生総理が「天命」と言っている民主党との決戦(総選挙)に勝利することができるのでしょうか。とても心もとない内閣のようにも思えますが、この内閣の実態は、これからの国会審議の中でいずれ明らかになってくると思います。