本日夜、福田総理が、辞任の記者会見を行いました。安倍総理(当時)に続いて、またしても、「突然の辞任」です。そう言えば、福田総理が誕生した昨年の9月には、「福田総理の総理としての最低限の望みは、①サミットの議長を務めることと、②安倍総理の在任期間(1年)を1日でも上回ること」とささやかれていましたから、本日の辞任発表は、新しい自民党総裁選びの期間を考えると、その望みをかなえることのできるタイミングでもあります。

 しかしながら、辞任の本当の理由は何なのでしょうか。福田総理は、辞任の決意について、「(新しい)体制を整えた上で国会に臨むべき。新しい布陣の下に政策の実現を図っていかないといけない」と記者会見で説明しました。しかし、内閣改造をたった1ヶ月前に行って、「さあ、臨時国会だ」という時期に辞任を決意するというのは、いかにも唐突です。自分自身が「国の最高責任者である」という自覚も足りないように思います。

 辞任に当たっては、民主党に対しても非難の矛先が向けられました。「先の国会では、民主党が重要案件の対応に応じず、国会の駆け引きで審議引き延ばしや審議拒否を行った」と民主党を非難しましたが、そのような結果に終わったのは、自らが「解散・総選挙」という伝家の宝刀を封印してしまったからに他ありません。早期の解散・総選挙を求める野党に対して逃げ回るだけでは、事態の打開を図ることができないのは当然ではないでしょうか。

 私たちは、「3年前の郵政民営化解散・総選挙で、衆議院で与党が3分の2以上の議席を獲得したが、その後、選挙で国民の信任を得ていない総理が、安倍、福田と二代続いて誕生した。1日も早く国民の信任を得るための解散・総選挙を行うべきだ」と再三再四主張してきました。もし、解散・総選挙で与党が勝利すれば、「民意は我にあり」ということで、参議院での与野党逆転状況にも、何らかの打開手段が講じ得たのではないでしょうか。

 福田総理が辞任に至った本当の理由は、与党内部にあったのではないかと、私は思います。今年4月の補欠選挙で福田総理が私の対立候補の応援に来た時も、「どんな情報に基づいて、誰の判断で、応援にやって来たのだろうか」と思いましたが、案の定、与党候補の敗北(マスコミでは「大敗」と表現しているところもありました。)に対して、与党の幹部で責任を取った人は誰一人としてありませんでした。正に、「裸の王様」状態であったと思います。

 今回も、与党内で、給油支援特措法の延長問題や補正予算での定率減税の取扱いを巡って、福田総理の考えていることと違った方向で議論が進んできていた上に、公明党からは、年末年始の解散・総選挙を強く求められていたと思います。そのような状況では、福田総理の「内閣改造での『実務者内閣』の下で実績を着実に挙げ、内閣支持率を上げる。」という思惑が実現する可能性は全くありません。これでは、辞めたくなるのも無理はありません。

 ところで、福田総理が辞任することで、これから、どんなことになるのでしょうか。心配されることの一つは、福田総理が約束をしたことがこれから実現されるのだろうか、ということです。福田内閣の閣議だけで約束されている「道路特定財源の一般財源化」について、新しい内閣でも維持・実現されるのか懸念されます。私の地元で補欠選挙の際に約束された「米軍岩国基地の民間空港との共用化」も、これからどうなるのか心配です。

 しかし、最も関心がもたれるのは、新しい総理の下で行われる解散・総選挙が何時になるのかです。与党の選挙戦に大きな力を持つ公明党が年末年始の解散・総選挙を強く求めているようですが、焦点は、①臨時国会冒頭解散か、②補正予算成立後・来年度予算編成前か、ということでしょう。臨時国会で、「政治とカネ」、「補給支援特措法延長問題」などで厳しい追求が予想される中では、自民党総裁選挙で盛り上がった直後の臨時国会冒頭解散もあり得るのではないかと思います。