慢性に続く下痢に参苓白朮湯の加減の「資生湯」 | 群馬県・桐生 仁盛堂漢方薬局の一日(中医学基礎)

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皮膚疾患(アトピー性皮膚炎)・不妊症相談・精神疾患など
のご相談を得意としています。

 

 下痢が続くと栄養素が吸収できないわけ

ですから体がだるく疲れやすくなるのは誰でも

すぐ想像できます。

 

  「下痢」のお客様に一番使うのは参苓白朮散

(健脾顆粒)です。中医学特有の理論が組み

込まれている処方です。「脾陰」に注目しています。

 

 清代・唐容川が《血証論》で、わかりやすく説明

しています。

 「脾陽不足すれば、水穀はもとより化さず、脾陰

不足するも、水穀はまた化さざるなり、たとえば

釜中に飯を煮るに、釜底に火なければもとより

熟さず。釜中に水なくともまた熟さざるなり」

 

 脾の運化作用(胃が消化吸収したものから

精微物質“栄養物質”を体全体に運ぶ)が働く

のは脾陽と脾陰が協調し相互補完している

からだといっています。

 

 上で紹介した参苓白朮散(健脾顆粒)は

健脾益気作用の四君子湯に脾陰を滋潤する

山薬・蓮子・白扁豆・ヨクイニンが配合され,

茯苓・ヨクイニン・白扁豆は利湿し、湿盛の

諸症にも配慮されています。

 

 実は今回この参苓白朮散に消導(消化)作用

のある麦芽・山査子・神麹(しんぎく)などを

加えると「資生湯加減」となります。

 

 まったく食欲がなく、疲労倦怠の極にあり

体を動かすのが億劫でならないという

お客様がこの「資生湯加減」で改善しています。

 

 このお客様、難治な別の疾患を患っていて

免疫抑制剤を服用されています。

 

 西洋薬の副作用で食欲をなくし、倦怠感の

強い方にお勧めできるかと考えてる所です。