呼吸活動を推動する宗気 (呼吸が苦しい) | 群馬県・桐生 仁盛堂漢方薬局の一日(中医学基礎)

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  年初めから呼吸が苦しいというお客様が

二名来客されました。

 

 「呼吸」というと「呼」は肺、「吸」は腎と関係がある

と中医学では考えます。

 

 今回は「呼吸活動を推動する宗気」について考えて

みました。

 

 興味深い文章が「医学衷中参西録」にありましたので

紹介したいと思います。(治大気下陥方)

 

  宗気は自然界から吸入する気と脾胃の消化吸収に

よってできる水穀の精微物質からの精気が結びつき

できます。

 

 「大気は、元気を根本として水穀の気で養われ、胸中に居を

定めたものである。全身を支持し諸気の網領である。

 

 肺を包み込んで支え上げ、呼吸の枢機を司る。」

 

 「大気には外感の気と胸中の気の二つの意味があり、

内経でいう宗気が大気であることを知った。」

 

 「胸中の大気が外から肺を包みこんで支え上げ

大気が肺を鼓動して呼吸させ、肺中の気はこれによって

出入する。」

 

 「吸入した気は胸中の大気と通じていないが、じつは

肺の膜を隔ててその1/4が透過して胸中の大気を養い、

 

 余りの3/4が臓腑中の濁気と入れ換わって呼される。」

 

 「大気は諸気網領であるだけでなく全身の血脈の

網領ともみなし得る。」

 

 ようするに、呼吸が苦しいとう症状は気逆と考えて

しまうことが多いですが、「大気下陥」の場合もあるので

弁証に十分注意しなければならないといっています。

 

 この本で升陥湯という黄耆を中心とした処方の加減で

「大気下陥」を治療した10数例がのっています。

興味のある方は読んでみて下さい。

 

 この部分最初に読んだ時はまったく理解できません

でした。

 

 書き始めたときは、呼吸を自覚して、新しい外気を

取り入れるにはまずは肺中の濁気を十分出す必要が

あることを意識していたのですが、肺以外の臓腑の

濁気も呼吸に関係していると知り、あらためて中医学の

深さに驚いています。