車道脇の歩道を歩いていた






歩道と車道には段差があり
歩道が20㎝程高くなっている








同じ歩道内の向かい正面から自転車が走って来た







広い歩道ではないが
すれ違うだけの幅は十分ある







しかし自転車の運転者は高齢な爺さんで

随分とゆっくりな速度

ふらふらと覚束ないハンドルさばきで向かって来る









俺とすれ違う為に歩道内車道側に寄るチャリンコ爺さん







そして
いざすれ違わんという所まで来た時








スコッ




ふらふらハンドルさばきの爺さんは
自転車ごと車道に落ちてしまった









サドルで股間を痛打した爺さんは
多少悶絶している




爺さんのそれは既に男としての機能を失っているはずだが

痛みだけは永遠のものらしい






後ろから来た車にクラクションを鳴らされる悶絶爺さん






上手くすれ違えなかった事を人のせいにする様に俺を睨み

歩いた方が早いんじゃねえか

というスピードとハンドルさばきで
再びふらふらとチャリンコ爺さんは走り始めた
















話は変わり

ロードワークをしていた時の事






多摩川へ行くまでの道中に
危険な曲がり角がある






この曲がり角

角にある家の塀がそびえ立っている上
カーブミラー等もなく向こう側が全く見えない






いつもここを曲がる時は走るスピードを緩め

角の向こう側の物音や気配に集中しながら曲がる









この日もいつも通り

ゆっくりと気を配りながら角を曲がろうとしていた






が次の瞬間

角の陰から勢いよく自転車が飛び出して来た





自転車の運転者は高齢な婆さんで

ブレーキを掛ける気配もなく

こっちに気を配る事もなく明後日の方向を見ながら俺に突っ込んで来た







避け切れず俺の下半身に自転車が直撃したかと思うと

逆に勢いづいた上半身が言う事を聞かず

勢いに任せるまま
俺はチャリンコに乗った婆さんの顔面横にヘッドバットを食らわせてしまった






そのまま俺は前のめりに倒れ

婆さんは横倒れになった







俺は何ともなかったが
婆さんは痛みとショックからか

しばらく三途の川を眺める様に遠くを見つめていたが

やがて冷静に状況を把握すると
「あいたたた」

と第一声






俺は婆さんのチャリンコを起こし

婆さんの身体を起こし服の埃を払い

頭突きをかましてしまった顔面をいたわった






幸い婆さんに怪我はなく

自分で自転車をこいで帰るという







ふらふらと自転車をこぎ始めた帰り際

「周りをよく見て走ってね」

と自ら突っ込んで来た婆さんの見事な捨て台詞




頭突きの後遺症を残してしまった












とにかく彼らの身を守る為にも
高齢者に対して自転車の運転能力等をテストし

規制を定めるなどした方がいい






ここ最近チャリンコ老人を見掛ける度に

危なっかしく感じて仕様がない