俺は今

顔面の左半分の感覚が鈍い




12月10日
試合で左頬骨を骨折していた




手術等はせず自然治癒の方向だが
これから極寒の冬がやって来る

まずい事になった








これからの時期
寒さの影響で鼻水を垂らす恐れがある




だが俺は今左の鼻の穴の感覚がない

よって気付かずに垂れ流しになる可能性がある









今日もラーメンをすすった後鼻の辺りを触ってみると
透明の鼻水が流れ出ていた

自覚症状は全くなかった




いよいよまずい








これから俺が左の鼻穴から鼻水を垂れ流していた場合は
優しく見守るか囁くかしていただけると有り難い

















試合の翌日は5日前

顔面に違和感があったので家の近くにある町医者に診てもらった




レントゲンを撮り

齢70近くの爺さん医者がそいつを覗き込む




「骨に異常はないね~」








内心ほっとした




「どれどれ」

医者の爺さんは腕を伸ばし俺の顔面を触り

痛む箇所を指でぐいぐい押してきた








痛ててて




つい声が出ると

「なんだい
折れてもいないくせにやたら痛がるね~」




人を根性なし呼ばわり




成す術がなく引き上げた






折れていないに越したことはないが
どうしても違和感があったので一日挟んでから総合病院に行ってみた








そこで担当してくれたソバージュ頭の耳鼻科医は

症状を聞き俺の顔面を見て一言

「おそらく頬骨が折れてますね
念のためCT撮りましょうか」




え?折れてるんですか?




先の町医者の件もあったので驚いて聞くと




「まあ 分かりやすく言うと海老蔵なわけですよ」








なるほど大変分かりやすかったが
医者としてその説明は正攻法とは言えんだろう






おとなしくCTを撮り再び診察室に戻る




すると
ソバージュ頭が俺の顔面CT画像と睨めっこしていた




そして悟った様に一言

「まあ

やはり海老蔵なわけですよ」




自信が確信に変わり妙な笑みをこぼしている




巷で騒がれている海老蔵の再来と勘違いしたのか
何かが嬉しかった様だ














手術の有無については

もう一人の口腔外科医の話も聞かされた




頭蓋骨模型を使いながら

「このプレートで支え
このワイヤーで吊る手術になります」

実物を見せてくれて非常に分かりやすかった




結局手術は行わず自然治癒の方向にまとまったのだが

やはり最後に一言

「まあ分かりやすく言うと
海老蔵と同じという事ですな」
















何が分かりやすいのか全く分からないが

俺も医者も何故か非常に分かりやすかった様な気になる




こんな所で役に立っているとは海老蔵本人知る由もない
















それにしても

あの町医者の爺さんは本当に医者なのか

あっぱれ過ぎる誤診で文句を垂れる気すら起きない