戦争が「終わった」のか、それとも「続いている」のか。
ここ数日で流れてきたイラン情勢に関する一連のニュースを追いかけていると、正直頭がこんがらがってくる。それぞれの立場が微妙に噛み合わない主張を並べ立てていて、まるで何層ものスクリーンに映し出された別々の映像を同時に見ているような気分だ。

そこで今回は、いくつかの代表的な報道をピックアップし、その断片を繋ぎ合わせて現状を掬い上げてみようと思う。

「敵対行為は終了した」という主張とその裏側

まず驚かされたのが、トランプ米大統領が連邦議会に宛てて送った一通の書簡の内容だ。「イランと停戦に入り、敵対行為は終了した」と明記されている。

2月28日に始まったこの紛争の根拠法である「戦争権限法」。大統領が議会の承認なしに軍事行動を開始した場合、その理由を説明する期限が5月1日に迫っていて、この書簡はその対応という側面も持つ。

つまり、「もう戦いは終わっているのだから、この法律の適用範囲外だ」という理屈になる。しかし、議会の民主党議員たちはこれに真っ向から反発している。イラン港湾の封鎖は続き、世界のエネルギー市場も不安定なままだというのが彼らの主張だ。

一方、同じトランプ氏は別の場でこうも語っている。米国はイランとの対立から早期には撤退しない、と。「戦いは終わった」と言いながら、「撤退はしない」とも言う。これは「戦術的な停戦」と「戦略的な圧力継続」という二つのレイヤーを同時に回しているように映る。

イランの「最新提案」とトランプの「不満」

次に、イラン側の動きを見てみよう。イランが戦闘終結に向けて提示した最新の提案について、トランプ氏は「不満」を露わにしている。ここが最も鮮明な対立軸と言っていい。

イランの政府高官は、その内容について次のように説明する。

· まず、イスラエルと米国がイランを再び攻撃しないと保証する。
· それを受けて、イランがホルムズ海峡を開放する。
· 同時に、米国がイラン港湾の封鎖を解除する。
· その後に、核問題の協議に入る。

つまり、核問題を棚上げにして、まずは敵対行為の停止と封鎖の解除を優先したいというのがイランの提案の中身だ。イラン側はこれを「重要な譲歩」だと説明している。

しかし、アメリカ側はそうは捉えていない。米当局者は、トランプ氏が「核問題の協議を後回しにすることに不満を抱いている」と明かしている。アメリカは紛争当初から核問題に最初に取り組まなければならないという立場を崩しておらず、この点が両者の根深い食い違いとなっている。

トランプ氏は記者団に対して、次のような何とも恐ろしい二択を自ら口にしている。
「彼らを徹底的にたたいて永久に終わらせるのか、それとも合意を試みるのか」。

これが戦争と平和を同時ににらんだ、重たく生々しい言葉だ。数歩引いた立場から見ると、ディール(取引)だのなんだのと騒ぐ以前に、このゲーム自体のルールがそもそも対等ではないのでは? という素朴な疑問を抱かざるを得ない。

「ホルムズ海峡封鎖」を見る3つの目の視点

そしてこの膠着状態に、第三者的な立場から一石を投じているのが中国だ。

中国の傅聡国連大使は、トランプ大統領の今月予定されている訪中に際し、もしホルムズ海峡が依然として封鎖されていれば、この問題が主要議題になると明言した。

傅氏は記者団に対して、次のように自身の見解を述べている。
「イランはホルムズ海峡の制限を解除する必要があり、米国は海上封鎖を解除する必要がある」。

さらに、停戦が一時的なものに過ぎず、新たな攻撃が開始される可能性について「中国は非常に懸念している」とも述べている。

この発言には、中国のエネルギー安全保障上の重大な関心と、国際社会の調停者としての立場を同時に意識したバランス感覚が感じられる。

原油価格は「不満」をどう受け止めたか

市場関係者が最も注目しているであろう原油価格の動きだが、こちらも実に特徴的な値動きを見せている。WTI先物6月限は前日比3%安の1バレル=101.94ドルで取引を終えた。

和平交渉が「行き詰まってはいるが、決裂はしていない」と判断されたこと。そしてイランが外交努力継続の用意を示したこと。それらが材料視され、一旦はリスクが後退したと見られているようだ。

しかし、この価格はあくまで週末を前に薄商いの中で形成されたものだ。トランプ氏の「不満」や、海峡封鎖を巡る実態が変わっていない以上、この軟化がいわば「束の間の休息」に過ぎない可能性も十分に想定しておくべきだ。

結局のところ、あらゆる報道を手繰り寄せてみると、今この瞬間に最も確かな情報はこれだけかもしれない。
「戦闘は止まっているが、先行きはまったく見えない」。

トランプ氏は武力行使をちらつかせ、イランは封鎖解除と引き換えの外交カードを握り、中国は待ったをかけている。

こうした複数の思惑が交錯する中で、原油や株式といった市場のセンチメントがどう方向感を出すのか。今週はその綱引きから目が離せそうにない。

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