彼と出会ったのは大学の時でした。


彼は相当なインテリで、いかにもなガリ勉タイプで

あまり人を寄せ付けない感じで、友人もいなさそうな

正直初対面から好きになれないタイプでした。


その後、同級生飲みにたまたま彼も参加しており

飲み会で全く誰とも話さない彼を見て、幹事である

俺の義務感が発生し、渋々彼のそばに行って

初めて話をしました。


でも、話してみて印象がものすごい変わりました。


若い時に、同じアイドルグループが好きだった事が

発覚し(Oクラブです)、ひとしきり盛り上がり

又、彼は高校の時に本当に好きになった女の子に

散々な扱いをされ、人間不信に陥ってしまい

そこから自分の為だけに時間を使おうと思って

ひたすら勉強にあけくれたそうです。


俺もどちらかというと人間不信なタイプだったので

意気投合し、それからは二人で飲んだりする様に

なりました。


ただ、彼の女性に対する不信感はかなりのもので

その事を払拭出来ないと、将来困るだろうと思った俺は

いつも通りのおせっかい心が出て、ある女性を紹介する事に

しました。


彼みたいなタイプには、「あねごタイプ」がぴったりだと

俺は思っていて、ちょうどその時

「本当は可愛いくせに強がっている余りあねごタイプに

なってしまっている」友人がいたので

最初は3人で飲みに行く事からはじめて

二人は付き合いはじめました。


彼女は持ち前の明るさで、彼の人間不信を消してくれて

彼も、もともと持っていた人間的魅力を素直に

出す様になり、ベストカップル(死語)になりました。


彼と彼女は大学を卒業しても、ずっとお互いを尊重しながら

良い付き合いをはぐくんでいたのですが、

周りも俺も「なんで結婚しないんだろう??」と

ずっと疑問に思ってました。


去年の冬に、俺が精神的に病んでいた時期に

彼が飲みに誘ってくれました。

実際会うのは1年半ぶり位だったのですが

ブランクを感じさせずに楽しく話しが出来ました。


その際に彼は、「父親が脳卒中で倒れてしまい

家族みんなで介護している状態。こんな状態じゃ

結婚どころじゃないんだよね・・・」

と話してくれました。


こんな真剣な悩みがあるのに、明るくふるまい

俺のどうでもいい悩みを聞いてくれていて

「いいのいいの。お前(俺の事)は恋愛ベタなんだし

どんなに頑張っても大切な人に気を使いすぎるんだし

それを引きずって生きたらいいんだよ(笑)

でも、それはお前の良い所でもあるんだから

無理に変えずに自分らしく生きていけばいいさ。

それでこの先幸せが来なくても、それはお前の

せいじゃないんだから。

ただ、たとえ周りに迷惑を掛けたっていいから、

自分のしたい様にしていいんじゃないかと思うよ。」

と、かなり的確なアドバイスをくれて、俺も考え方を

前向きに変える事が出来ました。


さらに彼は「彼女には迷惑を掛けたくないから

何も言わずに別れようと思うんだけど、どう思う?」

と質問してきました。


俺は、「お前の好きな様にしたらいいさ。結局後悔する

事になっても、お前の決めた事なんだから・・・・・

なんて言うと思うか?何年付き合ってるんだよ!!

どうせ別れるつもりならきちんと話すべきだし、

彼女だって話して欲しいと思ってるに決まってるよ」

と、かなり青春ドラマチックな回答をしました。


彼は「お前の言うとおりだけど、少し考えてみる」

とだけ言い残し帰っていきました。


そして、今年の4月に俺は出張で札幌にいたのですが

彼が彼女を連れて札幌までやってきました。


彼は一言

「彼女と結婚したよ」

と報告をしてくれました。


自分が不幸な状況だったとはいえ(笑)

二人は本当にうらやましい位の幸せさを

かもしだしていたし、心から祝福が出来ました。


いやー。

よかったよかった。

二人は幸せに暮らしていけるといいね。


先週、彼は脳卒中で帰らぬ人となりました。


昨日、仲間うちでのお別れの会があり

最期の挨拶をしてきました。


人生って公平には出来ていない事位は

子供じゃないから理解は出来るつもりっだたけど

あんまりだよね・・・。


彼はきちんと勇気を振り絞って彼女に話をして

彼女もそれを受け入れてくれて、

振り絞った勇気の分の幸せが目の前にあったのに

あんまりだよね・・・。


こんな事を言ったって仕方が無いけど

人間って何のために生きてるんでしょうか??


正直、まだ彼の死をうけとめられてません。


とてもじゃないけど働く気力にもなれず

会社には行っていません。

(同僚のみなさんごめんなさい)

とてもじゃないけど人と話す気にもなれません。


所詮自分の事じゃないんだから、俺がどれだけ

落ち込んでも仕方が無いのかもしれません。


だけど今、彼と出会ってからの記憶を文字にしてみて

やっぱり自分の胸の中にはこの言葉しか出てきません。


「あんまりだよね・・・・・」