大学を卒業して間もない頃、私はインド旅行を計画していました。

ところが、母の猛反対に会い断念することに。その頃はガンジス川には死体が浮いていて、町中に行き倒れた人々が横たわっていると言われていたからです。

インドでは古代より宝石で運勢のバランスを取ると信じられています。

病院へ行くように占星術師のもとを訪れて、石の処方箋を書いてもらい、薬局へ行くように石の販売店へ行くのです。

私は興味をひかれ、体験してみたかったのですが、母に逆らうと碌なことにはなりません。

サンスクリット語の文書に明記されている九種の重要な宝石が森羅万象の小宇宙を象徴しているとされていますが、その中にルビーやエメラルドと共に「ジルコン」という宝石が入っていて、なんとなく違和感を感じたのを覚えています。

実際に「ジルコン」を目にしたのはスイスの宝石店でした。 

ヨーロッパでは中世からジュエリーに幅広く使われてきました。赤いジルコンは「火の石」と言われ聖書にも登場します。

褐色がかった赤色の石の中で何かが燃えているような輝きが印象的です。

日本では人造石の「キュービックジルコニア」と混同されて、全く人気がないのですが、「ジルコン」はれっきとした天然石で強い輝きと虹色ファイヤが見られ、透明度が高く、硬度も高い美しい宝石です。

産出量が多く、低価格であることも魅力です。市場に多く流通しているのは青色ですが、白、黄、赤、緑など多彩です。

地球について語れる地質学的な時計の役割を果たしていることも私が好きな理由の一つです。