母もまた、きれいな物が好きでした。

中学に上がる前くらいでした。私の部屋へ来て、宿題をしている私に、「これいいでしょう」と言って金色のブレスレットを見せてくれました。イタリア製の手組みのチェーンなのだそうです。

私はその時初めて、手作りのチェーンがあることを知りました。西日に光るブレスレットはとてもきれいで、高そうに見えたので、「パパのお給料の何割位だった?」と聞いてみました。「同じくらいかな」母は涼しい顔でそう言いました。えっ!子供心にこれはおかしいと不安になりました。この日の思い出が私を堅実な大人にしました。