去年、久しぶりにバンコクを訪れましたが、立派なビルが立ち並び、街もきれいになっていて驚きました。
私が初めてバンコクを訪れたのは20年以上前のことです。
今とは違い、野良犬が街をうろうろしていて、何をするわけでもなく、埃っぽい道端に人々がしゃがんでいました。知人からマックで飲んだコーヒーで食中毒になり、入院した話や、浅い川でも落ちたら、細菌が体に入って重体になる話を聞いていたので、怖かったのですが、どうしても宝飾展に行きたい気持ちを抑えられませんでした。一人で行くことを心配した主人が、現地に駐在勤務している人を探して、連絡してくれました。どうしても困ったことがあれば、頼れる人がいるのは心強く感じました。会場に入るための事前申請を日本でして、会場へのシャトルバスがあるホテルに泊まることにしました。今回は仕事と割り切って、ホテルを朝出て、最終のシャトルバスでまたホテルに帰る三日間でした。会場で気に入った業者さんと連絡先を交換して、小さな石をいくつか購入しました。食事は会場のレストランとホテルで食べましたが、タイ料理はどれも私の口に合い、これもその後、頻繫にタイを来訪する理由となりました。
二度目は、前回名刺交換をした工房を訪ねることにしました。といっても土地勘が全くなく、英語のできるタクシーの運転手さんと一日契約をして連れて行ってもらうことにしました。「住所はあっているけれど、本当にここなのか?」とタクシーが止まった所は何の表札もない、小さなドアがあるだけでした。ドアの前には目つきの悪いお兄さんが竹刀を持って座っていました。やめた方がいいと言う運転手さんを振り切り、私は車を降り、予約した名前を言うと、怖そうなお兄さんがドアを開けてくれました。階段を上っていくと、多くの職人さんが
働いていました。四階に上がるように言われ、待っていると、予想していたより若い女性が「本当にHIDEKOという名前の日本人がいるのね」と言いながら入ってきました。数年前に日本兵とタイの女性の恋愛映画がタイで大ヒットしたそうです。「日本語の名前を付けてほしい」とせがまれて日本兵が彼女につけた名前がHIDEKOだったそうです。この話が盛り上がり私達は仲良くなり、何年も一緒に仕事をしました。(続く)