ギャラリーを運営している人と知り合いになりました。展示会のプロデュースもしてくれるというのでお願いすることに。

展示会当日ギャラリーの入り口でたくさんの百合の花に迎えらました。「好きな花は何ですか?」と聞かれたわけはこれだったのか!彼女の心遣いが嬉しかった。一週間気分よく仕事ができそうだ。

友人がデパートの催事の帰りに訪れてくれた。某一流デパートの担当者も一緒でした。「お宅で展示会ができるほどになれたらいいんですけどね」と彼に挨拶代わりに軽い気持ちで言いました。

もともと私はジュエリーの仕事で儲けしようなどと思っていなかった。さすがに赤字が出るのは困るけど、利益よりも自由にやりたいことをする方を優先していました。

何日かして、デパートの彼から電話があった。バイヤーに会う算段をしたというのです。

戸惑ったけれど、友人の応援もあり、バイヤーさんが家に来ることに。

当時まだ会社もなく、急遽部屋の一つをアトリエっぽく片付けた。「こんな小さな場所で驚いただろうな」と思いながら、今まで作った作品を見せてプレゼンしたけれど、経済力もキャリアもない。これと言って秀でたものなど何もなかった。

だから「社内の反対もありましたが、お取引を」と電話があった時には信じられませんでした。

何年も後になって分かった事ですが、バイヤーさんが若い頃、外回りの営業をしていて、私の家の近くの方に大変お世話になり、助けられたそうです。そのお宅にはHIDEKOさんというお嬢さんがいらしたので、彼の頭の中に「恩人のお嬢さん」とインプットされてしまったのです。もちろん私とは何の関係もない方です。

彼の勝手な誤解で私はどんどん引き立てられました。階段を上ろうとしていたら、突然後ろから押されて、エレベーターに乗ってしまった、そんな気分でした。