われは妖刀――。名を紅(くれない)と申す。われに形はない――。
われが妖刀で、いつからそのように呼ばれておるのかも覚えておらぬ――。
古より、生きとし生ける「人」の真中にわれは住まう――。
そうして「人」から「人」へ伝えられておる――。
うぬの真中に住まうわれに、気付いた事もあるであろう――。
われに気付きし勇気ある者は、その力を信じ、皆で磨きあい、皆を率いて国を治めた――。
われに気付きし利用し者は、己を過信し、皆を傷付け、己に傷付き、国を滅した――。
後にも先にもわれに意思はない――。
うぬに従い変化(へんげ)するのみ――。
意志を持つのはうぬである――。
われを使うのもうぬである――。
うぬを解き放ちたくば、われを見つけよ――。
われはうぬの真中に住まう――。