毎年2月と8月に観劇する劇団ドガドガプラスの公演。しかし今回ほど観劇に大変な時はありませんでした。


この2020年前半に襲ったコロナウィルスの影響でスポーツ演劇エンターテイメント系の興行は軒並み中止あるいは延期の状況に。
幸いこの公演に関しては日程の変更こそありませんでしたが、公演後の写真撮影に関しては中止。初日乾杯なども短縮などと少なからず影響はあったと思います。そして公演中にもさまざまな演劇やスポーツ、イベント系が中止になっていくために直接ではなくとも皆気が気でない状況だったと思います。
かくいう私も仕事の影響に関しては少なかったのですが、その前に2月前半は腰や骨盤をやられてしばらく歩行困難だったため仕事ができず、また3月以降にも大きな予定があるため予算を使えず、今回の公演は前半に見に行ったわずか一回だけにとどまってしまったことが悔やみでした。
一回しか見に行けなかったのは以前公演中に高熱を出し、39.4℃の熱を薬で下げて三日後の公演後半に強引に見に行ったときが一回だけ。
それ以外はこの12年くらいで必ず一公演につき二回以上は見に行ってたし、ましてや今回は久しぶりの新作だったので後半に行けなかったのは悔しかったです。

なので今回は見た記憶を振り絞って感想を書く程度に限りますが、一言で言えば勉強になった公演でした。


ここ近年の公演は過去作の再演が多くありました。
過去作に関して言えば公演ごとのヒット曲もあり、お話が完成されてる分の安心感はあるのですが、前の話を忠実に再現しなければならない分いじれる所は少なかったから役者がどう成長したかは少し見えづらい部分もありました。


しかし今回は完全新作ということもあって、一から新しいモノを作るとなればその分一人一人が今まで培ったものがどう活かされて力になってるかというのがわかる。
大岸明日香も若い若いというイメージがあったけど、気がつけばなかなかいい年になっているので本格的にメインをやるのもむしろちょっと遅かったような気さえします。


私などは年間にいろんな劇団のいろんな作品を見ますが、芝居の系統で言えばドガドガプラスはまた別格なのです。
劇団として個性的な色を持っていて唯一無二というのはまあ他にもあるでしょうが、やはりドガドガの独特な色というのはまた次元が違うようなところにあり、分かりやすく言えば普通の芝居では見るようなことのできない男女の描き方というか、特に今回も新顔の人たちを何人か見かけましたが、そういう若い人たちにはいろいろ勉強になったのではないかと思います。


二年ほど前に神田の居酒屋さんを貸し切りにしてドガドガマチネという飲み会を何度かやっていた時に私は望月監督と当時レギュラー出演していた中瀬古健ちゃんと三人で話すことがあり、普段はなかなか聞けない話を聞いたのですが、私もそこそこ幅広い知識を持っている自信はあったのですが、望月さんの知識量の多さと時代背景の記憶力については脱帽するばかりで、とにかく私が知らないことをいろいろ知っているし、まあいかに世代が違うとはいえこれはとてもかなわないなと思ったほどです。
だからこそ簡単に模倣できる作品でないし、またそれを乗りこなすのがすごいのだと。


それを正に今回体現していたのが座長丸山正吾でした。
ここ最近ドガドガ作品に関しては重要な役は若い人たちに任せ、自身は脇役的なとこにいることが多かったのですが、今回は自身過去最長とも言えるセリフ量をしゃべったと!!


そう聞いた時に彼の長いセリフ量と聞いて真っ先に思い浮かんだのは六年前に公演した「問わず語り」でした。
あれも幅広い年齢の差をこなし、かなりの量のセリフ量だったと記憶していたので本人にそのことを聞いてみたのですが。


しんどさという点では今回の方がはるかにしんどかったそうです。
問わず語りの方がまだ楽と聞いたらゾッとするような感じでしたが、確かに今までの作品と比べて今回の役が大変なのは役柄が噺家なだけに落語っぽく話が聞こえないといけない。
また今までの作品であれば相手との話の掛け合いでリズムに乗ればいいのだが、今回は一人で延々としゃべっていなきゃいけない所もあるし、雰囲気を出すため早口でないといけない部分もある。
元の役者としての技量が相当高くないととても無理な役ですから、これそのものが今回私が特に勉強になったと思う点であり、若い役者さんたちに是非学んでもらいたいなと思う部分でした。


今回は一回しか見られなかったから深く読み込むことができなかったため他の人たちの話をするのはまたの機会に譲るとしますが、次回は30回記念公演ということもあるので、出来れば私が知っている若い役者さんたちを見学のために連れて行きたいなと思っています。


しかし一回しか見に行ってないし、なおかつ前説とカーテンコールしか撮ってないのになぜ100枚以上も写真あるんだろ(笑)。
さすがに12年近くも最前で見ていると何をしなくともカメラ持ってたら目線がどんどん来るからこっちが追いつかなかったりして(笑)。


それではまた浅草でお会いしましょう。