最終講義を前にご挨拶される白木仁教授

 

「選手を強くするために―アスレティックトレーナーの目で―」というテーマで2022年2月7日に開催された白木仁教授の最終講義を聴講した。

 

 白木先生は北海道出身で、高校時代より110mハードルの選手として活躍され、筑波大学体育専門学群に入学。しかしご自身の怪我をきっかけにやむなく選手継続を断念され、その後はアスレティックトレーナー(AT)として生きていくことを決断されたという。

 

 白木先生は、大学卒業後、ミズノやアシックスの専属トレーナーとして活動された後、1991年に母校に教員として赴任されて以降、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー養成校の認定、トレーニングクリニックの開設など、筑波大学に留まらず、日本におけるATの教育・養成に大いに尽力される傍ら、自らATの先駆者として、現場に立ち続けられた。

 

 白木先生がATとして携わった選手、競技団体は枚挙にいとまがないが、当日最終講義に出席された工藤公康元ソフトバンク監督をはじめ、ゴルフの片山晋呉選手、スケートの清水宏保選手などとは、選手とATという関係を越えて、深い親交があるとおっしゃていた。

 

 講義では、これまでに積み上げてこられた経験と、研究成果をもとに、選手を強くするためにATがどのように関与すべきかについてご高説いただいたが、その要点を私なりにまとめてみた。

  • 選手に身体の正しい動き方を習得させる
    • 身体の中心を使えるようにする
    • 身体感覚を鋭敏にする
    • 身体の構造と機能を理解する
    • 動きを見る目を養わせる
  • 選手の身体のケア、疲労の回復、障害の予防
    • テーピング、マッサージ、ストレッチング
    • スポーツ現場における選手の痛みの管理⇒痛みの評価と原因究明
    • フォームに関連するけがの予防⇒運動学的に合理的なフォーム

 ほんとは、もっといくつもポイントがあって、とうてい網羅しきれないが、私も現場でコーチをしていた身からすると、指摘されることすべてが「確かにそれ大事だわ!」ということばかりで、さすが白木先生の指摘は的を射ていると感心した。

 

 講義の最後に白木先生はすべての関係者への感謝を口にされたが、私の方こそ、白木先生には体育センターの技官時代から大変お世話になり、その後、三重大勤務を経て筑波大学に戻ってきてからも、ゴルフの研修で教えを請うたり、体育センター長としてご指導をいただいたりと、感謝に堪えない。

 

 できれば、もっと教えて頂きたいいことがたくさんあったが、定めとあれば致し方ないわけで、本当にお疲れさまでした。