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旧国立競技場と神宮外苑周辺(Google Mapを改変)

 安部首相による新国立競技場の建設計画見直し決定(7/17)から、
1ヶ月以上が経過し、新たな建設計画の概要が示された.

 もともと,1300億円のはずの建設費用が倍近くに膨れ上がったことが,
槍玉に上がったわけだから,まず見直し案の肝は,いくら建設費用が圧縮できるかであったに違いない.

 よって,アスリートからいろいろヒアリングしたものの,機能うんぬんよりは,
安倍さんにしてみれば,「1000億円も削って見せました」と,まずは金額ありきだったのだろう.

 まあ建設費が大幅に縮減されたのは良しとしても,
残念なのは,やはりサブトラックが整備されなかった事である.

  これまでも旧国立競技場にはサブトラックはなく,隣接する東京体育館陸上競技場(写真の青丸)を
サブトラックとして利用していたらしいのだが,1周200mしかなく,
「1周400mの補助競技場を併設すること」が義務付けられた現在の公認規定を満たしていなかった.
(でも実際には,第1種競技場とみなして各種競技会を実施していたようだが,,,)

 よって新国立競技場建設計画が持ち上がった時には,当然サブトラック設置も検討されたと思いきや,
JSCが最初にデザインコンペを企画した際にも仕様書にはサブトラックは含まれていなかったのである.

 ナショナルスタジアムともあろう施設が,サブトラックもなく,公認競技会も開催できないのでは,
あまりに情けないと誰でも思うのだが,冷静に現状を判断すると,上の写真の如く,
旧国立競技場の敷地は狭く,道路に近接するように建てられたので,
1周400mのトラック(写真の赤丸)をもう一つ設置するスペースは無いように思われる.
(メイントラックの地下にサブトラックを作るとかすれば,話は別だが,,,)
 
 しかたなく2020年の五輪本番では,神宮外苑軟式球場にサブトラック(写真の紫丸)が仮設されるようだが,
五輪後は撤去する計画となっているので,元の木阿弥ということなのか?

 できたら陸連の幹部に内実を聞いてみたいところだが,
想像するに,様々なやりとりがあり,結局,サブトラックを断念せざるを得なくなったのだろう.

 一方,サッカー関係者にしてみると,今後ワールドカップを招致する際に,
メイントラックに仮設スタンドを設置すれば,8万人収容スタジアムの要件を満たせることになり,
まずは要望が取り入れられて,ひと安心というところだろう.

 その影で一番割を喰ったのは,ラグビー関係者だろう.そもそも2019年のワールドカップ開催が
新国立競技場建設のドライブフォースであったわけだから,ワールドカップに間に合わなければ,
イマイチ有り難みが薄いと感じているかもしれない.

 まあ悲喜こもごも,新国立競技場建設に当っては,いろいろあったわけだが,
ノーサイドということで,今後は,ブラジルの二の舞いにならぬよう,
官民あげて期限である2020年4月までにはきっちりと完成させて,
素晴らしい五輪が開催できることを願うものである.