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つくば国際会議場にて

 この3月末をもって遠藤卓郎先生が筑波大学をご退職される。

 遠藤先生と私の出会いは、今を遡ること25年、
私がまだ筑波大学体育センターの技官をしていた頃に行き着く。

 当時、遠藤先生は図書館情報大学にお勤めだったが、
体育センターが霞ヶ浦で開講していたウィンドサーフィン授業の
非常勤講師として授業を担当され、私が補助役としてお手伝いしたのがきっかけである。

 遠藤先生は、一見するとおっとりした風貌で、決して怒ったりしない感じだったが、
時に学生の注意が散漫となり、危険な状況が予見された場合には、
非常に厳しい口調で叱責される事もあるなど、おっかない一面もあり、
優しさと厳しさを備えた先生だな~というのが,私の当時の印象である。

 その後、私は三重大学に就職し、遠藤先生との接点は一旦は無くなったのだが、
2001年に私が再び筑波大学体育センターに戻ってくると、その3年後、
奇しくも図書館情報大学と筑波大学が統合され、同僚として体育センターで働く事になったのである。

 遠藤先生は気功をベースとしたボディーワークの授業を開講され、いつも定員オーバーの大人気。
一方、私は水泳の授業を担当しているのだが、いつも希望者が少なく、閑古鳥がなく状況。

 なんで?そんなに遠藤先生の授業が人気があるのだろうかと妬ましくも思っていたが、
何度か授業に参観させてもらって、その訳が分かったような気がした。

 遠藤先生は、学生に教えるというよりは、学生に感じさせる事を大事にし、
自分の体についての気づきを与えることを主眼として授業を展開。

 一方私は、なんとか水泳の技術を教え込もうとしゃかりきになり、
学生がどう感じているのかは二の次にしていたように思う。

 加えて遠藤先生は、学生に授業で感じたことを毎回ノートに記録させ
それを欠かさずチェックして、次の授業時にコメントして返すという手間暇をかけ、
常に学生の事を思って授業をされていたわけで、私の授業との差は歴然としていたのである。

 授業以外でも遠藤先生は、何事にも真摯にまじめに取り組まれた。

 ご一緒した委員会などで、遠藤先生は、常に利他の精神でもって、自分にとって得か損ではなく、
学生や体育センター全体にとって、なにが望ましいのかを常に考え、
正論を述べられる、ご意見番的な存在であった。

 そんな遠藤先生に、ある時「高木さん、最近カラダが閉じているよ」と言われて
「ドキッ」としたこともある。
 
 事実、その時はたくさんの仕事を抱え,悶々としていた時期であった。
 
 「あぁ、遠藤先生は何でもお見通しなんだな~」と感心することもしばしばであったが、
その遠藤先生がご退職されしまうというのは、私にとっても実に寂しいことである。

 でも大学の近所にお住いで、ご退職後は気功の道場を開く予定と聞いているので、
今後は自分から教えを請いにぜひ道場に通いたいと思っている。

 遠藤先生、本当にお疲れ様でした。