2013/12/2 勇者の鼓動―未来を創るスポーツ王国論― 18:30~20:30 5C216
今,リゾート産業界で最も注目されている人物の一人,(株)星野リゾート社長 星野佳路(ほしのよしはる)氏の講義を聴講した.
星野氏は,1960年4月29日,軽井沢の老舗旅館「星野温泉」の御曹司として生を受け,現在53歳.
1983年に慶応大学経済学部を卒業後,米国コーネル大学ホテル経営大学院に留学.
学生時代は,アイスホッケーに明け暮れ,慶応大学アイスホッケー部を2部優勝に導く.
留学後,JALホテルズやシティーバンクで職を得るも,実家に戻り家業の温泉旅館を継ぐことに.
そのきっかけは,1987年に制定された通称リゾート法によって,
大手資本によるリゾート開発が全国各地で盛んとなり,
その煽りをくって,零細な星野温泉の経営は悪化.
その立て直しのために,星野氏が実家に戻ることとなった.
講義の主題は,経営破綻したリゾート施設を再建するための経営戦略についてであった.
しかし,星野氏の話は課外クラブ活動に於けるマネージメントや大学で人材を育成する上で,
大いに参考となる点が多々あった.
まず第一に取り組むべきは,組織としてのビジョンの明確化!
星野リゾートのビジョンは,”リゾート経営の達人になること”.
そのために,土地・施設は所有せず,運営に特化する戦略で,次々に経営破綻したリゾート施設の
運営を受託し,再生させることで業績を伸ばしてきた.
しかし,ただ金看板のようにビジョンを掲げただけでは経営がうまくいくはずもなく,
肝心なのは,リゾートを運営する主体となる従業員とそのビジョンと価値観を
しっかり共有することができるか否かが重要であると語られた.
もっと簡単に言えば,経営破綻して自信を失っている従業員に「夢を与えられるか?」
が再生のポイントとなると言う.
これは,停滞するクラブ活動の指導に当たるときにも通じるだろう.
ただ勝つことだけ,優勝することだけを求めていたのでは,
営業成績を上げ,利潤を追求することに執着する企業と変わりない.
そうではなく,自分の所属するクラブや部をどうしたいのか?というビジョンを共有することが大切だし,
そのビジョンを達成する上での価値観,すなわち,これはやっちゃいけないと言う事や,
これだけは変えずに守っていこうという決まり事が大切になるということは,
企業経営でもクラブ運営でも本質的には同じということだろう.