昨日,[クローズアップ現代]で,コピペ ~「ネットの知」とどう向き合うか~
という番組が放送された.

 コピペとはCopy & Past(コピー・アンド・ペースト)の略で,
インターネット上に存在する文章をコピーして,レポートなどに,
あたかも自分の書いた文章のようにペーストする(貼り付ける)行為をさす.

 私も大学に勤めているので,学生の提出するレポートの多くがコピペ
作成されていることに気づいたとき,これは「大学における教育の崩壊だ!」と
愕然としたが,今では,あまりに横行しているので,
「コピペで作成できるような,レポート課題を出す方が悪いんだ」と思うようになっている.

 というわけで,今回の番組テーマは,非常に身近で,かつ重要な問題である.

 さらに,茂木健一郎氏,斉藤孝氏,野口悠紀雄氏など,
私が常日頃からウォッチする才人が多く出演したこともあり,
大変興味を持って視聴した.

 番組の冒頭は,コピペの是非を問う,というスタンスで話題が展開していくが,
コピペは,「絶対やってはいけないこと」であるとか,
「どんどんやるべきこと」であるとか,
行為そのものを否定したり,推奨すべき類のものではないと思う.

 私自身,日常的にコピペをしているが,他人が書いた文章なのに,
自分で書いたように表現すれば,非難の対象になるだろうし,
他人の書いた文章でも,丹念に集めて蓄積すれば,データベースとしての有効活用が期待でき,
賞賛に値する.

 よって結論的には,何のためにコピペをするのかという「目的」が大切なのである.

 このようなブログを書く場合にも,自分のオリジナルな考えが,もちろんベースとなるが,
「誰々がこう言っていた」などと他人の言葉を引用する際に,うろ覚えで,適当に書くよりは,
インターネットの検索機能を使って,できる限り照合する作業を経てコピペした方が,
読み手に対する誤った情報提供を回避できる.

 さらに野口氏が指摘していたが,「これはどこかで使えそうだな」と思うデータがあれば,
コピペしてストックしておき,積み上がったデータを元に,背後にあって,
顕在化していない真実を発見できることもあるだろう.

 そんなこともあって,私もブログを書くときには,できる限りデータを載せている.

 たとえば過去の日本メダルの獲得数とか,,,別になくてもいいようなものだが,
コピペしてストックしておくことで,なにか原稿を依頼された時には,
使えることもある.

 一方,斉藤氏は,安易なコピペに対して,警鐘を鳴らしていた.

 もともと斉藤氏は,『声に出して読みたい日本語』の著作で知られるとおり,
音読することで,声に出し、『言葉を身体化する』ことの重要性を説く.

 他人の言葉を引用する際,コピペでは,マウスのドラックとクリックのみで完了し,
ほとんど身体を使うことがない.

 それに対して,斉藤氏は手間をかけて原著に当たり,3色ボールペンを使って読み込み,
そして必要とあらば,引用したい文言を自分でキーボードを打ってPCに入力する.

 モニター上に表示された文字列は,コピペした場合となんら変わりはないが,
『言葉を身体化する』過程の有る無しで,自分の言葉にするという機能面では,
大きな差となって現れてくる.

 最後に,茂木氏は,「脳も筋肉と一緒で,苦労して鍛えることで機能が向上するのだ」
と力説する.私も同感!

 卒業論文で,学生が始めて,オリジナリティが問われる文章を書こうとすると,
たいていが「産みの苦しみ」を体験する.

 何かをまねるのは簡単だが,新しいものを考え出すのは,とても苦労する.

 脳みそが「ウンウン」唸って,熱を持つぐらい,考え抜くことで,脳の機能が高まるのである.

 コピペは,非常に身近な日常的作業であるが,「何のためにするか?」今一度,
目的をしっかり考え直す必要がありそうである.