
かなりの長旅であったが、それより大変だったのは、もしかすると、出国出来ない事態に至ったかも知れないことである。
出発の前日まで、臨海実習に行っていて、全く準備が出来ていなかったし(カラマーゾフの兄弟全5巻だけは仕入れてあったが、、)、出発当日の午前中に入試業務が入っていて、バタバタだったのが原因である。
準備不足はいつもの事であるが、今回は我ながら、余りにもお粗末と言わざるを得ない。
発表原稿はもとより、パワーポイント資料も出来ていないし、挙げ句の果てに、会場の正確な場所さえ、把握していなかったのである。
カミさんには「そんなんで大丈夫なの?」と心配を通り越して、呆れられる始末。
それにも懲りず「パスポートとチケットさえあれば、後は現地に入ってから、なんとかする」との能天気な返答で取り繕う。
さらに最近は、航空券も電子化され、空港カウンターにパスポートさえ、提示すれば飛行機には乗れるので、チケットすら要らないのである。
しかし、神はそんな怠惰な私に罰を与えたもうたのだ。
出発当日の朝、適当に着替えなどをスーツケースに突っ込み、「一丁上がり!チョロいもんだせ!!」と余裕をかまし、「後はパスポートだけっ!」といつも貴重品を入れておく箪笥をみたが、パスポートが見当たらない。
「おかしいなー??」
几帳面なカミさんが「別の処にしまったのかな?」と思い、
カミさんに聞いてみたが、「知るわけないじゃない!」のつれない返事。
「ヤバイ!ここに無いということは、いったいどこに???」
入試の集合時間は迫って来るし、焦りは募るばかり。
前回、ポルトガルに行った時は、現地で全財産盗られて、残留孤児になりかけたし、
今回はパスポート紛失で、ポルトガルに向けて出国すら出来ない事態に至り、
「ポルトガルとの相性良くないのかなー」とかなり弱気モード。
結局、家の中じゅう探したけれど見つからず、万事休す。
時間切れで、仕方なく、大学へと向かった。
「トホォホォ・・」
大学への道すがら、「神様!世の中をなめていた私が悪うごさいました。悔い改めるので、お助け下さい。」と祈り続けた。
そしたらなんと、研究室の机の中から、パスポートがお出ましなさったのではありませんか、、(なんで?パスポートちゃんこんなとこにおるねん!?)
「ああ、神は我を見捨てなかった!」
てな訳で、どたばた劇の末、なんとかパリまではたどり着いのです。
続く…