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 海外旅行の楽しみのひとつに,御当地グルメを堪能することにあるが,今回の旅は「大当たり!」である.出てくる料理がどれも美味しいので,ついつい食べ過ぎて.ウェイト・オーバー気味である.ブラジルとひとことで言っても,日本の23倍もの広大な国土を持ち,気候風土も熱帯から山岳気候と多様であり,民族も白人,黒人,混血など多民族ときているので,「ブラジル料理の特徴はこれ!」と決め付けることはできない.そこで,私の滞在するオーロ・プレットが位置する「ミナス地方の料理に関して,,,」と断りを入れて話をすすめよう.

 まずは朝食.こちらのホテルはどこも朝食込みの値段で部屋を提供しているので,三ツ星ホテルに泊まっている私の場合,1泊100レアル(6000円)には朝食代も含まれている.ということは大抵,朝食は期待することはできない.毎日お決まりのものが出て,「ただ腹に詰め込むだけ」の代物と相場が決まっている.

 しかし今回滞在したHotel Priskarでは,朝食にパンだけでも15種類も用意されている.小ぶりで1口サイズの”ポン・デ・ケージョ”というミナス地方独特のパンにいろいろな具が入っており,モチモチとした食感で,これがうまい.飲み物は絞りたてのオレンジジュースの他,香り高いブラジル・コーヒーとホットミルク,これで作るカフェ・オーレはスターバックスよりいける.カッテージ・チーズにグァバ・ジャムをのっけて食べるとこれまた美味である.さらにパッションフルーツに,メロン,スイカ,バナナとフルーツも豊富で朝から大満足である.

 昼食は学会会場内のレストランで取る.これまた学会参加費に昼食代が含まれているので,簡単なランチボックスか学生食堂風のバフェであることが多いのだが,今回はちゃんとしたミナス料理のバフェ・スタイル.豊富な野菜サラダに,様々な豆や野菜と臓物を煮た煮込料理の他,肉料理とパスタ料理が日替わりで提供される.特に煮込み料理の味付けは,実に日本人の舌に合う.

 適度な塩味に様々なハーブの香りとスパイスが効いていて,なかなか味わい深い.いつもなら1日目はあてがわれたランチを食べるけれど,大抵おいしくないので,2日目からは外のレストランで食べることも多いのだが,今回は会場内のレストランがオープンするのが待ち遠しくて,時間前に列ができるくらいである.

 夕食に関しては,初日,3日目,最終日の夜は,ソーシャル・プログラムとして事務局側が開催したパーティーに参加した.特に3日目の夜は,街から30分ほど離れた,自然豊かなバーベキュー場で,”チュラスコ”と呼ばれるブラジル独特の焼肉料理にトライした.串刺しにした鶏,豚,牛肉などの肉塊に塩,ハーブ,スパイスなどをすり込み,それを豪快に焼く.焼きあがった肉を客の前で切り分けてサーブしてくれる.肉汁が滴り落ち,ミディアム・レアー状態の肉にかぶりついたが,香草とスパイスが効いていて,思わず「ニンマリする」くらいうまかった.焼肉にはビールと言いたいところだが,こちらでは"ピンガ"と呼ばれるサトウキビから作ったスピリットに生のライムを搾った果汁を加えて呑む.シンプルなカクテルだが,豪快な”チュラスコ”には相性がよい.

 ひとりレストランで夕食を取ることもあった.4日目の晩は,中心街のメイン・ストリートに面し,コロニアル風の洒落れた建物の2階にあるCasa do Ouvidorというレストランでミナス料理を食べた.店内は間接照明でやや薄暗く,落ち着いた雰囲気で格式を感じさせる.ウェーターに「地元料理を食べたい」と言うと,いくつかメニューの中からセレクトしてくれたが,結局”フランゴ・コン・キアーボ”という鶏のモモ肉とオクラの炒め料理をオーダーした.

 ベースは塩味で,あらかじめ柔らかく煮込んだ骨付きの鶏肉とオクラをガーリック風味のたっぷりめのオリーブオイルで炒めた一品である.鶏肉はフォークで刺すだけで身が骨から離れるほど,よく煮込まれており,オクラのネバネバした食感とよくマッチングしている.付け合せには,”ポレンタ”というトウモロコシのペーストとライスが添えられていた.
 
 ワインは,チリのSanta Helena産の赤(2003年)をオーダーした.品種はカルベネ・ソービニオンで,ミディアム・ボディ.ビンテージものではないが,料理にも合い,コストパフォーマンスは高い.もともとチリ産のワインは日本でも値段の割りにクオリティーが高いのでよく飲むが,今回のワインもうまかった.デザートには地元特産チーズのジャム添えをオーダーしたが,チーズのほのかな塩気とジャムの酸味がマッチして,残ったワインと一緒に堪能した.最後はブラジル・コーヒーで締めたが,すべてに満足する水準で,まさにグルメ三昧の夜であった.
 
 帰りは,少したるみ始めた腹が気になり,また遠回りして帰ることにした.