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インターネットの普及により,ボーダレス(国境なき)社会になりつつあるという実感を持つある出来事が先日ありました。

 ニュー人ランド人で親友のAndyが久しぶりにメールを送ってよこし,話したいことがあると。話したいことがあるならメールに書けばいいじゃないかと返事をすると,じかに話した方がいいとの再度のメール。いまさら,国際電話で高い金払って直接話すなんて,前時代的だと思っていると,Skype(無料テレビ電話ソフト)を使えるか?との打診あり。Skypeをはじめ,IPプロトコルを使った無料の音声・画像通信アプリケーションはいくつもあり,その存在はもちろん知っていましたが,特に必要性を感じていなかったので,実際にはこれまで使ったことはありませんでした。

 でも久しくAndyに会っていないし,いい機会かと思い,早速Skypeをインストールして待機していると,Andyのビジネスパートナーでイスラエルに滞在中のRobも交えて話をしたいとのこと。なんか話がややこしくなってきたなーと思っていると,まずは時間調整をすることになりました。日本を基準に考えると,ニュージーランドが+3時間,イスラエルが-7時間。結局3人の起きている時間ということで,日本時間のAM7時(ニュージーランドAM10時,イスラエルAM0時)に3人がインターネット上で会することになったのです。

 気になる話の内容ですが,要はAndyが今ニュージーランドで行っているネットワークビジネスを日本でも展開したいのだが,足がかりとして私に代理人にならないかとの勧誘でした。続いてビジネスの仕組みと収益性に関する説明を元締めであるRobがWeb上の資料を参照しながらイスラエルから私に説明してくれたのです。おそらく,いや絶対にインターネットがなければ,遠く離れた3人がお互いの映像を見ながら話をするなんて不可能だったでしょう。インターネットはことほど左様に国境を越え,地理的距離を縮めてしまうのです。

 2000年以降,ますます世界がボーダレスとなり,フラット化しているとThomas L. Friedmanは,自著"The World Is Flat. A Brief History of the Twenty-First Century"の中で述べています。 Friedman氏がインターネットの発展によってフラット化している例として,アメリカの中流家庭では,子供たちの数学の家庭教師をわざわざ地球の裏側のインド人教師に依頼している実例をあげています。ブロードバンドの普及によりアメリカで家庭教師を雇うよりもはるかに優秀な先生を安価でインドで雇うことができるのです。そのほか中国やインドの経済的台頭により,かつての高低差が逆転し,ヒト,金,物の流れの逆流現象もあちこちで起こっています。このようなフラット化の動きはさらに加速していくのでしょう。

 結局Andyからの申し出は丁重に断りましたがが,旧来の国境が経済や文化の境界ではなくなりつつあることを実感する出来事でした。インターネット由来のこうした大きな変化が,今後どんな影響を及ぼすか計り知れません。ただ言えるのは,12年前私がはじめてインターネットを出会った頃の想像をはるかに超えた地殻変動が現在進行している事実です。