能登とモニターと『いしる』

 

 今からちょうど1年前、家族で能登半島をレンタカーでぐるっと一周しました。車を走らせていると標識に『七尾市』と表記されているのを見てハッとしました。『七尾市っていう地名があるんだー。七尾、ななお、ナナオ!もしかしてモニターのナナオ(現EIZO)の由来になってるところ?』調べてみたらやはりそうでした。

 

 写真がフィルムからデジタルに変わるなんて想像もできない頃、まだまだ初期のおもちゃのようなデジタルカメラが登場し始めていました。デジタル写真の勉強もしておかなきゃと思い秋葉原に自作PCを買いに行き電機店に務める友人に予算を伝え相談しながらパーツを選んでいたところ『で、モニターはどうする?』と問われました。お店にズラーッと並ぶCRTモニターを眺めて『どれもそんなに変わらないよねー』と思い見ていたらひときわ綺麗な発色とコントラストのモニターが!『あれがいい絶対あれにする!』友人が『さすがカメラマン、ナナオのモニターを選ぶとはねえ。あ、でもあれ高いよ』『いい!CPUのスペック落としてでもナナオにする!』というわけでEIZO沼にハマることになります。

 

 写真がデジタル化された今もっとも重要でお金をかけるべきはモニターだと思っています。なぜならモニターが色や明るさを正確に表示してくれないと仕事にならないからです。その点においてEIZOのモニターはとても信頼できるのです。より安価で大画面な他社のモニターにも良い製品がありますが『キャリブレーション』がきちんと取れて常に正確な色、明るさ、コントラストを表示できるのはEIZOの強みなのかなと思います。特にモノクロで表示された画像が綺麗な印象です。グレー部分に色かぶりが無くきちんとモノクロームで表示されます。『モニターの色とプリントの色が合わなくて困る』という悩みに遭遇したことがほぼありません。少しくらい高価でも作業がスムーズに無駄なく進むので実はオトクな買い物だったのかなと感じています。

 

 モニターに思いを馳せながらドライブしていたらお腹が空いてしまったので空港の案内係の方にオススメして頂いた『レストランはまなか』でランチを食べることに。おすすめはなんですか?と聞くと『いしる鍋です』とのこと。いしる。。。。はてなんだろう、いしるって。調べてみたら能登の伝統的な製法で作られている魚醤の事だそう。イカの内臓に塩と米麹を加えて発酵させ熟成させたものが『いしる』カタクチイワシを原料にしたものが『いしり』魚醤として有名なナンプラーやニョクマム、コラトゥーラも原料はカタクチイワシだがイカを原料にした魚醤は珍しい。オススメに従っていしる鍋をいただくと、いまだかつて味わったことのない旨味が!輪島のスーパーでいしるを購入して料理の隠し味にと片っ端から入れてみました。鍋はもちろんパスタ、カレーなどなど旨味やコクが増して我が家にはかかせない調味料となりました。

 

 EIZOのモニターといしるに共通することを発見しました。それは

 

『手間暇をかけてでも良いモノを作る!』

 

 

ということです。効率やコスパの良さが求められる時代でもEIZOのCGシリーズは1台1台、手作業で最終調整をして出荷しているそう。いしるも出荷するまでに長い時間を要します。今回の地震の影響で能登地方のお醤油屋さんは壊滅的な被害が出ていると聞き心を痛めております。EIZOが海外で周知されているように能登のいしるも世界中の人に知ってほしいと思いました。EIZOの社長様、御社の海外向けECサイトでいしる販売しませんか?

 

見附島。iphone11Proで撮影。