今日素晴らしいツイートを見つけたのでコメントしたい。

 

 

本当に素晴らしすぎて・・・自分もこういう医者になりたかった(笑)。

 

自分は理系科目で稼いで医学部に受かったので、英語には苦手意識があった。そのうえ医学部に入ってからも最低限進級に必要な勉強しておらず、当然英語など全く勉強しなかった。ちなみに志高い同級生は長期休暇毎にホームステイしTOEFLで高得点を出して医学部の交換留学生としてハーバードやペンシルバニア大へ行っていた。

 

そんな自分が研究留学を志したのは、医者6年目のこと。このまま医局の人事に沿って勤務医を続けるのも何だかなあ・・・と思った。その後いろいろ準備(根回しも含め)をして、12-13年目の2年間にニューヨーク市への研究留学が叶う。

 

2年間の予定期間を終えて米国を去った時、ちょうどこの先生と同じ38歳だった。

 

そのまま米国のラボに残ったとしたら、研究者になる、米国の医師免許を取得して臨床医になる、またはその両者(臨床医かつ研究医)、というような選択肢があっただろう。

 

ところが当時、そのまま米国に残ろうとは、微塵も思わなかった(笑)

 

実は中国や韓国からの研究留学生(私と同じく母国では医師)は、何とか米国に残ろうとして必死だった。詳細は避けるがそれぞれ母国が抱える問題があり、皆何とか米国に移住したかったようだ。ということで米国のラボでは警戒されていた。逆に「日本人は真面目に働き、決まった年限がきたらちゃんと去ってくれる(=ラボのスタッフのポジションを奪おう、などの野心がない)」として、安心されていた。

 

 

この記事によると、米国の循環器内科医の年収は6300万円なのだが、これは1年前の1ドル138円の時代なので、さらに円安とインフレを加味すると今なら7000万円を超える。専門医に限ると平均年収はゆうに1億円を超えるだろう。

 

この高年収には誰でも心が動く(笑)

 

ところがそれでも、米国に残ろうとは微塵も思わなかった(笑)

 

日本ではこれに比べると収入が少ないながらも、生活に困ることはなかった。

食事や生活環境、インフラ、治安、衛生・・・(自分的には)全てで日本に分があった。

何より、自分の英語力と年齢、既に3人子供がいたことを考えると、米国医師免許取得、その後のレジデント等のリスクやハードルが高すぎた。

 

結局留学前と同じ施設へ戻り、その経験、業績、医局への貢献など一定の評価をしてもらったのか、一応指導者として籍を得ている。

最先端の設備を備える施設で患者に質の高い診療が提供できていること、それを国際学会であるいは学術論文として発表することで、知的好奇心を満たす、業績を積む、ついでに旅行もできる(笑)、ということで、(給料が少し安い以外は)特に今の環境に不満はない。

 

それにしても帰国後の7年程度で、大きく世界情勢が変わった。

 

少子高齢化の加速、終身雇用制度による日本経済の停滞ぐらいは予想がついたが、新型コロナウイルスのパンデミック、為替(円安)、ロシア情勢、中国や北朝鮮の不穏な動き・・・米国と日本の差はさらに大きくなったように思う。

 

 

今だったらどうするか??

38歳は難しいにしても、もし自分が20代だったらどうするか?

前置きが長くなったが、これが今日のテーマである。

 

医業に専念するなら、やっぱり米国の医師免許取得を目指すと思う。

 

今後日本の現状が続くと、20年後にはどうなっているのだろうか?

生活環境、インフラ、治安・・・これを今後維持することすら難しいのではないかと思う。

 

なので安い給与を我慢して日本にしがみつく理由は少しずつなくなってくるように思う。

 

また日本の勤務医、特に救急疾患を扱うメジャー科の労働環境が劣悪すぎる。その上今後改善の期待はほぼゼロで、むしろ改悪の可能性が高い。

当然努力は必要で、その上にリスクをとってでも、米国で医師を目指す道をとる。むしろ日本に残る方がリスクかもしれない。

 

 

もし医業に専念しないなら・・・逆に楽をして一定の給与を得ることは簡単な国なので、日本に残ってマイナー科に進んで、あるいは健診やワクチン専門医になって最低限の労働でそれなりの給与を得て、あとは副業にいそしむ。これはアリかもしれない。

 

こう書いた上で、あえて

「救急疾患の重要性が見直され、スキルや働きに応じた待遇がなされる」という時代がいずれ来ることを期待してやまない。またそう「逆張り」して優秀な研修医がメジャー科に進んでくれることを期待してやまない。