取り急ぎのお知らせです。

新型コロナウィルスのことで僕たちの仕事の現場はどこを向いても混乱した状況になっています。

結論からお伝えしますと、名古屋に続き大阪、岡山、町田、三崎のライブは中止になることが決定しました。他イベントに関しては青山音楽倶楽部は予定通り開催、静岡は状況を確認しながら判断という形になっています。

ご予約いただいていたお客様には大変申し訳有りませんが、何卒ご理解をお願いします。

みなさんの安全と安心を心から願っています。

以下、中止になった公演です。詳細あらためてオフィシャルHPでもお知らせします。

 

▪️2020年3月14日(土) 大阪/cafe Room

http://cafe-room.com/event/event-1286.php

 

▪️2020年3月15日(日) 岡山/Desperado Bar side

http://www.desperado-okayama.com/live.html

 

▪️2020年3月22日(日) 神奈川/ミサキドーナツ三崎本店

 

▪️2020年3/20(金・祝) 町田まほろ座

https://www.mahoroza.jp/200320

 

 

入れ替わりといってはなんですが、5月16日に町田まほろ座で久しぶりのクロソワンのライブが決定しました!詳細こちらからどうぞ。

https://www.mahoroza.jp/200516

 

こういう時にどうしたら良いのか頭を悩ませている日々ですが、あれこれ考えていてもあまりパッとしたことが思い浮かびません。いちはやく無観客ライブの配信をしたり、SNSなどを使ってファンと絆をつなぐようなアーティストの方々を見ていると、その行動力は本当に素晴らしく感動します。

自分も何かと思いつつも、「そういうの向いてないなあ」と思ったり、こういう場面の咄嗟の行動力のなさは特筆すべきだということにも気がつきました。なので、ひたすらもやもや悩んでみることにします。

出来ることといえばやはり音楽を作ることなので、まだ届けられていない新曲のCDの山を眺めつつも次の新作のレコーディングを始めたりしています。

 

レコーディングをしていてあらためて思ったのは、音楽にはライブなどの実演だけではなく「レコード」という強みがあることです。そもそも音楽は実際の演奏でしか表現できなかったものですが、「楽譜」というものが生まれて印刷技術が発達したことで、遠く離れた異国の地でもその楽曲を誰かが演奏して聴くことが出来るようになりました。今でも音楽の著作権ビジネスが「音楽出版」という名前を使っているのはその名残りです。昔は貴重だったその楽譜を販売したり演奏会に貸し出したりするのが音楽出版社の仕事だったんですね。さらに時代が進み、「録音」して固定化するという技術が生まれたことによって、音楽そのものが時間や場所を超えて聴けるようになりました。蓄音機から進化したアナログ・レコードからテープを使った磁気メディアの登場によって録音技術が進むと、さらに今度は、レコードでしか再現出来ない音楽が作られるようになります。

例えばビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・バンド」やビーチボーイズの「ペット・サウンズ」、ピンク・フロイドの「ダークサイド・オブ・ザ・ムーン」などがその良い例でしょう。そしてその後、今の僕たちが恩恵を受けているデジタルメディアの出現によって、サンプリング技術を使ったテクノやヒップホップといった新しいジャンルの音楽が生まれてきました。ちなみに録音されて何かのメディアに「固定化」されたものを「原盤」と呼び、楽譜時代の「出版」というものとは別の権利が生まれることになりました。「レコード会社」というのは主にこの「原盤」をビジネスの基軸にしていたわけです。ややこしいですね。その辺の話は調べるとweb上にもたくさんあるので、音楽を仕事にしたいと思っている方などは知っておいた方がいいかもしれません。

話を戻すと、先に挙げたようなレコードの中には、やはりレコードでしか聴くことの出来ない特別なものがあります。ライブは音楽の原点であり、その経験は何物にも代えることは出来ません。でも、同様にレコードでしか聴けない「レコード芸術」の世界があります。僕は遠く離れた外国のレコードを聴いてそれに憧れました。はじめはレコーディングエンジニアを目指していたのもそこからだったし、L↔︎Rの録音に対する常軌を逸した作り込みとこだわりは、その体験から生まれたと言って良いと思います。

実際に生で聴くことは出来ないと思っていた音楽が、録音という形で聴けるようになったのは近代稀に見る発明であり、素晴らしいことです。そしてその音楽はずっと色褪せることなく、いつでもそこにあって、僕たちを違う世界へ連れて行ってくれます。だから、僕たちは録音に時間と労力を惜しまないのです。

ライブが体験出来ないのはとても寂しいことですが、この機会に好きなアーティストのレコードを、きちんとしたオーディオ機器でじっくり聴いてみるのはいかがでしょうか。きっとそのアーティストのこだわりや、今まで気がつかなかった一面が見えてくるはずです。聴き込んで臨む次のライブは、また格別ですよ。