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石野田奈津代ニューシングル「クローバー」の制作ドキュメント、続編です





カレーを作ることから始まったレコーディングですが、そんな手作り感溢れる(良く言えば)スタジオには思わぬ科学反応が生まれることになりました。それはチームの「一体感」。別に敵がいるわけではないのですが、みんなの中に一緒に戦う仲間のような意識が生まれ、音楽以外にもいろんな事を協力して乗り切る雰囲気が自然に生まれたのです。なっちゃんはもちろん、トミタさんまでキーボードを鍋に持ち替え、料理の腕をふるってくれました。しかも料理が激ウマ!そして、そういう作業の間に交わされる言葉の中から新しいアイデアやサウンドのアプローチが生まれて来たのです。


仕事も夢も恋愛も生きることも
あきらめないと決めれば
終わりはない
生きてる限り明日につづいている
いつも可能性はゼロじゃない


こんな歌詞のうたを形にしようとしている自分たちがめげてしまったら、この曲を聴く人たちに、なっちゃんの気持ちが届くはずがありません。
もしこのメンバーの中に一人でも愚痴をこぼしたり、文句を言ったりして、ただでさえ足りないものだらけの現場にさらにネガティブな空気を持ち込む人がいたら、きっとこのセッションはひどく消耗するものになっていたでしょう。トミタさんや白根さんは他の現場ではプロデューサーとしても活躍する人たちなので、その乗り切り方を知っているのです。本当のプロとはこういう人たちのことだ、と改めて思うのと同時に、自分がいかに「人」に恵まれているかを実感した瞬間でした。


そして、そろそろ音作りの本題に。
実はこの「クローバー」は前作「春空—ハルソラー」のレコーディング時に既に候補曲として出来上がっていたのですが、アルバムまでの流れを考えて、次のシングル候補としてとっておいた、まさに「とっておき」の一曲でした。僕はこの曲が絶対にいい!とスタッフと何度もやり合った結果、見事シングルに。
「クローバー」の音作りのイメージのネタばらしすると、じつは「和製ジェフ・リン」。ジェフ・リンという人は僕が大好きなプロデューサーなのですが、あのビートルズのリユニオンやロイ・オービソン、トラヴェリング・ウィルベリーズなどの伝説的なミュージシャンのプロデュースで世界的に有名な人。自らアーティストでありながら、一度一線を退いたアーティストを見事に復活させるその手腕は、今の石野田奈津代をプロデュースするにあたって、まさにお手本のような人ではないかと思ったのです。
独特なバシャバシャしたドラムの音、ちょっと懐かしい感じのストリングス、アコースティックギターのざっくりしたグルーヴに乗る12弦ギターの音など、頭の中で妄想が膨らみます。絶対カッコいいし、泣ける!しかも、今周りを見渡しても、女性ボーカルでジェフ・リンの雰囲気を目指すバカプロデューサーなんているはずがない。最高だなあ、とまだ録ってもいないのに勝手に思い込んだ妄想を、メンバーとお酒を飲みながら(飲ませながら)熱く語り、音作りがスタートしました。

続く・・・