石野田奈津代/「クローバー」が出来るまで#2



気持ちだけでではどうにもならないインディーの自主制作とメジャーとの壁、それは何より時間=予算がどのくらいかけられるか、という事。音楽制作に一番かかるのはスタジオ代と人件費なのです。最近はPCベースで手軽に高いクオリティーのものが作れるようになったので、小さいスタジオで時間をかけて細かく作って行くか、それとも信頼出来るチームを組んで一気に作るか、その2つの選択に悩みましたが、前作「春空—ハルソラー」の成功をふまえてやはりチームを組んで一気に録る事に。
そうなると、大きなスタジオとチームを揃えなければならず、必然的に「時間」との戦いになって来ます。ライブさながらにタイムテーブルを書いて一日の行程をスタジオに張り出し、みんなが進行状況を確認出来るようにしたり、ギターやボーカルのダビング作業と同時進行でストリングスのアレンジをしてもらったり、コンディションを保つためにちゃんと休んでもらう時間を考えたり、こうなって来るともはやみんなが想像して憧れるカッコいいレコーディングというよりも、チームで戦うスポーツの試合のような様相を呈して来ます。この間、最も過酷な作業を強いられるのはなんと言ってもエンジニアとアシスタントです。セッションの始めから、最終的なデータのバックアップまで、全く休む時間がありません。しかもタイムテーブル通りに物事が進むはずなどなく、連日朝までの作業が続きます。多くの場合、彼らは現場の人間の中で最も体力と忍耐力を備えている上、音楽的な知識と現場の空気を読む力も持っているので、プロデューサーとしてもかなり優秀な人たちです。この人たちをいつか、必ず「リゾートスタジオでちゃんとリゾートする」現場に連れて行く!と毎回心に誓うわけですが、そもそも「リゾートするならスタジオじゃなくていい」という事を忘れている時点でその夢が叶う可能性はかなり低い、という事に最近気がつきました。エンジニアにとって僕は、たぶんかなりの「人でなし」です。この場を借りて本当に感謝の気持ちを伝えたいです。

「本当にありがとうございます!あきらめてこれからも付き合って下さい」

さらには食事も自分たちで作って、そのぶんを制作費に当てるという暴挙に。でも、ハードな作業で唯一の楽しみである食事がひどかったら、みんなのテンションは激落ちします。ということで、ご飯のプロデュースもします。こうなりゃなんでもやるのです。

まずはカレー大鍋いっぱい。



しかし、こういう作業が思わぬ化学反応を!

続く・・・



ニューシングル「クローバー」絶賛発売中!

石野田奈津代オフィシャルサイトはこちら

フルサイズ試聴が出来ます!