僕がプロデュースさせてもらっている石野田奈津代さんのシングル「クローバー」が今日発売になります!
さすが「泣かせる」SSW、プロデューサーでありながら聴くとホントに泣けて来ます。音楽の仕事を長い事していると、つい「今回は泣ける感じでよろしく!」なんて言葉が飛び交う事に慣れてしまったりしますが、もう一度初心に帰れるような感動をくれたこの曲に感謝しています。



前作「春空ーハルソラ」から全面的にプロデュースをさせてもらってから、テレビの取材が来たり、ラジオのパワープレイを獲得したりと確実に彼女の歌は伝わりはじめていますが、今回はさらなる名曲。シングル曲を選ぶのに本人、スタッフ含め何度も話し合いましたが、僕の中ではデモを聴いた瞬間に「絶対この曲だ!」と確信していました。
石野田奈津代というアーティストはなんといっても歌と言葉の人なので、今までそんなにサウンドのイメージが強くはなかったと思うのですが、発売に合わせてこっそりここでしか書かないネタばらしをしていこうと思います。
なっちゃんのファンの方はもちろん、今までよくある弾き語りの女性シンガーだと思っていたサウンド指向のリスナー(自分か?)や、音にうるさい洋楽好きの方(自分か?)にも是非聴いてもらいたいと思っています。
ということで、数回に渡って制作の様子をレポートしたいと思います。

石野田奈津代/「クローバー」が出来るまで#1

一枚のCDを作るためには、スタジオに入るまでの仕事が実はたくさんあります。その中のひとつ、まずはメンバー選びから。僕の場合、ここが決まると作業の半分くらいが完成したと言っても良いくらいに重要なポイントです。なにしろ、チームが音楽を作るのです。キーボード/プログラミングには宇多田ヒカルさんやFPMなどを手がけるトミタユズルさん。ドラムには多数の女性シンガーから絶大な人気を持つGREAT3の白根賢一さん、ベースには腕利きのセッションマンで長年の付き合いの小山晃一くんという、ある意味「スタメン」で構成。みなさん百戦錬磨のプロ揃い。僕を含めたこのメンバー、実はトミタさんがバンマスをつとめる高杉さと美さんのライブサポートメンバーでもあります。なので、実をいうとこのメンバーはトミタさんが集めたメンバーとも言えますが、なぜこのメンバーをそのまま選んだかというと、ぶっちゃけ「直感」です。もっと簡単に言うと「ノリ」ですが、僕はそういう直感で物事を決める事が結構あります。何故かこのタイミングで再会したこのメンバーには、不思議な化学反応を起こす予感がしたのです。何かの縁とか、せっかくだからとか、言い方は色々ありますが、この人選がかなり効を奏したことは事実です。それぞれが別の現場で一緒に演奏したこともあり、音楽の趣味や感覚に共通項が多く、直感的にやり取りが出来る事はとても重要。当たり前だけれど、気が合わない人とはなかなかいい仕事をするのは難しいのです。
そしてエンジニアはこのところずっとパートナーを組んでいる小杉一人さん。歳も僕と一緒で、若くして渡米、アトランタから東京に帰って来てからエンジニアになったという変わった経歴の人で、セッションごとに毎回実験をしている仲間です。
これだけのメンバーとスタジオを使うとなると、もはやメジャーと全く変わらない(というか最近ではかなり贅沢な)状況なわけで、正直、インディーの自主制作盤にこの規模のセッションを組むのは無謀とも言えます。しかし、そこはバクチです。ギャンブルです。ロックンロールです。なにより僕は彼女の歌が本当に好きなのです。他のプロデューサーにやっつけ仕事をされるくらいなら、絶対に僕に任せて欲しかった。このへんの気持ちでは誰にも負けない自信があったのです。

しかし、実際には気持ちだけでは進まない困難が待ち受けていました・・・。


続く・・・待て!次号