マジすか学園GX☆#3ー12☆
そして、現在(いま)──
河原。
シブヤとブラックは、向井地ミオンの闘いを見つめながら、同時に、同じことを考えていた。あの日のことを──。
「結局さ、あのときの傷害事件は、正当防衛だったんだよな...、向井地は、ただ、暴れてたチンピラから小さい女の子を助けようとしただけだったってのに...」
「それが、過剰防衛になってしまった...。あのとき、向井地が、荒れていたとはいえ...、わたしたちにも、責任がないわけでは...ないな」
雨が降り続くなか、
向井地ミオンは、ただ、ひたすら、平手ユリナを、殴り続けていた。ずぶ濡れになりながら。
「わたしは、もう、逃げない...、誰に対しても...、過去(あの日)のように...逃げたりしない...」
事件を起こしてしまったことを、後悔は、していない。
でも、あの日、部室から、逃げてしまったことは、悔やんでも悔やみきれるものではなかった。
幾度となく、
殴っても、殴っても、平手ユリナの身体の
感触はない。それでも、ミオンは、殴り続けた。一心不乱に。
ある想いを込めて。
これが、ミオンなりの──。
時折、
ユリナが、防御する。
それは、ミオンが、一瞬だけ、領域を破った証。
「はぁ...、はぁ...、何度だって...、わたしは...」
殴り続ける。
これは、天に弓を引く行為なのか。それでも、ミオンは、殴り続ける。意味はあるのだと。
平手ユリナは、ただ、その行為を、見つめていた。
(『わたしは、知らない!』『わたしが、やったんじゃない!』
『ユリナ...、わたしを、殺し...て...』『これからは...、わたしの分も...、生きて...』
『勝者には生を!敗者には、死を!』
『わたしは、信じてる...、必ず...、奪われた自由を取り戻す、と』)
少し、離れた場所で、
トリゴヤが、ふと、目を覚ます。
「見えた...」
そのとき。
向井地ミオンが、大きく、拳を振り上げた。
「倒れるまで...、わたしは...、前に...」
すると、ユリナの
オレンジ色の腕輪が、点滅し始めた。
同時に、ミオンは、ついに、力尽き、倒れ込んだ。前方へと。
「楽しかったよ。ミオン。また、会えたら...いいね。そのときは、キミの異能(チカラ)も、見せてもらうよ」
そのまま、ユリナは、
敵意を、感じさせることなく、その場を去っていった。
「結局、何だったんだ?」とシブヤは、ボヤきながら、
ブラックと共に、倒れたミオンの傍に、近づく。
「こいつ...、こんなに...なるまで...」
「ぶっ倒れるまで、殴り続けるなんてな...。さすが、優子さんが、認めたやつだぜ」
ブラックが、
気を失ったミオンを
担ぎあげる。
「これが、向井地(こいつ)の『マジ』なんだな...」
「そういや、こいつは、どこまでも、明るくて、前向きなやつだったよな」
時には、それが、暴走してしまうこともあった。しかし、『マジ女』の精神は、どこへ行こうと、消え去ることはなかった。
意識を取り戻したトリゴヤは、遠のいていく平手ユリナの背中を、複雑な気持ちで、眺めていた。
「平手ユリナ…、恐ろしくも、悲しき...プリズナー(囚われ人)...か」
広尾のタワーマンションの上層階エレベーターホール。
マジすか女学園OGのサドとアンダーガールズ総統──太田リオナは、マンションの管理会社に連絡を入れ、エレベーターの復旧をいまか、いまかと待っていた。
と。
不意に、
エレベーターが、動き出す。階数ランプが、この階まで、上昇してくることを示していた。
そして──、
止まる。
サドには、
ある
予感があった。
主治医の言葉が、脳裏をよぎる。
(『いつ、また発作が起きるかわからない。そして、そうなったとき、優子の身体(いのち)の保証はできない』)
サドの
心臓が早鐘のように、全身に、鳴り響く。
到着のベルと共に、
エレベーターの
扉が、音もなく、ゆっくりと開いた。
サドは、その光景を見て、思わず、叫んでいた。
「優子さんッ!」
長い...、長い一日が、
終わった。
#3『世界には愛しかない──Will be saved who believe 』 終
河原。
シブヤとブラックは、向井地ミオンの闘いを見つめながら、同時に、同じことを考えていた。あの日のことを──。
「結局さ、あのときの傷害事件は、正当防衛だったんだよな...、向井地は、ただ、暴れてたチンピラから小さい女の子を助けようとしただけだったってのに...」
「それが、過剰防衛になってしまった...。あのとき、向井地が、荒れていたとはいえ...、わたしたちにも、責任がないわけでは...ないな」
雨が降り続くなか、
向井地ミオンは、ただ、ひたすら、平手ユリナを、殴り続けていた。ずぶ濡れになりながら。
「わたしは、もう、逃げない...、誰に対しても...、過去(あの日)のように...逃げたりしない...」
事件を起こしてしまったことを、後悔は、していない。
でも、あの日、部室から、逃げてしまったことは、悔やんでも悔やみきれるものではなかった。
幾度となく、
殴っても、殴っても、平手ユリナの身体の
感触はない。それでも、ミオンは、殴り続けた。一心不乱に。
ある想いを込めて。
これが、ミオンなりの──。
時折、
ユリナが、防御する。
それは、ミオンが、一瞬だけ、領域を破った証。
「はぁ...、はぁ...、何度だって...、わたしは...」
殴り続ける。
これは、天に弓を引く行為なのか。それでも、ミオンは、殴り続ける。意味はあるのだと。
平手ユリナは、ただ、その行為を、見つめていた。
(『わたしは、知らない!』『わたしが、やったんじゃない!』
『ユリナ...、わたしを、殺し...て...』『これからは...、わたしの分も...、生きて...』
『勝者には生を!敗者には、死を!』
『わたしは、信じてる...、必ず...、奪われた自由を取り戻す、と』)
少し、離れた場所で、
トリゴヤが、ふと、目を覚ます。
「見えた...」
そのとき。
向井地ミオンが、大きく、拳を振り上げた。
「倒れるまで...、わたしは...、前に...」
すると、ユリナの
オレンジ色の腕輪が、点滅し始めた。
同時に、ミオンは、ついに、力尽き、倒れ込んだ。前方へと。
「楽しかったよ。ミオン。また、会えたら...いいね。そのときは、キミの異能(チカラ)も、見せてもらうよ」
そのまま、ユリナは、
敵意を、感じさせることなく、その場を去っていった。
「結局、何だったんだ?」とシブヤは、ボヤきながら、
ブラックと共に、倒れたミオンの傍に、近づく。
「こいつ...、こんなに...なるまで...」
「ぶっ倒れるまで、殴り続けるなんてな...。さすが、優子さんが、認めたやつだぜ」
ブラックが、
気を失ったミオンを
担ぎあげる。
「これが、向井地(こいつ)の『マジ』なんだな...」
「そういや、こいつは、どこまでも、明るくて、前向きなやつだったよな」
時には、それが、暴走してしまうこともあった。しかし、『マジ女』の精神は、どこへ行こうと、消え去ることはなかった。
意識を取り戻したトリゴヤは、遠のいていく平手ユリナの背中を、複雑な気持ちで、眺めていた。
「平手ユリナ…、恐ろしくも、悲しき...プリズナー(囚われ人)...か」
広尾のタワーマンションの上層階エレベーターホール。
マジすか女学園OGのサドとアンダーガールズ総統──太田リオナは、マンションの管理会社に連絡を入れ、エレベーターの復旧をいまか、いまかと待っていた。
と。
不意に、
エレベーターが、動き出す。階数ランプが、この階まで、上昇してくることを示していた。
そして──、
止まる。
サドには、
ある
予感があった。
主治医の言葉が、脳裏をよぎる。
(『いつ、また発作が起きるかわからない。そして、そうなったとき、優子の身体(いのち)の保証はできない』)
サドの
心臓が早鐘のように、全身に、鳴り響く。
到着のベルと共に、
エレベーターの
扉が、音もなく、ゆっくりと開いた。
サドは、その光景を見て、思わず、叫んでいた。
「優子さんッ!」
長い...、長い一日が、
終わった。
#3『世界には愛しかない──Will be saved who believe 』 終