マジすか学園GX☆#1ー10☆
「どうぞ。お待ちいたしておりました」
光沢のある青いメイド服の少女が、うやうやしく頭を下げる。
ここは、広尾にある超高級高層マンションのエントランスホール。
大島優子とサドの二人は、場違いなメイド服の少女の、突然の出現に戸惑う。
この高層マンションは、
関東No.1の裏組織、アンダーガールズ、そのトップに君臨する、総統─太田リオナの居城、いわば、敵の本陣である。
「おい、サド...、わたしが、日本を離れてる間に、ここは、メイド喫茶になっちまったのか?」
「いえ、そんなはずは...」
「ご案内いたします。こちらへ」
にこやかに、メイド服のかわいらしい少女は、二人を先導するように歩き出す。不審に思いながらも、『おかえりなさいませ。お嬢様 ♡』とは言わないだけいいかと、優子とサドは、付き従った。郷に入っては郷に従え、だ。
外の景色が、一望できる、
広々としたエレベーターに乗り込んだ三人は、静かに、最上階まで、上昇していった。
ほとんど、揺れることなく、停止し、
ゆっくりと銀色の扉が開いた。
一歩を踏み出し、優子は、足を止める。
「なんだ?このにおい...」
通路を占める異臭。
優子が、ダッと、エレベーターを飛び出し、走り出す。
続いて、
サドも、走りながら、思う。
「(血か...)」
どんどん、強くなる臭気。
それは
一番
奥の部屋。
優子が、勢いよく、扉を開ける。
そこには──。
まさに、
血の海と呼べるものが、広がっていた。
赤い。真っ赤な紅。
優子とサドが、目にしたものは、広々とした室内に、
数多くの、真紅の特攻服を纏った少女たちが、傷だらけで、大量の血を流し、倒れている光景だった。惨劇のあと。
関東最強集団アンダーガールズの屈強な隊員たち。その百人近くが、倒れているなか、ひとり、部屋の奥、茫然と立ち尽くしている者がいた。
その人物は、
アンダーガールズ総統、太田リオナ、そのひとであった。
リオナもまた、顔や全身に、傷を負っていた。
優子が、近づき、声をかける。
「いったい、どうしたんだ!何があった!」
「はぁ...、はぁ...」
言葉にならないくらい、疲労困憊の状態のようだ。
「いったい、どんなやつらに、やられたんだ?」
「わたしが...」
「えっ?」
「わたしが、やったんだ...」
「どうして...?こいつら、仲間だろうが!」
「わからない...、急に、この部屋にいた...一番隊(こいつら)が...、暴れ始めて...」
同士討ち。
部屋の入り口から、こちらをうかがうサドと、メイド服の少女を見て、リオナが言う。
「あいつは、誰だ...?」
はっと、
優子が、振り返る。
「サド!あぶねー!」
部屋の入口。今、まさに、
メイド服の少女のヒラヒラのスカートから伸びる長く白い脚が、高々と掲げられ、背後から、サドの頭上に振り下ろされようとしているところだった。
間一髪。ギリギリのところで、踵落としを、前転で回避したサドは、距離を置き、メイド服の少女を、睨みつける。アンダーガールズのメンバーではない。この少女の正体は。
そのとき。
屍のようだった、傷だらけのアンダーガールズ隊員たちが、続々と立ち上がり始めた。明らかに、表情が、特に、目が、催眠術にかけられた人間のように、うつろに見えた。
歯噛みする。
「これだ...、さっきから...、何度でも、何度でも、こうやって、立ち上がってきやがる...」
たった一人で。
リオナは、
百人のヤンキーを相手にしていたのだった。それが、仲間でさえも。降りかかる火の粉であれば。何度でも。何度でも。
『 死の軍団』を──。
それが、
非情なる女帝。総統─太田リオナ。
優子が、メイド服の少女へ向け、言い放つ。
「てめぇ、いったい何者だッ!」
「薔薇十字軍(ローゼンクロイツ).....」
伝説の──。誰もが知っている組織(チーム)。
それだけ言うと、
メイド服の少女の脚が、ふたたび、高い天井に向かい伸びた。
サドは、それを察知し、鋭い蹴りを放ち、残った片方の脚を、刈りにいった。
しかし。
ジャンプ一番、かわされる。
残った片方の脚が、上下、交差するように、サドの顎を、下から跳ねあげた。
「ぐはっ!」
倒れ込むサド。
優子とリオナに、
襲いくる傷だらけのアンダーガールズ隊員たち。二人は、拳で応酬する。しかし、倒しても、倒しても、起き上がる隊員たち。打撃を受けても、血を流していても、痛みを何も感じていないようだ。
それが、続く。
「くそっ!これじゃ、キリがねー!」
真紅の人壁の向こう、微笑むメイド服の少女。
「薔薇十字軍(てめぇ)...、わたしの、仲間たちに...、何をしたぁあああああああああああああああああああああああああああッ!!!!」
血を吐くような思いでリオナが叫ぶ。
「おいっ!こっちだ!」
隙をみて、
優子が、リオナの手を引き、横の扉から部屋を飛び出す。
その二人に続き、アンダーガールズ隊員たちも、次々、部屋を出ていった。
その様子をみて、メイド服の少女が、ひとりごちる。
「群集心理と集団暗示...、そして─。アンダーガールズも、終わり...だな」
「お前...、何か、知ってるふうだな?」
口許の血を拭い
立ち上がった
サドの問いに、
メイド服の少女は、
先刻、エントランスホールでの営業用スマイルとは別の
不敵な笑みを浮かべるだけだった。
気にせず、サドは、
「一応、聞いておくが、お前を倒せば、この状況は収まるのか?」
「どうかな?」
「それなら、試しに、やってみるとするか」
「やれるのか?お前が─、説得力ってものが、」
ヒュっと、風を切る音。
メイド服の少女の頬から、血が流れる。サドの鋭い蹴りが、空気を切り裂いた。
「あんまり、なめるなよ!『マジ女』を!」
サドの怜悧な刃物のような視線が、メイド服の少女を、突き刺した。
一方。
優子とリオナの二人は、通路をつき進む。アンダーガールズ隊員たちに追われながら、エレベーターホールの方へ向かう。
「はぁ...、はぁ...、おい、どうするつもりだ?」
「とりあえず、走れ!」
「お前...、何も、考えてないだろ?」
「うるせーよ!いま、考えてんだろ!ったく、お前と、『大事な話』に来たってーのに、これじゃ、ゆっくり、茶も飲めねーじゃねーか!」
まるで、ゾンビ映画のように、ゆっくりと、しかし、確実に、仲間を増やすべく、手を伸ばし、迫りくるアンダーガールズの隊員たち。
「まさか、お前に、助けられるとはな...」
「とにかく、一旦、外に出るぞ!」
優子の言葉に、
エレベーターホールにたどり着いた
リオナは、
エレベーターのボタンを叩きつけるように、押す。
待ち時間が、
とても
長く感じられた。
その間、追いついてきた隊員たちを、優子の拳が、何度も、吹き飛ばした。
ようやく
エレベーターの扉が、ゆっくりと開く。
「同じだ...」と、うらめしそうな声をもらすリオナ。
「こいつらも、目が...違う!」
新たに
二十人以上のアンダーガールズ隊員が、エレベーター内に、ひしめいていた。
増員。
振り向いた
優子が、苦笑し、つぶやく。
「お約束かよ」
マジすか学園GX
#1 『ディーヴァ編 完結。そして──新たなる胎動 』
光沢のある青いメイド服の少女が、うやうやしく頭を下げる。
ここは、広尾にある超高級高層マンションのエントランスホール。
大島優子とサドの二人は、場違いなメイド服の少女の、突然の出現に戸惑う。
この高層マンションは、
関東No.1の裏組織、アンダーガールズ、そのトップに君臨する、総統─太田リオナの居城、いわば、敵の本陣である。
「おい、サド...、わたしが、日本を離れてる間に、ここは、メイド喫茶になっちまったのか?」
「いえ、そんなはずは...」
「ご案内いたします。こちらへ」
にこやかに、メイド服のかわいらしい少女は、二人を先導するように歩き出す。不審に思いながらも、『おかえりなさいませ。お嬢様 ♡』とは言わないだけいいかと、優子とサドは、付き従った。郷に入っては郷に従え、だ。
外の景色が、一望できる、
広々としたエレベーターに乗り込んだ三人は、静かに、最上階まで、上昇していった。
ほとんど、揺れることなく、停止し、
ゆっくりと銀色の扉が開いた。
一歩を踏み出し、優子は、足を止める。
「なんだ?このにおい...」
通路を占める異臭。
優子が、ダッと、エレベーターを飛び出し、走り出す。
続いて、
サドも、走りながら、思う。
「(血か...)」
どんどん、強くなる臭気。
それは
一番
奥の部屋。
優子が、勢いよく、扉を開ける。
そこには──。
まさに、
血の海と呼べるものが、広がっていた。
赤い。真っ赤な紅。
優子とサドが、目にしたものは、広々とした室内に、
数多くの、真紅の特攻服を纏った少女たちが、傷だらけで、大量の血を流し、倒れている光景だった。惨劇のあと。
関東最強集団アンダーガールズの屈強な隊員たち。その百人近くが、倒れているなか、ひとり、部屋の奥、茫然と立ち尽くしている者がいた。
その人物は、
アンダーガールズ総統、太田リオナ、そのひとであった。
リオナもまた、顔や全身に、傷を負っていた。
優子が、近づき、声をかける。
「いったい、どうしたんだ!何があった!」
「はぁ...、はぁ...」
言葉にならないくらい、疲労困憊の状態のようだ。
「いったい、どんなやつらに、やられたんだ?」
「わたしが...」
「えっ?」
「わたしが、やったんだ...」
「どうして...?こいつら、仲間だろうが!」
「わからない...、急に、この部屋にいた...一番隊(こいつら)が...、暴れ始めて...」
同士討ち。
部屋の入り口から、こちらをうかがうサドと、メイド服の少女を見て、リオナが言う。
「あいつは、誰だ...?」
はっと、
優子が、振り返る。
「サド!あぶねー!」
部屋の入口。今、まさに、
メイド服の少女のヒラヒラのスカートから伸びる長く白い脚が、高々と掲げられ、背後から、サドの頭上に振り下ろされようとしているところだった。
間一髪。ギリギリのところで、踵落としを、前転で回避したサドは、距離を置き、メイド服の少女を、睨みつける。アンダーガールズのメンバーではない。この少女の正体は。
そのとき。
屍のようだった、傷だらけのアンダーガールズ隊員たちが、続々と立ち上がり始めた。明らかに、表情が、特に、目が、催眠術にかけられた人間のように、うつろに見えた。
歯噛みする。
「これだ...、さっきから...、何度でも、何度でも、こうやって、立ち上がってきやがる...」
たった一人で。
リオナは、
百人のヤンキーを相手にしていたのだった。それが、仲間でさえも。降りかかる火の粉であれば。何度でも。何度でも。
『 死の軍団』を──。
それが、
非情なる女帝。総統─太田リオナ。
優子が、メイド服の少女へ向け、言い放つ。
「てめぇ、いったい何者だッ!」
「薔薇十字軍(ローゼンクロイツ).....」
伝説の──。誰もが知っている組織(チーム)。
それだけ言うと、
メイド服の少女の脚が、ふたたび、高い天井に向かい伸びた。
サドは、それを察知し、鋭い蹴りを放ち、残った片方の脚を、刈りにいった。
しかし。
ジャンプ一番、かわされる。
残った片方の脚が、上下、交差するように、サドの顎を、下から跳ねあげた。
「ぐはっ!」
倒れ込むサド。
優子とリオナに、
襲いくる傷だらけのアンダーガールズ隊員たち。二人は、拳で応酬する。しかし、倒しても、倒しても、起き上がる隊員たち。打撃を受けても、血を流していても、痛みを何も感じていないようだ。
それが、続く。
「くそっ!これじゃ、キリがねー!」
真紅の人壁の向こう、微笑むメイド服の少女。
「薔薇十字軍(てめぇ)...、わたしの、仲間たちに...、何をしたぁあああああああああああああああああああああああああああッ!!!!」
血を吐くような思いでリオナが叫ぶ。
「おいっ!こっちだ!」
隙をみて、
優子が、リオナの手を引き、横の扉から部屋を飛び出す。
その二人に続き、アンダーガールズ隊員たちも、次々、部屋を出ていった。
その様子をみて、メイド服の少女が、ひとりごちる。
「群集心理と集団暗示...、そして─。アンダーガールズも、終わり...だな」
「お前...、何か、知ってるふうだな?」
口許の血を拭い
立ち上がった
サドの問いに、
メイド服の少女は、
先刻、エントランスホールでの営業用スマイルとは別の
不敵な笑みを浮かべるだけだった。
気にせず、サドは、
「一応、聞いておくが、お前を倒せば、この状況は収まるのか?」
「どうかな?」
「それなら、試しに、やってみるとするか」
「やれるのか?お前が─、説得力ってものが、」
ヒュっと、風を切る音。
メイド服の少女の頬から、血が流れる。サドの鋭い蹴りが、空気を切り裂いた。
「あんまり、なめるなよ!『マジ女』を!」
サドの怜悧な刃物のような視線が、メイド服の少女を、突き刺した。
一方。
優子とリオナの二人は、通路をつき進む。アンダーガールズ隊員たちに追われながら、エレベーターホールの方へ向かう。
「はぁ...、はぁ...、おい、どうするつもりだ?」
「とりあえず、走れ!」
「お前...、何も、考えてないだろ?」
「うるせーよ!いま、考えてんだろ!ったく、お前と、『大事な話』に来たってーのに、これじゃ、ゆっくり、茶も飲めねーじゃねーか!」
まるで、ゾンビ映画のように、ゆっくりと、しかし、確実に、仲間を増やすべく、手を伸ばし、迫りくるアンダーガールズの隊員たち。
「まさか、お前に、助けられるとはな...」
「とにかく、一旦、外に出るぞ!」
優子の言葉に、
エレベーターホールにたどり着いた
リオナは、
エレベーターのボタンを叩きつけるように、押す。
待ち時間が、
とても
長く感じられた。
その間、追いついてきた隊員たちを、優子の拳が、何度も、吹き飛ばした。
ようやく
エレベーターの扉が、ゆっくりと開く。
「同じだ...」と、うらめしそうな声をもらすリオナ。
「こいつらも、目が...違う!」
新たに
二十人以上のアンダーガールズ隊員が、エレベーター内に、ひしめいていた。
増員。
振り向いた
優子が、苦笑し、つぶやく。
「お約束かよ」
マジすか学園GX
#1 『ディーヴァ編 完結。そして──新たなる胎動 』