マジすか学園F☆#3☆(最終話)
【エリアB】
「行くんか?そんな身体で…」
仰向けになった福本アイナの、視界の端で、
ボロボロの全身を、引きずるように、ゲキカラが、歩みを始めていた。行く先は、もちろん、前田たちが闘っているであろう【エリアK】だった。
「わたしには…、結末を…、見届ける…義務が、ある…」
「それが…ラッパッパなんやな…」
「それが─、“マジ女”だ…」
振り返りもせず、ゲキカラは重い足取りで、歩を進める。
アイナが、立ち上がろうとしていることに、気づいてはいても─。
「止めれるものなら…、止めてみろ」
と、ゲキカラは、意に介さない。
「止める…、それ…が、“ディーヴァ”やからな…」
ゲキカラの背中を追うアイナもまた、満身創痍だった。それでも、彼女には、立ち上がる理由があった。
「く…、そういや…、総帥(あいつ)は、いつも…、孤独(ひとりぼっち)やったなぁ…、近くに、おっても…、心を閉ざしたまま、誰に対しても、そうやった…、それでも、ほっとかれへんかった…」
頂点に君臨する者の孤独。過去のトラウマにがんじがらめに縛られた『無敵』の女王。
アイナは、右手を特攻服の懐に、突っ込む。
「総帥(あいつ)のために、うちの人生は…あるんや…
だから、止めなあかんねん…、どんなことしても…」
ジリ…ジリ…と、アイナが、懐に、右手を入れたまま、ゲキカラの背中に迫る。
距離が、縮まっていく。
そのとき、
ゲキカラが足を止める。
そのタイミングを見逃すことなく、
ゲキカラの背後から、アイナが、覆いかぶさった。ゲキカラの首に、アイナの腕が、巻き付く。
「どうした…、首をしめ上げる“ちから”も残ってないのか…?」
「ゲキカラ…、頼みがあるんや…、うちに…、ちから…、貸してくれへんか…」
アイナが危害を加えるつもりのないことは、ゲキカラにも、わかっていた。
「重い…」
「そう言うなや…、こうなったら、一蓮托生や…。一緒に【エリアK】まで、行こうやないか…、タダとは言わん…、これ、あげるさかいに…」
そう言って、ゲキカラの目の前に、差し出されたものは─。
「なんだ、これは?」
「飴ちゃんや…、これで…、エネルギー補給して…、絶対に、総帥(あいつ)を、止めんとあかんねん…」
「どういう意味だ?」
「……、総帥(あいつ)にとって、ホンマは、西も東も、関係ないんや…」
「それなら…、総帥の、本当の狙いは…?」
「破滅…」
アイナは、苦いものを口にしたように、吐き捨てる。
「総帥(あいつ)は、すべての物(もん)を…、ただ、壊したいだけなんや…、目の前にある物…、すべてを…」
ゲキカラの瞳に、光が宿る。
「行くぞ…、手遅れに、なる前に」
#3『それぞれの“マジ”、それぞれの理由(わけ)』終
マジすか学園F☆ 完
つづく─