マジすか学園F☆#3ー2☆
カツ…コツ…と、地下への階段を下りていく足音。
鉄製の階段、そして、コンクリートの壁に、
一定のリズムを刻み、歩を進めるフード付パーカーを纏った少女の表情は、影になって、よくわからない。唯一、視認できる小さな口元がわずかに開く。
「……すまないな、ジュリナ」
ネズミは、先程までのジュリナとの通話を思い返す。前田がいなくなり、目の前で、仲間たちが次々と傷つき倒れていき、焦るジュリナ。
『矢場久根のアジトはどこだ?市川ミオリは、どこにいる?』
「ジュリナ…、矢場久根には手を出すなと言っただろう。奴等とは表向き、休戦協定が結ばれてる。それに…」
『それに?』
「いまのお前じゃ、市川には勝てない…、いや、『マジ女』の中の誰にもな…」
『あのときは、邪魔が入っただけだ!今度こそは勝つ!』
「眩しいな…」
『えっ?』
「お前は、眩しすぎるんだよ…」
通話が途切れる。
大島優子。前田敦子。
ネズミにとっては、皆─。
輝く(ヒカル)者たち。
自分は、それに対し、ただの影でしかなかった。
(あっしには…、“ここ”がお似合いっス)
慣れた様子で、暗い
地下室へと入っていくネズミ。
ここは、矢場久根の秘密のアジトだった。
「なんだ、お前か…、何しに来やがった?」
矢場久根の生徒が、数人、たむろしている。そのうちの頭に、黄色いターバンを巻いたひとりが、ネズミに声をかけてきたのだった。
「市川は…、いないみたいっスねぇ」
「うちの総長、気安く、呼び捨てにしてんじゃねーぞ!コラ!いくら、裏で繋がってるっつっても、礼儀ってものが…」
「雑魚が!」
ネズミの拳が、ターバンの少女に、次の言葉を言わせなかった。
「てめーッ!裏の協定、破るつもりか?」
その場に、緊張が走る。矢場久根の生徒が、いまにも、襲いかかりそうになっていた。
「前田のいない『マジ女』に、“意味”なんて、ないんスよ」
「はぁ?何言ってんだ!」
容赦なく、殴りかかってくる生徒たちを、ひらりとかわし続けるネズミ。
けっして、頭脳だけではなかった。
(それに、“あいつ”が…
きっと、無茶をする…)
そのとき。
「こうなることは…わかってたよ」
地獄の底から響くような声が、入口の方から聞こえた。
「わかって…いたんだよ、ネズミ」
そこに、現れたのは、
矢場久根商業新総長、市川ミオリ。悪魔のような笑みをたたえ、
「協定を破棄するつもりか…、せっかく、お前には、マジ女の“てっぺん”の座を用意してやったというのに…、残念だ」
情報と引き換えのお膳立てだった。
「物心がついた頃っスかねぇ…」
ネズミが、話を続ける。
「国会議員を父親に持つと…、欲しいものは、何でも簡単に、手に入ったっス…、『欲しい』とひとこと言えば、どんなものでも、すべて、与えられてきた…」
視線は、市川を捉えたまま。
「小遣いだって、使い放題…、だけど…、簡単に手に入った、それらのものに…、それほど、『価値』は無かったんスよね…」
「何が言いたい?」
「そんな、あっしが、初めて、自分のちからを以て、どうしても、欲しいものが、出来たんスよ。“あいつ”と一緒に、どうしても欲しいものが」
「それは?」
「それが、マジ女の“てっぺん”だ!」
噛んでいたガムを、吐き出し、
「“てっぺん”は、与えられて、なるものじゃない…、“てっぺん”を倒し、“てっぺん”に認められてなるものだ…、だから…」
ネズミが、市川に向かって、走る。
「前田のいない『マジ女』は…、あっしが守るっス!」
鉄製の階段、そして、コンクリートの壁に、
一定のリズムを刻み、歩を進めるフード付パーカーを纏った少女の表情は、影になって、よくわからない。唯一、視認できる小さな口元がわずかに開く。
「……すまないな、ジュリナ」
ネズミは、先程までのジュリナとの通話を思い返す。前田がいなくなり、目の前で、仲間たちが次々と傷つき倒れていき、焦るジュリナ。
『矢場久根のアジトはどこだ?市川ミオリは、どこにいる?』
「ジュリナ…、矢場久根には手を出すなと言っただろう。奴等とは表向き、休戦協定が結ばれてる。それに…」
『それに?』
「いまのお前じゃ、市川には勝てない…、いや、『マジ女』の中の誰にもな…」
『あのときは、邪魔が入っただけだ!今度こそは勝つ!』
「眩しいな…」
『えっ?』
「お前は、眩しすぎるんだよ…」
通話が途切れる。
大島優子。前田敦子。
ネズミにとっては、皆─。
輝く(ヒカル)者たち。
自分は、それに対し、ただの影でしかなかった。
(あっしには…、“ここ”がお似合いっス)
慣れた様子で、暗い
地下室へと入っていくネズミ。
ここは、矢場久根の秘密のアジトだった。
「なんだ、お前か…、何しに来やがった?」
矢場久根の生徒が、数人、たむろしている。そのうちの頭に、黄色いターバンを巻いたひとりが、ネズミに声をかけてきたのだった。
「市川は…、いないみたいっスねぇ」
「うちの総長、気安く、呼び捨てにしてんじゃねーぞ!コラ!いくら、裏で繋がってるっつっても、礼儀ってものが…」
「雑魚が!」
ネズミの拳が、ターバンの少女に、次の言葉を言わせなかった。
「てめーッ!裏の協定、破るつもりか?」
その場に、緊張が走る。矢場久根の生徒が、いまにも、襲いかかりそうになっていた。
「前田のいない『マジ女』に、“意味”なんて、ないんスよ」
「はぁ?何言ってんだ!」
容赦なく、殴りかかってくる生徒たちを、ひらりとかわし続けるネズミ。
けっして、頭脳だけではなかった。
(それに、“あいつ”が…
きっと、無茶をする…)
そのとき。
「こうなることは…わかってたよ」
地獄の底から響くような声が、入口の方から聞こえた。
「わかって…いたんだよ、ネズミ」
そこに、現れたのは、
矢場久根商業新総長、市川ミオリ。悪魔のような笑みをたたえ、
「協定を破棄するつもりか…、せっかく、お前には、マジ女の“てっぺん”の座を用意してやったというのに…、残念だ」
情報と引き換えのお膳立てだった。
「物心がついた頃っスかねぇ…」
ネズミが、話を続ける。
「国会議員を父親に持つと…、欲しいものは、何でも簡単に、手に入ったっス…、『欲しい』とひとこと言えば、どんなものでも、すべて、与えられてきた…」
視線は、市川を捉えたまま。
「小遣いだって、使い放題…、だけど…、簡単に手に入った、それらのものに…、それほど、『価値』は無かったんスよね…」
「何が言いたい?」
「そんな、あっしが、初めて、自分のちからを以て、どうしても、欲しいものが、出来たんスよ。“あいつ”と一緒に、どうしても欲しいものが」
「それは?」
「それが、マジ女の“てっぺん”だ!」
噛んでいたガムを、吐き出し、
「“てっぺん”は、与えられて、なるものじゃない…、“てっぺん”を倒し、“てっぺん”に認められてなるものだ…、だから…」
ネズミが、市川に向かって、走る。
「前田のいない『マジ女』は…、あっしが守るっス!」