マジすか学園F☆#1ー5☆ | AKB48G☆マジすか学園☆乃木坂46☆欅坂46☆櫻坂46☆日向坂46☆好きな 「かつブログ☆」

マジすか学園F☆#1ー5☆

【エリアK】


潮風の吹きつけるなか、
前田の猛攻が続く。

常に、全力の前田に対し、
上西からの反撃は、ほとんどなかった。
前田の拳を、受けたり、躱したり─。

どこか、何かを隠しているような、そんな闘いぶりだった。


「最初から、とばしすぎなんやないか?」上西がからかうように、「そんなんやと、すぐに、バテるで」

それに、と、つけ加える。

「もうすぐ、制限時間(リミット)や…、この無理ゲーの」



「────?」



「もともと、クリアできるような“ゲーム”やない…、最後に、少しは、将軍らしいとこ、見せよか」


空気が変わる。


前田の肌が、ざわつく。


ビュオっと、風を切り裂く音が、聞こえたときには、もう、前田は、地面に倒れこんでいた。

急に、視界が、横倒しになったあと、腹部を焼けるような痛みが襲った。

「くっ…」


『鉄の女』
上西ケイの“蹴り”が放たれたのだ。

『鉄の女』と呼ばれる由縁は、敵味方誰に対しても、容赦なく、非情であるところ、また、切れ味鋭い“鉄の爪”を持つところ、

そして─

あとひとつは、

“鋼鉄の脚”といわれるほどの爆発的な脚(キック)力を持つためだった。

前田でさえも、見切ることのできない、予備動作のほとんどない鋭い蹴り。



注意深く、上西を見据え、腹部をおさえながら、よろよろと立ち上がる前田。


立ち上がったところに、またしても、上西が、風を切り裂く。


今度は、前田の腕によるブロックの上から、全身に響くほどのダメージを与えるミドルキックが襲う。

吹き飛ばされ、再び、倒れ込む前田。

本来のスピードや身体のキレも、度重なるダメージによって、鈍く、重くなっていた。息切れ。


「いままでも、組織に逆らった数多くのチームが、潰れていったわ…、巷で強い、強い言われとったそれらのチームの頭でさえ、何人も、何十人も、ことごとく、倒れていった…、総帥に辿りつく前にな!」

倒れている前田に、情け容赦のない蹴りが、飛ぶ。道端に転がる空き缶のように、前田の身体が跳ねる。


「うちを倒せないようじゃ、総帥の前に立つことも無理や…、それに、お前には、絶対、総帥は倒せん!甘ちゃんのお前じゃ、絶対にな!」


はっきりと上西が言い切る。

甘さを認識させるように。

そのとき、
急速に、身体に、痺れるような感覚を覚える前田。
ダメージとは、違う感覚。


「どうしたんや?まるで、“痺れ薬が効いてきた”みたいな顔して」


上西から、下卑た笑いがもれる。

全身に、力が入らない前田。

上西の“鉄の爪”に仕込まれた薬が、効いてきたのだった。

制限時間。

「負け…ない…、負けられない…」

立ち上がろうとする前田。

しかし、すぐに、崩れ落ちる。


「やっぱり、お前も偽者やったか…」

諦めの色が、さらに濃く、上西の瞳を塗りつぶす。絶望の灰色。


「所詮、ひとりのちからなんて、こんなもんや…、みじめなドン・キホーテやったな…、【エリア】(ここ)は、『やるかやられるか』やない…、『やるしかない』とこなんや…」

どんな手段を用いようが─。


前田の全身を覆う虚脱感。目眩を振り払うように、

「う…ああああああああああっ!」

絶叫する。

拳を、地面に叩きつけるようにして、立ち上がった。ふらつく。


「よう、立ったな…、でも、それまで、や」

残された意識を、強制的に刈り取るような、激しい蹴りが、無防備の前田に、乱れ飛ぶ。

血を吐き、呼吸すらままならない前田。

上西の“希み”は、果たされなかった。

儚い期待は、またしても裏切られた。
(フェイクの救世主じゃ…、誰も、救われへんねん…)

最早、
前田は、瀕死にあえいでいるだけであった。跪き、頭を垂れる。拳に、ちからが入らない。


(そう…、わたしひとりの…ちから、なんて…、)

前田の脳裏を、走馬灯のように、巡る過去の記憶。

喧嘩ばかりしてきたけど、そこには、いつも、親友(ダチ)や仲間がいた。つらいとき、苦しいとき、けっして、“ひとり”じゃなかった。

いつだって─

なのに─

(わたしは…、いつの間にか…、みんなと…はぐれて、しまったんだな…、ひとりじゃ…、何も出来ないのに…、勝手に飛び出して…、
こうなるのも…、自業自得か…)

自嘲気味に、笑う。


(みなみ…、わたしの“マジ”は…、間違ってたのかな…)


見上げると、上西の“鉄の爪”が、迫っていた。

「トドメや!」

前田は、何も出来ないまま、呆然と、その動きを見ていた。


ただ─


見ていた──