マジすか学園F☆#1ー5☆
【エリアK】
潮風の吹きつけるなか、
前田の猛攻が続く。
常に、全力の前田に対し、
上西からの反撃は、ほとんどなかった。
前田の拳を、受けたり、躱したり─。
どこか、何かを隠しているような、そんな闘いぶりだった。
「最初から、とばしすぎなんやないか?」上西がからかうように、「そんなんやと、すぐに、バテるで」
それに、と、つけ加える。
「もうすぐ、制限時間(リミット)や…、この無理ゲーの」
「────?」
「もともと、クリアできるような“ゲーム”やない…、最後に、少しは、将軍らしいとこ、見せよか」
空気が変わる。
前田の肌が、ざわつく。
ビュオっと、風を切り裂く音が、聞こえたときには、もう、前田は、地面に倒れこんでいた。
急に、視界が、横倒しになったあと、腹部を焼けるような痛みが襲った。
「くっ…」
『鉄の女』
上西ケイの“蹴り”が放たれたのだ。
『鉄の女』と呼ばれる由縁は、敵味方誰に対しても、容赦なく、非情であるところ、また、切れ味鋭い“鉄の爪”を持つところ、
そして─
あとひとつは、
“鋼鉄の脚”といわれるほどの爆発的な脚(キック)力を持つためだった。
前田でさえも、見切ることのできない、予備動作のほとんどない鋭い蹴り。
注意深く、上西を見据え、腹部をおさえながら、よろよろと立ち上がる前田。
立ち上がったところに、またしても、上西が、風を切り裂く。
今度は、前田の腕によるブロックの上から、全身に響くほどのダメージを与えるミドルキックが襲う。
吹き飛ばされ、再び、倒れ込む前田。
本来のスピードや身体のキレも、度重なるダメージによって、鈍く、重くなっていた。息切れ。
「いままでも、組織に逆らった数多くのチームが、潰れていったわ…、巷で強い、強い言われとったそれらのチームの頭でさえ、何人も、何十人も、ことごとく、倒れていった…、総帥に辿りつく前にな!」
倒れている前田に、情け容赦のない蹴りが、飛ぶ。道端に転がる空き缶のように、前田の身体が跳ねる。
「うちを倒せないようじゃ、総帥の前に立つことも無理や…、それに、お前には、絶対、総帥は倒せん!甘ちゃんのお前じゃ、絶対にな!」
はっきりと上西が言い切る。
甘さを認識させるように。
そのとき、
急速に、身体に、痺れるような感覚を覚える前田。
ダメージとは、違う感覚。
「どうしたんや?まるで、“痺れ薬が効いてきた”みたいな顔して」
上西から、下卑た笑いがもれる。
全身に、力が入らない前田。
上西の“鉄の爪”に仕込まれた薬が、効いてきたのだった。
制限時間。
「負け…ない…、負けられない…」
立ち上がろうとする前田。
しかし、すぐに、崩れ落ちる。
「やっぱり、お前も偽者やったか…」
諦めの色が、さらに濃く、上西の瞳を塗りつぶす。絶望の灰色。
「所詮、ひとりのちからなんて、こんなもんや…、みじめなドン・キホーテやったな…、【エリア】(ここ)は、『やるかやられるか』やない…、『やるしかない』とこなんや…」
どんな手段を用いようが─。
前田の全身を覆う虚脱感。目眩を振り払うように、
「う…ああああああああああっ!」
絶叫する。
拳を、地面に叩きつけるようにして、立ち上がった。ふらつく。
「よう、立ったな…、でも、それまで、や」
残された意識を、強制的に刈り取るような、激しい蹴りが、無防備の前田に、乱れ飛ぶ。
血を吐き、呼吸すらままならない前田。
上西の“希み”は、果たされなかった。
儚い期待は、またしても裏切られた。
(フェイクの救世主じゃ…、誰も、救われへんねん…)
最早、
前田は、瀕死にあえいでいるだけであった。跪き、頭を垂れる。拳に、ちからが入らない。
(そう…、わたしひとりの…ちから、なんて…、)
前田の脳裏を、走馬灯のように、巡る過去の記憶。
喧嘩ばかりしてきたけど、そこには、いつも、親友(ダチ)や仲間がいた。つらいとき、苦しいとき、けっして、“ひとり”じゃなかった。
いつだって─
なのに─
(わたしは…、いつの間にか…、みんなと…はぐれて、しまったんだな…、ひとりじゃ…、何も出来ないのに…、勝手に飛び出して…、
こうなるのも…、自業自得か…)
自嘲気味に、笑う。
(みなみ…、わたしの“マジ”は…、間違ってたのかな…)
見上げると、上西の“鉄の爪”が、迫っていた。
「トドメや!」
前田は、何も出来ないまま、呆然と、その動きを見ていた。
ただ─
見ていた──
潮風の吹きつけるなか、
前田の猛攻が続く。
常に、全力の前田に対し、
上西からの反撃は、ほとんどなかった。
前田の拳を、受けたり、躱したり─。
どこか、何かを隠しているような、そんな闘いぶりだった。
「最初から、とばしすぎなんやないか?」上西がからかうように、「そんなんやと、すぐに、バテるで」
それに、と、つけ加える。
「もうすぐ、制限時間(リミット)や…、この無理ゲーの」
「────?」
「もともと、クリアできるような“ゲーム”やない…、最後に、少しは、将軍らしいとこ、見せよか」
空気が変わる。
前田の肌が、ざわつく。
ビュオっと、風を切り裂く音が、聞こえたときには、もう、前田は、地面に倒れこんでいた。
急に、視界が、横倒しになったあと、腹部を焼けるような痛みが襲った。
「くっ…」
『鉄の女』
上西ケイの“蹴り”が放たれたのだ。
『鉄の女』と呼ばれる由縁は、敵味方誰に対しても、容赦なく、非情であるところ、また、切れ味鋭い“鉄の爪”を持つところ、
そして─
あとひとつは、
“鋼鉄の脚”といわれるほどの爆発的な脚(キック)力を持つためだった。
前田でさえも、見切ることのできない、予備動作のほとんどない鋭い蹴り。
注意深く、上西を見据え、腹部をおさえながら、よろよろと立ち上がる前田。
立ち上がったところに、またしても、上西が、風を切り裂く。
今度は、前田の腕によるブロックの上から、全身に響くほどのダメージを与えるミドルキックが襲う。
吹き飛ばされ、再び、倒れ込む前田。
本来のスピードや身体のキレも、度重なるダメージによって、鈍く、重くなっていた。息切れ。
「いままでも、組織に逆らった数多くのチームが、潰れていったわ…、巷で強い、強い言われとったそれらのチームの頭でさえ、何人も、何十人も、ことごとく、倒れていった…、総帥に辿りつく前にな!」
倒れている前田に、情け容赦のない蹴りが、飛ぶ。道端に転がる空き缶のように、前田の身体が跳ねる。
「うちを倒せないようじゃ、総帥の前に立つことも無理や…、それに、お前には、絶対、総帥は倒せん!甘ちゃんのお前じゃ、絶対にな!」
はっきりと上西が言い切る。
甘さを認識させるように。
そのとき、
急速に、身体に、痺れるような感覚を覚える前田。
ダメージとは、違う感覚。
「どうしたんや?まるで、“痺れ薬が効いてきた”みたいな顔して」
上西から、下卑た笑いがもれる。
全身に、力が入らない前田。
上西の“鉄の爪”に仕込まれた薬が、効いてきたのだった。
制限時間。
「負け…ない…、負けられない…」
立ち上がろうとする前田。
しかし、すぐに、崩れ落ちる。
「やっぱり、お前も偽者やったか…」
諦めの色が、さらに濃く、上西の瞳を塗りつぶす。絶望の灰色。
「所詮、ひとりのちからなんて、こんなもんや…、みじめなドン・キホーテやったな…、【エリア】(ここ)は、『やるかやられるか』やない…、『やるしかない』とこなんや…」
どんな手段を用いようが─。
前田の全身を覆う虚脱感。目眩を振り払うように、
「う…ああああああああああっ!」
絶叫する。
拳を、地面に叩きつけるようにして、立ち上がった。ふらつく。
「よう、立ったな…、でも、それまで、や」
残された意識を、強制的に刈り取るような、激しい蹴りが、無防備の前田に、乱れ飛ぶ。
血を吐き、呼吸すらままならない前田。
上西の“希み”は、果たされなかった。
儚い期待は、またしても裏切られた。
(フェイクの救世主じゃ…、誰も、救われへんねん…)
最早、
前田は、瀕死にあえいでいるだけであった。跪き、頭を垂れる。拳に、ちからが入らない。
(そう…、わたしひとりの…ちから、なんて…、)
前田の脳裏を、走馬灯のように、巡る過去の記憶。
喧嘩ばかりしてきたけど、そこには、いつも、親友(ダチ)や仲間がいた。つらいとき、苦しいとき、けっして、“ひとり”じゃなかった。
いつだって─
なのに─
(わたしは…、いつの間にか…、みんなと…はぐれて、しまったんだな…、ひとりじゃ…、何も出来ないのに…、勝手に飛び出して…、
こうなるのも…、自業自得か…)
自嘲気味に、笑う。
(みなみ…、わたしの“マジ”は…、間違ってたのかな…)
見上げると、上西の“鉄の爪”が、迫っていた。
「トドメや!」
前田は、何も出来ないまま、呆然と、その動きを見ていた。
ただ─
見ていた──